20240317 「デューンpart2」
多分今まで自分が見てきた中でも「映像体験」としてはナンバーワンだったと思う。
「自分と同じ人間がつくったとは思えない」と思った。宮崎駿の映画を見たときも似たようなことを感じるけど、この作品はそれとまたすこし性質がちがっていて。
宮崎駿作品は「ひとりの天才がつくりあげた美術作品」という感じなのに対して、デューンは「数百人規模の天才があつまって共同制作した巨大建築物」みたいなイメージ。もちろんジブリ作品だって宮崎駿ひとりの手によって生まれたわけではないんだけど、あくまでトップダウン式というか、彼ひとりの頭の中にある映像を形にしたものという印象が強い。
それに対して、デューンは演技から音楽から衣装から撮影から美術までありとあらゆる分野のエキスパートがそれぞれのクリエイティビティを発揮した作品みたいなイメージだ。各セクションから出てくるアイデアを吸い上げて一つの作品に集約させたというゴージャスさがすごいし、それをとりまとめる集団のコントロールとか、実現させるための資本体系をととのえた事実を想像するだけでクラクラする。この美しい映像をつくりあげるために裏側でいったいどれだけ複雑で煩雑な作業量があったんだろう。これは「スパイダーバース2」を見たときにも思った。
人間ってこんなことできるんだと思ってうっかり感動しそうになる。
人智を超えた存在を見たときに人々が感じる畏怖と信仰の念。実際、作中で描かれるテーマの一つがそのようなものだったので、そこに対してもある程度自覚的な作品だったんだなとは思った。
ただ、ストーリーとして見ると、part1につづいてあんまり「面白い」といえる作品ではなかったかなと思う。ひたすら荘厳さに圧倒される映画ではあるんだけど。それでいうと、「スパイダーバース2」の方がストーリーの面で畏怖の念を覚えた。プロットの展開にツイストがききまくっていて、いち観客として「面白すぎる」作品だったから。クリフハンガー的に「次どうなるんだ」「こんなことやっちゃっていいのか」という衝撃の連続で怖いくらいだった。
さいわい、スパイダーバースもデューンも3作目が制作されるはずなので、楽しみに待ちたいと思う。