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ミッドタウンでゴミについて考える
とある展示を見に六本木の東京ミッドタウンへ行ってきました。
最初に申し上げておきますが、今回の記事は見に行った展示内容の関係で
うん◯だのフンだの排泄物だのトイレだのそういう言葉が色々出てきますので、ご注意をm(_ _)m(展示の受付にもそういう注意書きがありました)
いきなり本題には入らず、まずは季節の話題から。
ミッドタウンの中はクリスマス一色でした🎄🎅
吹き抜けにはミニサンタがかわいいクリスマスツリーが飾られていました。
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サンタさん、何人いるんだろう。
そして本題です。
ここからはためらうことなくうんちとかうんことか書きます。
ミッドタウン内の21_21 DESIGN SIGHTで開催されている企画展「ゴミうんち展」です。
テーマは「循環」。pooploop (poopはうんち、loopは輪)。
自然界では生き物の排泄物や死骸は別の生き物により利用され、分解され、元の形をとどめることなくどんどん変化していきます。そこには複雑でダイナミックな循環が存在します。
一方で、我々人間は利便性を追い求め続け、人間社会を回していくためにどんどんものを作り続け、大量の廃棄物を出し続けてきました。その多くはプラスチックなど、循環の流れに入れないようなものばかり。もはや地球はゴミで溢れかえっていると言ってもいいかもしれません。さらに、地球だけでなく宇宙ごみ(スペースデブリ)も問題になっていますね。
そして人口は今や80億人。我々も生き物なので、当然排泄しなければ生きていけません。排泄物の処理も大問題です。
地球環境に大きな負荷をかけているゴミや排泄物。
この展示は、普段は目を背けがちなうんちやごみをじっくり観察し、向き合った結果見えてきたこと、デザイナーが感じたことを形に表現し、見る者に考えさせる、そんな内容になっています。
井原宏蕗さんの作品。cycling-black dog-
犬のフンを乾燥させ、漆で固めたもので形作った犬です。
犬のフンをこれだけ集めるのも結構大変だったのでは。
元は食べたものとか、腸内の細胞とか、腸内細菌とか、犬の体を形作っていたものが体の外に出てきたのがうんち。実は生き物ってこういう形にも表現できるものなんじゃないか、ふとそう思いました。
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面白かったのがこちら。トイレことば、ゴミことば、うんちことば。
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ゴミことばとうんちことばはピンとくるのですが、トイレことばは知らないことばがたくさんでびっくり!
レコーディングとカセットテープは、音入れ→おトイレ、だそう。なるほど笑。
横浜は、横浜の市外局番045→おしっこ、だとか笑(おい!って突っ込みたくなります。自分が横浜市民だったら嫌だなぁ^^;)。
さんさん、なかむらはデパート用語らしいです。
確かにこういう用語ってストレートには言いにくいです。
それだけ、汚い、下品、言ってはいけない、という認識の強い言葉でもあります。なるべく見ない、言わない、考えない。
「死」もそうですが、人間が絶対に避けて通れない話なのに、あたかもそれが存在しないかのように普段は隠されていて、見ないで済むようになっています。見ないで済むシステムが作られているからです。
常にうんちのことを考えろ、という話ではありませんが笑、自分が出したものなんだからたまには思いを馳せてみよう。
そういえば最近は、うんこミュージアムができて大人気になったり、うんち関連の絵本もたくさんあったりします。タブー感が薄れてきている?
