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都会のオアシス

先日、国立科学博物館附属自然教育園に行ってきました。
場所は東京都港区白金台。

ずーっと前から行こう行こうと思っていたのですが、なかなか行かず。
ふと思い立ち、真夏をむかえる前に行ってきました。

こちら、東京都の一部の航空写真。中央線より南側です。

Google mapの航空写真に自分で加筆

建物がびっっっっっっっっっっしり!
地上を歩けば緑のある公園や並木はありますが、ほんのわずか。

建造物やアスファルトの道路が地面を埋め尽くすなか、いくつか緑の集まっている場所があります。
オレンジ色で囲ったのが航空写真でも分かる緑の集まる場所。
西から明治神宮(&代々木公園)、新宿御苑、赤坂御用地、皇居(近くの日比谷公園も)、浜離宮庭園。そして地図の下の方、赤で囲ったのが国立博物館附属自然教育園です。

こうやって見ると、本当に砂漠のオアシスのようです。


目黒駅から10分くらい歩くと入り口が見えてきます。
隣には東京都庭園美術館があります。

園内の木の上でオオタカが子育て中。

その昔、白金長者の屋敷があったそう。

少し歩くとスダジイの大木が。

大木すぎて、一部しか撮れませんでした。


大きなイロハモミジ。紅葉の時期は辺り一面真っ赤になりそう。

園内でよく見かけたムサシアブミ。葉脈が縁取りみたいになっていて面白い。
このように、園内の植物は立札で名前が分かるようになっています。
この辺りで蚊に刺されました。
入り口に近い散策道の方がなんとなく湿気が多くて、蚊が多いように感じました。蚊に刺されるなんで久しぶり。

漢字では「武蔵鐙」。ここ、武蔵の国で作られた鎧(馬具)に由来します。


この季節、住宅街ではドクダミがよく見られますが、こちらでも色々な場所でドクダミが咲いていました。ただ、住宅街のものと比べて明らかに高さがありました。葉の色合いも違うような。
競合する植物が多いから上へ上へと伸びようとしているのでしょうか?

生薬としても利用されるドクダミですが、抜いても抜いても生えてくる雑草として、夏になると刈られてそこらじゅうドクダミの匂いですごいことになっていることもあります。ですが、私はドクダミの佇まいが好きで、あの独特の匂いも結構好きです。

英語ではfish mint、heart leafなどとも呼ばれるそう。確かに葉がハート型。

さらに歩くと池が見えてきました。

カメラを構えた男性達がいたので、近づいてみると。。
カルガモがいました。池から少し上がったところでひと休みでしょうか。

近くに人がいても逃げません。

と思ったら、バシャバシャという音とともにちびっ子が!
ママのあとを追ってちびっ子も上がってきました。2羽いるようです。
少し大きくなっているようですが、まだふわふわ感が残っています。
かわいい。

ママはこの後、首を後ろに回して眠っていました。

トンボもたくさん。こちらはシオカラトンボ。

こちらは真っ赤なショウジョウトンボ。

イヌヌマトラノオ(犬沼虎の尾)にとまるキタテハ。
このイヌヌマトラノオ、池の周りでよく見かけましたが、白い可愛らしい花が緑に映えていました。

虎の尻尾に似ている?

歩いていたら、水たまりで水を飲んでいたアオスジアゲハが私の足元に。

私が持っていた緑色のバッグが気になるようで、しばらくバッグの近くをふわふわ。

バッグにとまろうとしていました。


ニホンカナヘビ。
子供の頃は家の庭でよく見かけましたが、最近は全然見ていませんでした。
園内には多くいるようで、歩いているとササっと前を横切っていったことが何度かあり、そのたびにヘビじゃないかとビビりました。

こちらは水面に広がるアサザ。
1輪だけ黄色い花が咲いていました。アサザの花は1日しか持たないですが、次々と新しい花が咲いていくそうです。
最近は水質の悪化や開発により減少傾向にあるとのこと。

日が当たると葉がツヤツヤ光ってすごくきれいでした。


クララというお姫様みたいな名前の植物。
名前とは裏腹に、根を噛むとクラクラ(目が眩む)するほど苦く、それが名前の由来になっているとも。マトリンというアルカロイドを含み、量によっては死に至るほどの強い毒性もあるそうですが、健胃作用や駆虫作用のある「苦参(くじん)」という生薬としても用いられています。


思わず二度見した名前。
あぶらちゃん。
その名の通り木全体がオイリーで、樹皮や実から油をとり灯油として用いていたそう。「ちゃん」というのは瀝青(れきせい)のことで、瀝青とはアスファルトやタールのように、黒色の粘性のある物質のことをいうそうです。「ちゃん」のスペルは「chian」。

奥には軽トラックが2台。公園の管理をしている方達が作業をしていました。

先ほどの池に戻ってきて橋を渡ろうとしたら再びカルガモの親子が!
ママと2羽のちびっ子ちゃんは食べ物を探しながら移動していたのでしょうか。
無事に大きくなってね!

