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スミコ22

先日スミコ22を見ました。
何も起こらず日常がつらつらと繰り返される映画は、最近見たものだと『perfect days』があります。

『perfect days』は主人公が感じる美しい風景や音楽、憧れるような振る舞いなどが随所に散りばめられており、現在の我々の生活を批判するような印象を受けました。そういう意味で私が最初に感じた感想は『悔しい』でした。日々の忙しい生活の中で、こんなにも豊かな世界を見逃していたのか、と気付かされる映画でした。

一方、スミコ22を見た後の感想は共感に近いものでした。
主人公のスミコは私とは違って変わった感性をしているし、周りの人間にも恵まれていて一見羨ましくも見えるのですが、どこか近しいものを覚えました。

確かに、嬉しい時にはいつもより余計なことを言ってしまうし、悲しい時には猫に会いたくなるし、もやもやした時は意味のわからない行動をしてしまうものだなと。

全然違う人なんですけど、同じ「人間」なんだなという感じがして、心が温かくなりました。

共感したポイントがもう1つあって、それは、スミコが飲み会の後に一人で佇むシーンです。

知人や友達といて楽しいはずなんですけど、どこか感情がついていけないと感じたり、自分はこの場に別にいなくてもいいような気がするあの感覚は確かに僕の中にも存在しますが、あの感覚はまだ言語化できません。

スミコ22ではみんなと飲み会の後、対比的にコンビニ店員さんとの軽い会話が交わされてスミコは笑顔になるのですが、そういうことなんだなと感じました。
深い付き合いは楽しみとともに、差異が見え、孤独を感じるような気がします。
だからこそ何も知らないコンビニ店員との会話が軽やかで心地よく、自分がその場所に居ることを確認できるのかなと。

それから良い言葉に出会えました。
それは「好きな日が多い」という言葉です。

これまで「好き」には責任が伴うものだという先入観がありました。好きなら詳しくないといけない、語れないといけない、そう思っていました。

なので目から鱗でした。そんな軽い感じで好きと言っていいのかって。
私もこれから使おうと思いました。

総じて見てよかった映画でした。


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