エンタメ大国の裏にある悲しみ|「隣の国の人々と出会う」#読書
個人的に韓国語をかじっているので、韓国語と日本語の共通点などが書いてあると期待して購入。
実際、韓国語・日本語の対比やハングルの歴史などについてつづられている。
ただ、この本を読んだ後に一番感じられたのは悲しみだった。
というのも、韓国の文学、言葉の歴史をたどっていくとたくさんの犠牲を生んだ戦争、事件につながるからだ。
例えば、日本の支配下で朝鮮語の授業が廃止されたり、朝鮮が南北に分断された流れで文学者が共産主義に憧れて北に移動するも、政治抗争に巻き込まれたりした。
また、記憶に新しいセウォル号の事故に関連して生まれた詩もあるという。
戦争や事件が韓国の全てではないが、今韓国に持っている華やかなエンタメの裏に悲しい歴史があったんだ、と感じた。
本書の中で一番興味深かったのは、ハングルの成り立ちについて。
漢字ができない庶民向けに、世宗大王という人が分かりやすい文字体系を作ったのがはじまりだそう。
ハングルはかなり論理的な方だと思うので、どうりで分かりやすいんだなと納得した。
また、ハングルを作ろうとしたとき、当時の官僚から「文字といえば漢字、漢字を学ばなくても官僚になれたら世の中が乱れる」という反対意見があったそう。
いつの世も変化を嫌うんだなー、とここも面白く感じた。
あと、韓国では詩に触れることが一般的で有名な詩は暗唱できるとのこと。(日本で言う俳句?)
正直、世界史には関心がなかったが、言語も含め他の国の歴史も知ったほうがいいな、と初めて思えた本だった。