かわいい


もうだいぶ前に切り倒されたであろう木の切り株。全体的に腐り、コケやキノコ、小さな生き物たちのすみかとなっていました。
そこに現れたのがコクワガタ?(のメス?)
小さな穴に体を押し込み始め、中へと吸い込まれていきました。

ここから入ろうっと
よいしょよいしょ
すっぽり入ってしまいました。
中にはどんな空間が広がっているのでしょう。


さらに歩いていくとこんな木が。
カラスザンショウというそう。
サンショウと付くだけあり、特有の香りがあるそうです。花から採れる蜂蜜も独特のスパイシーさがあるとか。
サンショウもそうですが、このカラスザンショウもアゲハチョウの仲間の食樹だそうです。

とげとげ。

上を見上げるときれいに広がる葉が。

カラスザンショウは荒れた土地に真っ先に育つ、先駆植物と言われている。


魚かと思った。


池がいくつかあり、どの池でも倒木が水面に出ていました。そして倒木の上には決まってカメ(クサガメ)が日光浴をしていました。

ちょうどいい感じに日が当たっていました。

カメが日光浴するのはいくつか理由があるそうで、

1つは体温を上げるため。
爬虫類のカメは変温動物なので、体温調節ができません。水の中などにいると体温も低下してしまい、活動できなくなってしまうそう。そこで、日光浴で体温を上げているとのこと。

2つめはビタミンDの合成。
ビタミンDはカルシウムの吸収にも関わるため、甲羅や骨の維持にも重要です。

3つめは日光浴によって体を乾燥させ、体についた寄生虫や菌類を殺すため。また、紫外線によっても殺菌することができます。

みんなだいたい同じ方を向いて日光浴していました。


こちらは「おろちの松」。
大きな根が見えたのでなんだろうと思ったらマツの倒木でした。
クロマツの大木で、1979年の台風の時の落雷で途中から折れ、2019年の台風で根から倒れてしまったそうです。
推定樹齢350年だったそう。
園内には他にも何本も大きな倒木があったり、途中から折れて朽ちかけている木もあったりしました。
倒れた木も微生物達によって少しずつ分解され朽ちていきます。それが養分となり他の植物が育ったり、空洞ができて小さな生き物達のすみかになったり。

このマツのまつぼっくりから採れた種は発芽し、いずれは植樹されるそうです。

江戸時代からこの辺りをずっと見守ってきたクロマツ。
見守ってきた、と言うのも人間目線の言い方ですが。

この地に根を下ろし、我々人間達の幾度もの戦争や動乱を見届け、今はこうして横たわり、新たな命を育んでいます。


これからの時期、気温はどんどん上がっていきますが、自然教育園は木陰も多く、都会のビル群の中と比べるとかなり涼しいのではないでしょうか。
大都会の真ん中にありながら、森林浴ができる貴重な場所です。
緑の時期もいいですが、冬にも行ってみたいなと思いました。


自然教育園の後は東京都庭園美術館に寄ろうか迷ったのですが、目黒に来たからには行ってみたい場所があり、そちらに行くことにしました。

海外の方にも人気があるようです。

目黒駅から歩いて10分ちょっと。
行きは下り坂、帰りは上り坂です。近くには大鳥神社があります。
夏は暑いので、バスで行ってもいいかもしれません。
こちら、入館は無料で1953年の開館以来、寄付や財産運用で運営されているそう。わずかですが、私も寄付しました。

私が行ったのは平日でしたが、来館者は10人以上はいらっしゃいました。ひそかに人気がある、という感じでしょうか。

前から寄生虫に興味があって本を色々読んでいたのですが、実際の大きさや形はいまいちピンと来ず。
実際に見てみるとその小ささや形に驚いたり。

展示物の中に「蟯虫(ぎょうちゅう)検査キット」が!
懐かしい。私も小学生の頃に検査した記憶があります。
衛生環境の改善などにより感染率は大幅に低下したこともあり、2015年度を最後に廃止されたそうです。

小さな博物館でしたが、寄生虫のことが一通り網羅されていて、見応えがありました。

苦手な方もいらっしゃると思うので寄生虫の写真は載せません^^;。
ただ、気持ち悪い感じは全然なかったです。
ご興味のある方は是非。

美しい蝶から腹の虫まで、色々な生き物の姿を見ることのできた、なかなか濃い1日でした。

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