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薬と科学と表と裏

「薬の科学には嘘が多い」と感じられる理由について考察すると、これは主に製薬会社の利益構造、臨床試験の限界、情報の不透明性が関係しています。もちろん、すべての「薬の科学」が嘘というわけではありませんが、いくつかの要因が不信感を生み出しているのは事実です。


🔍 1. 製薬会社の利益構造の問題

製薬ビジネスの営利目的が、エビデンスや研究の透明性に影響を与えることがあります。

💊 問題のポイント

  • 利益最優先のビジネスモデル
    製薬会社は、新薬の開発に巨額の費用がかかるため、開発費用を回収するために利益を最大化する必要があります。そのため、企業は「売れる薬」「利益が出る薬」の開発を優先します。

  • 不都合なデータの非公開
    製薬会社が行った臨床試験の中には、不都合な結果(有効性がない、危険な副作用があるなど)を公表しない場合があります。ポジティブな結果だけが報告され、**「選択的報告バイアス」**が生まれるのです。

  • 論文のゴーストライティング
    薬の有効性を証明するための論文が製薬会社によって作成され、大学教授などが名義を貸して論文を発表する「ゴーストライティング」問題もあります。これにより、信頼できるはずの科学雑誌や学会の情報にも、隠れたバイアスが入り込む可能性があります。

✅ 解決策

  • すべての臨床試験の登録を義務化する(日本では「臨床試験登録制度」があるが、十分な運用が必要)。

  • 学会や論文誌の透明性の向上(論文の開示義務やゴーストライティングの禁止)。


🔍 2. 臨床試験と統計のトリック

臨床試験の設計や統計の使い方によって、実際よりも薬の効果が大きく見えるように操作できるケースがあります。

💊 問題のポイント

  • プラセボ対照試験の操作
    プラセボ対照試験(偽薬を使った比較試験)では、製薬会社があえて効果が低そうな対照薬を使うことで、新薬の効果が高いように見せる場合があります。

  • 相対リスクと絶対リスクの混同
    例:ある薬の広告で「心臓発作のリスクが50%減少」と書かれている場合、これは相対リスクの低下を示しています。しかし、もともとの発生率が「2%」の場合、50%減少しても「1%」にしかなりません。これを絶対リスクの低下として考えると、大した変化ではありませんが、広告では「50%減少」と強調されるのです。

  • 統計的有意性の乱用
    p値(p<0.05)を基準にした統計分析は、「偶然ではない」と判断するための基準ですが、大量の試験を行うと偶然でもp<0.05になる場合がある(「pハッキング」)。製薬会社はこの点を利用して、有意な結果が出たものだけを報告することがあります。

✅ 解決策

  • オープンサイエンスの推進(すべてのデータを開示する義務を導入)。

  • 業界外部の独立した第三者の監視(FDAやEMAが行うような外部監査を強化する)。


🔍 3. 規制当局の不備と癒着

**医薬品の承認を管理する機関(FDA、EMA、厚生労働省など)**が、製薬会社と密接な関係を持つ場合、中立性が損なわれることがあります。

💊 問題のポイント

  • 承認プロセスの不透明性
    新薬の承認には臨床試験データの提出が必要ですが、その審査基準やプロセスが不透明なことがあります。企業と審査機関が癒着しているケースもあります。

  • ロビイングの問題
    製薬会社は、政治家や官僚に圧力をかけて法改正を行わせるため、ロビイング活動(政策的な圧力)を行う場合があります。この影響で、市販後の安全監視が不十分になることがあります。

✅ 解決策

  • 規制機関の独立性の強化(公務員の「天下り」を防止する制度の強化)。

  • 市販後調査(PMS:Post Marketing Surveillance)の強化(副作用が発生した場合の迅速な対策)。


🔍 4. 市販後調査(PMS)の不十分さ

市販後の薬の副作用情報が十分に公開されないことも、嘘が多いと感じられる理由の一つです。

💊 問題のポイント

  • 販売後の監視不足
    新薬が市販されると、臨床試験で発見されなかった予期しない副作用が出ることがありますが、これが十分に公表されない場合があります。
    例)抗うつ薬の副作用や自殺リスクの隠蔽が、過去に問題視されたことがあります。

  • 薬害問題の歴史
    サリドマイド事件、HIV感染血液製剤の薬害事件は、「薬は安全」という前提が覆された歴史的な事件でした。これにより、**「薬の科学は嘘が多い」**という感情的なイメージが形成されたのも事実です。

✅ 解決策

  • 消費者や患者が副作用を報告できる仕組みの導入(日本では「医薬品副作用被害救済制度」があるが、改善が必要)。

  • 市販後調査(PMS)の義務化と結果の公開(すべての薬に対してPMSを行う)。


🔍 5. 消費者の情報リテラシー不足

  • 情報の信頼性の判断が難しい
    メディアやインフルエンサーが「このサプリが効く!」と宣伝する場合がありますが、広告と科学的根拠の区別がつきにくいです。

    • 例:「〇〇成分が入ったサプリが免疫力を高める」と広告されている場合、それは科学的な証拠がない単なるマーケティング戦略である場合が多いです。

  • SNSによる誤情報の拡散
    消費者は、SNS上の口コミやインフルエンサーの発言を信じてしまうことが多く、科学的な証拠のない情報が広がりやすいです。


✍️ 結論

  1. 薬の科学に嘘が多いと感じるのは、利益構造の歪み、バイアスの混入、審査機関の不備が関係しています。

  2. ただし、すべての薬が「嘘」であるわけではなく、厳格な審査を通過して承認された薬は、基本的に科学的エビデンスに基づいています

  3. これを防ぐためには、データの透明性の確保、企業の利益相反の管理、消費者のリテラシーの向上が必要です。


  4. 科学とは絶対ではないと知ることが何よりも重要だと思います。

    実際にアメリカで西洋医療の薬が原因でたくさんの人が死んだ実話
    また、そもそも薬とは何か?PART2で書いていきますね。





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