認知症が痴呆とよばれていた時代
20年在宅ケアを続けたお客様のお話
trip salon un. 訪問美容師の斉藤絵美です。
先日久しぶりにtripしたサービス付き高齢者向け住宅。
ここでは、いつもお会いできるのを楽しみにしている巨匠がいます♪
カメラがご趣味の方ですが、趣味の域を超えた作品がいくつも展示されています。
作品を撮影した時のお話しや、旅をしながらの想い出話をお聞きする事が多かったのですが、この日は若くしてアルツハイマーを発症した奥様と20年ご自宅で過ごしたお話になりました。
今は「認知症」「アルツハイマー」「若年性アルツハイマー」という言葉は耳にした事がある方も多いと思いますが、
20年前には
"痴呆"とよばれていました。
ここで少し福祉の歴史を振り返ってみましょう。
呼び方の変化
日本は超高齢社会となり、認知症と診断されている高齢者は現時点で7人に1人といわれています。
あと2〜3年後には高齢者の5人に1人は認知症となるとも推測されています。
1991年(今から30年くらい前)の老人保健法では『老人性痴呆』と呼ばれていました。
その他『老人ボケ』なんて一般的に言われていたりもしました。
それを聞いてみなさんはどう思いますか?
自分の親がもし認知症となり、
他人から『痴呆』『老人ボケ』と言われたら
嫌な気分になりませんか??
厚生労働省で新しく呼び方を『認知症』と変えたのが2004年です。
『老人性痴呆』というワードには侮蔑性があるとのことから『認知症』と呼ぶようになりました。
病気と診断され扱われることで、その方の尊厳を守ることになります。
未だに『痴呆』とか『ボケ』というワードを言葉にしている方もいますが、
認知症というのは
その方自体を指す呼び方ではなく、
あくまでも認知症状が低下している事をさす言葉として使っています。
その方の尊厳を大切に、敬う気持ちを持って接す事を言葉でも表現していると考えます。
美容室に行きたいけど手段が無かった20年前
奥様がアルツハイマーを発症してから、何年もかけながら少しづつ症状が進み。。。
外出が困難になっていく日々が訪れた時に
「美容室に行きたい」
と奥様がづっと仰っていたそうです。
アルツハイマーと共に身体的な能力も衰え
美容室に行き1人で座っていることは困難な状態だった時、旦那様は市役所の福祉課にどうしたら良いかと聞きに行ったそうです。
でも、その当時"訪問美容"というサービスが市役所から紹介してもらえる仕組みはなく、ご主人が近隣の床屋さんへ聞いて回ったそうでした。
しかし、奥様の身体状態を伝えると
回ったお店は全て断られてしまい…。
とうとう奥様は外出が出来なくなり、美容室に行きたいという願いを叶えられなかったそうです。
当時の訪問美容というのは、ほぼボランティアで施設に入居している方をいわゆる"特養カット"に整容の為だけに髪を切るというもの。。。
きっと、介護知識のある理美容師がご自宅を訪問するというスタイルは無かったのだと思います。
奥様の事を思い出しながら、寂しそうに話してくれたお客様。
その当時の奥様の気持ちを叶えてあげられなかったという事に、今こうして発信したら伝えられる手段が豊富な時代、同じように残念な想いをしてしまう方が生まれないよう
必要な人へ、また必要になる前から情報を知っておけるよう"あたりまえの選択肢"として
社会的認知が"あたりまえ"になるよう、
もっと外に伝えていきたい!!
と改めて強く思わせてもらえるお話でした。
今後も、1人でも多くの理美容師さんに
訪問美容の知識・技術が届いていくよう
お客様に提供してもらえるよう
発信していきたいです♪
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