水洗トイレは「忘却の装置」
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昔は人糞は回収され、栄養価の高い肥料として使われ、loopしていました。昭和に入っても続いていたそうですが、寄生虫の問題などがありGHQにやめさせられました。
私たちは普段、トイレに流したら出したもののことなどキレイに忘れてしまいます。
「今回のことはきれいさっぱり水に流そう」
「トイレに流されて死んでしまえ!」(←ちょっと違うか)
そんなふうにも言います。
水に流したらそれでおしまい。
でも、それが視界から消えた瞬間なくなる訳ではなく、処理システムにより少しずつ分解されていきます。
実はよく知らない下水処理システム⇩
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微生物が大活躍しています。
前に微生物分解について調べていたときに読んだ本で、面白かったのがこちらです。専門的な内容もわかりやすく書かれていました。
世界の糞虫やチョウ。
チョウも実は糞尿に集まるそう(死骸にも)。水分や豊富なミネラルを求めてやってくるそうです。
美しさと糞尿。相反するものと考えたいのは人間だけかもしれません。
右下は古代エジプトで神格化されていたタマオシコガネ(スカラベ)。
丸い糞球を作って転がす習性から、太陽の動きを司る太陽神ケプリと同一視されていたそう。
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微生物の働きによって作られる発酵食品。
ここでも微生物が大活躍します。
自然界の微生物、人間の体中に棲みつく無数の細菌たち。小さすぎて目には見えませんが、ものすごく大事な存在です。微生物なしでは私たちは生きていけません。
お酒は酵母のうんち。。。確かにそう言われればそうなんですが。。。私は一滴も飲めないのですが。。あ、でも料理で使いますね。
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前に聞いたことがありましたが、改めてびっくりしたのがLUWAK COFFEE(コピルアク)。
インドネシア原産で、熟したコーヒー豆を食べたジャコウネコのフン中の、未消化の豆から作られるコーヒーだそう。完全に消化はされませんが、ジャコウネコの腸内細菌による発酵作用で独特の風味になるそうです。値段もかなり高額だとか。
そうなってくると儲けようとするのが人間。
ジャコウネコを飼育して、コーヒー豆を食べさせて儲けようとします。実際に、売られているコーヒーのほとんどが飼育されているジャコウネコの糞から作られているそう。このコーヒーを求めている人たちがこのビジネスを支えているということも忘れてはいけません。ペットビジネスとか動物ビジネスとか、考えると暗い気持ちになってきます。そして、自分も少なからず加担していると考えるとさらに自己嫌悪に。。。
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プラスチックごみ。
自分の家から出るゴミも、プラスチックゴミがかなりの割合を占めます。
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エコバッグとか、簡易包装とか、微生物に分解されるプラスチックとか、紙の緩衝材とか、プラスチックを使わない流れになってきてはいますが、それでもスーパーに行くとほとんどの商品がプラスチックに入っています。
例のパンデミック騒ぎの時は野菜でも何でもかんでもビニール袋に入れて売られていて、ここまでする必要ないのにとウンザリした記憶があります。社会情勢的に仕方がなかったり、世間の一定数がそれを求めていたりしたとは思いますが。。。
野菜とか果物なんて洗えば済む話なのに、と思っていました。
今はそれほど過剰でもなくなってきましたね。
山野英之さんによる「XO Badges クソバッジ」。
おもちゃの部品、壊れたもの、海の漂流物にピンをつけてバッジにしたもの。
「あなたのゴミは誰かにとっての宝物かもしれない」
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「飛行機の墓場」と呼ばれる、アメリカのカリフォルニア州、モハーヴェ砂漠にあるモハーヴェ空港を上空から撮影したもの。廃棄予定の飛行機が保管されているそうです。飛行機ファンたちが見学ツアーで訪れ、写真撮影をしたり部品を購入したりするとか。
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前の図でもありましたが、排水処理の工程で最後に残る汚泥。
汚泥は焼却されて汚泥灰となります。これまで、汚泥灰は肥料やセメント原料として使われてきましたが、デザイナーの狩野佑真さんはLIXILとともにタイルを作ったそう。
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下の黒っぽいのは高温で焼かれました。
これは、使用した水の98%以上を再利用できる手洗いスタンド。
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この装置を作っている会社のホームページです。
最近は、トイレを流す水も量がかなり減りました。昔は水のタンクが今と比べるとかなり大きくて、タンクに水が溜まるまですごく時間がかかったのを覚えています。
毎回ゴミ出しするたびに思います。
たった2人の暮らしなのにこのゴミの量は一体。。。
職場でも毎日大量のゴミが出ます。多くはプラスチックや金属を含むゴミ。有害な物質も扱っているので、処理が大変なゴミも多いです。
こんなにゴミを出していながら何がサステナブルだよ、と突っ込みたくもなります。
でもモノを求めているのも私たちだし、モノを作り続けないと世の中が回らないし、大量のゴミを見て心のどこかでヤバいと思いながらもそういう世の中であることを選択し続けているのも私たちです。
ゴミ、排泄物、水、大気汚染。
この先私たちはどう生きていくべきなのか。
なんだかいろいろ考えさせられ、このままじゃまずいと焦ったり、暗い気持ちになったりしてしまいました。
しかし、重く複雑なテーマもデザイナーならではの切り口で迫り、意表をついた展示内容になっており、考える余白がたくさんあって面白かったです。ご興味のある方は是非!
ミュージアムショップには面白そうな本が何冊もあって迷いましたが、こちらを購入しました。
外に出たらちょっと寒かったですが、日差しが柔らかくて気持ちよかったです。
鳩たちが地面をつついていたので写真を撮ろうとしたら、近くにいたよちよち歩きの赤ちゃんが突然何かを叫び始めてしまい鳩がびっくり仰天!
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2121_DESIGN SIGHTの屋根に整列。
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スズメが3羽水遊び。
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最後はスズメに癒されました。