人生の潮目を読んでチャンスを掴む:『仕事にしばられない生き方』
仕事から自由になる!という内容を期待していると、違う意味で驚かされる本。
自分は仕事を辞めたいと毎日毎日悩んでいた時、この本のタイトルに惹かれて手に取ったのだが、内容は予想と全く異なっていた。
テルマエ・ロマエで知られる漫画家である著者が、子供時代からさかのぼり仕事・人生の遍歴を書いた本なのだが、これまでの道のりが普通ではない。
・急に行けなくなった母親の代わりに14歳で1ヶ月ヨーロッパに知人を訪ねに行く
・その道中で知り合ったイタリア人のお爺さんきっかけでイタリア留学をさせられる
・イタリアで貧乏生活
・働かない詩人との同棲、しかも借金を抱える
・妊娠中に鬱で入院
・出産後、日本に帰国し10種の仕事を掛け持ち
聞いただけでもお腹いっぱいになる。
その後、初めて描いた漫画で賞を取るという快挙を成し遂げており、正直なところ一般人にマネできる要素はない。
その中で「人生の潮目を読む」ということが本書で一番伝えたいことのように感じた。
どんなに好きなことでも、限界を感じ、やり方を変えるタイミングがある。
著者にとっては子供が生まれたことが、画家志望から漫画家志望に変わるきっかけとなったという。
引越しでも何でも、環境が変わったタイミングが自分の変化のタイミングなのかもしれない。
成功者が過去を語る時、目の前のことをやっていたら道がひらけたパターンと、自分で道を選んでいくパターンがあると思う。
正直どっちも結果論だし、結局は成功者の言うことであって一般人には適応できない気もする。
ただ、前者より後者の方が、潮目を待つより自分で行動する方が、再現性があるようにも感じた。
「環境が変わるタイミング」を待っているだけでは、何も起こらないので。
その他にも、お金に悩まされた経験を踏まえつつ、お金に縛られないように生きよう、選択の自由を持とう、といったメッセージが散りばめられている。
「普通」を目指した結果、色んな事に縛られがちな人にとって、著者の言葉を読むことで自分の状況を客観的に見ることができる、そんな本だと感じた。