津久井山百合事件、植松聖事件をモチーフに描いた大作ミステリー・サスペンス小説! 安楽死問題、日本の福祉の問題、重複障害者の社会における必要意義と生命と倫理の問題、などを鋭い切り口…
¥200
- 運営しているクリエイター
#小説
DIABOLOS 第2話
柘植基博警部は今日もデスクで眼を醒ます。彼は今日も警察署泊まりだ。このところ仕事漬けでろくに家に帰っていないうえ、風呂にもろくに入っていない。昨夜の睡眠だって3時間程度だ。柘植警部は今日もシケモクを咥えながら頭をポリポリと掻く。机の上には、山積みにされた書類とコーヒーの匂いが充満している。
「おはようございまーす! 警部!」
静寂を破る明るい声……
「おはよさん、蝶野くん。今日も朝からキビキビ
DIABOLOS 第3話
そこは警察署の一角にある薄暗い空間だ。そこは狭く、そして薄暗い。窓はなく蛍光灯が一つしか点けられてなかった。天井の隅っこにある換気口から微かに黴臭い冷気と、小さな虫が這う音がしているだけで、そこは陰に覆われていた。この室内では外界の景色は全く見えないため時さえ止まっているように感じるし、時間も流れていないかのように錯覚する。それは時間の経過を感じさせない異質な空間であることは明らかであった……