本"Émeline nel villaggio dei Giusti"のプレゼンを拝聴する
先日、私が通うフランス語の学校で、Daniela Palumboというジャーナリストの最新作の小説、「Émeline nel villaggio dei Giusti("正義の村のエメリーヌ"とでも訳そう)のプレゼンがあった。
Daniela Palumboはフランス語は話せないようだが、この小説の舞台となった場所が、Le Chambon-sur-Lignonという、第二次世界大戦の頃にナチスから逃げたユダヤ人のための避難所があったフランスの村で、彼女が執筆するにあたり世話になったという、その村の記念館Lieu de Mémoireの責任者Floriane Barbierとオンラインで繋ぎ、当時の村人たちの話や作者の想い、そしてGariwo(Gardens of the Righteous Worldwideの略。「個人の責任を教育することにより義人を知らしめること」の普及を目的とした団体)という団体の代表者も含め、ディベートがなされた。
既に冒頭だけ読んで、「シマ子め、またユダヤか」と思われた方もいらっしゃるとは思う。しかし今回については、ユダヤについての知識を深める目的ではなく、フランス語のリスニング目的で行ったので(しかし内容が複雑なだけに、高度でほぼわからず、イタリア語訳が頼みの綱だった)、この本を読もうとも思わなければ、お勧めもするつもりもないが、小学校の中・高学年以上を対象としているため、イタリア語を学習されている方には良い読本かもしれない。
また本とは別に興味を持ったのが、舞台となったLe Chambon-sur-Lignonが、、、
・戦後間もなくの頃に主要な観光地であったため、ここの観光案内所がフランスで最も古い観光局の一つであること
・近くに滝や天文台や湖があり、美しい長閑な自然の中でゆっくり過ごせそうなこと
・高山地帯にあるため、夏でも平均最高気温が22度程度であること
等の、夏・太陽・夏の海・パーティーといった暑苦しさを連想させるもの全てが嫌いな私にとって、"いつの日か、夏の夜長にランプを灯し、虫の声を聞きながら、星を眺めて創作活動できそうな雰囲気"、が容易に思い描ける土地であることだ。
加えて、この村がVelay Expressという観光・歴史鉄道が走っている区間に含まれており、主要都市からは外れていてかなりローカルな単線ではあるが、トレッキングや自転車こぎ以外でも風景を楽しめそうなのも魅力的かな、と思った。
もうこれで、かなり観光情報も載せたので、ユダヤについてばかり書いていないことが証明できたはずだ😂
折角なので、Lieu de Mémoireのサイトのリンクも載せておこう。
ところで、大戦下でユダヤ人たちを匿った村が、フランス語圏ではLe Chambon-sur-Lignonの他にベルギーにもあるそうだ。ただそこの名前はディベート内では出てこず、多少の検索ではヒットしないので、詳細はわかりかねる。もし気になる方は、PCの前で目を見開いて粘って検索してほしい。
※最後に
ディベートを行った三名が終始、三様の意見を持ち、語るので、1時間半の会では本の内容にはほぼ触れられず、私自身も上に載せた意訳以外の内容を把握してはいない。しかし彼女たちの意見が分かれた、というか全く合わなかった興味深いポイントが一つあったので、最後に触れておこうと思う。
それは、ユダヤ人たちを匿った村人たちが自分たちの行いを後世になっても決して語らなかったこと、そして彼らの行い、つまり彼らに救われたことを、命拾いした当人であるユダヤ人たちが語ることで、この事実が世間に広まったことに対するものだ。
Floriane Barbierによると、元来山の住人は寡黙な人が多いが、ここの村人たちもまた静かな人々で、通常通りの生活を続けたい、生活を乱されたくないために、自分たちの行いを語らなかったそうだが、Daniela PalumboとGariwo側にしてみると、「従順しない強さと意思」に重きを置き、村人たちにはそれがあったのだ、ということ、そして現代では多様性が受け入れられるようになってきているので、若者たちにも自分の頭で考え、是非「従順しない強さと意思」を持ってほしい、というメッセージと共に会が締めくくられた。
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