後遺症改善に向けた運動の段階
前提
後遺症改善に向けたリハビリや運動には段階があると考えています。そして、その段階を自分で理解しながら進めることがいかに重要か、経験的に感じています。
私の場合、舌癌の患部除去に伴う舌の切除、左腕や太ももを利用した再建手術、また首リンパ郭清手術を行いました。これにより、左首肩周りを中心に全身に後遺症が及ぶタイプでした。この後遺症を改善するために、経験したプロセスを運動強度の段階に分けて示します。
1. 全く動かない時期
術後直後を指します。このフェーズは、手術直後の急性期であり、患部やその周辺の組織が完全に回復していないため、強い痛みや違和感を伴い、ほとんどの動作が制限されます。経験的にも、この時期は安静が最も重要であり、医師の指導に従って最低限の動作やポジショニングを行いながら、関節拘縮や筋萎縮を防ぐための簡単なパッシブモビリゼーション(他動的な関節可動域運動)が大事です。
主な注意点:
無理に動かさず、手術部位の回復を待つ
腫れや感染症のリスクを防ぐために清潔に保つ
主治医やリハビリ専門医と緊密に連携する
2. 多少痛みがあるが動かせる時期
次に移行するのが、痛みが残っているものの少しずつ動かせるようになる時期です。この時期に大体リハビリが始まります。私の場合は術後7日後から始まりました。この時期は痛くても、ゆっくりでも動かすことが大事になります。それは手術部位やその周囲の筋肉や神経の再生が進むためです。リハビリでは、ROM(可動域)訓練や筋力低下予防のための軽い筋肉強化運動が行われ、徐々に日常生活に戻る準備を進めることになります。
主な注意点:
痛みが出た場合はすぐに休むこと
座位での軽いストレッチや関節の柔軟性を高めるリハビリ
筋肉の萎縮を防ぐため、適度なアイソメトリック運動(静止した状態での筋収縮運動)を取り入れる
3. 痛みはあるがしっかり動かせる時期
このフェーズに入ると、入院から通院のスタイルになっている人が多くなると思います。それゆえ、特別自分で求めない限りは、自分で体を管理しながらリハビリ、運動をすることになります。この時期になると、痛みは軽減され、より動きやすくなります。筋力トレーニングや持久力トレーニングが取り入れられ、首や肩を支える筋肉群(僧帽筋、胸鎖乳突筋、肩甲挙筋など)の機能回復に焦点が当てることが重要になります。ウォーキングから始まり、徐々に軽いジョギング、さらにはバランス訓練ができるようになります。
主な注意点:
バランス感覚の改善に努める
筋肉の再構築を促進するための適度なレジスタンス運動(抵抗をかけた筋力トレーニング)を開始する
長時間の運動や負荷をかけすぎないようにする
4. しっかり動かせる時期
この時期になると、痛みはほとんど感じなくなり、通常の運動や生活活動が再開できます。後遺症による筋肉の硬化や動きの制限が少なくなり、全身を使った運動も可能となります。ここでは、全身のバランス改善と体幹トレーニングが特に重要です。脊柱起立筋や体幹部の筋肉を強化することにより、首や肩の安定性が増し、全身の健康維持が容易になります。
主な注意点:
無理をしない範囲で有酸素運動や筋トレを続ける
リハビリの一環として、水泳やヨガなど、柔軟性を高める運動を取り入れる
新たな後遺症を防ぐために、継続的に姿勢や筋力バランスを確認する
このように、後遺症からの回復には段階を踏んだアプローチが必要で、特に自分がどのフェーズにいるのか、ということを意識しながら後遺症改善に臨むことが重要です。そのためには、医師やリハビリ専門家、また整体師といったプロ(他者)のアドバイスを受けながら、自身の身体の状態を常に理解し、適切なリハビリを進めていくことが重要です。
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