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James Case-Lealの「Inside my Eyes」を鑑賞する

少し前になってしまうが、旧市街的な場所の隅っこに位置する初めて訪れるギャラリーで、James Case-Lealというアメリカ人のアーティストの展示を見た。ギャラリーの閉館まで30分もないのに、2つの展示が行われていて、正直、両方を堪能することができるのか心配だったが、幸いなことに1つは全くタイプではなく、これから紹介しようとしている展示に集中することができた。

展示内容を簡単に言ってしまうと、様々な「稲妻」、で終わってしまうのだが、それではあまりにも素っ気なく味気ないので、いつも通り、アーティストのBioと展示案内の抜粋から行こうと思う。

James Case-Leal(1982-)
2014年にコロンビア大学で修士号を取得したアメリカ人アーティスト。New YorkとBeaconを行き来しながら生活し、活動している。

展示案内より

強烈な刺激を受けた後に経験する視覚の歪み、残像という興味深い現象を探求する展覧会。
夜空を照らす太陽や稲妻を見つめていると、過剰な刺激によって視神経が疲弊し、その閃光が視界に残る。作家は稲妻を、伝統的な絵画技法から離れ、木に張ったリネンのキャンバスにスプレーを何層にも重ねて描いている。

「物心ついたときから、私の神経系全体が過剰に刺激されていた。絶え間ない恐怖、不安、心配、さらには楽観主義が、私の神経を過敏な状態に保ってきた。私の神経系は、私の目と同じような疲れに弱いのだろうか。そんな気がする。そして、もし全身の神経がシャットダウンしているとしたら、それが私の世界の見方をどう歪めているのだろうかと思う」

ユニークな視点と人間体験の本質を捉える能力を通して、作家の最近の作品は、強烈な内省と知覚の本質そのものとの深いつながりを明らかにしている。

展示案内より抜粋・意訳

それでは作品へ移ろう。

どうですか?これがシマ子の一番のお気に入りです。
こういう色の空が好きで、いつまでも眺めていられる気がする。
もう、頭上でゴロゴロ鳴っているのが聞こえてくる感じ。
これだけカラフル
結構、何度もゴロゴロした後、散り散りになってきた感じ
そろそろクライマックスか、という、花火にも似た稲妻

このほかに、エメラルドグリーンの稲妻と、稲妻のない空の大型作品が2つあったが、心により訴えかけてくるのは、ご紹介した作品のみだった。

どのように作成されたのか気になったので、ギャラリーの方に尋ねたところ、「作家はニューメキシコでたくさんの稲妻を撮影し、その稲妻だけをカットしてキャンバスに載せ、50層のスプレーをかけ、レーザー処理をしているんです。稲妻のない作品は30層のスプレーでできています。」とのことだった。

「ほ~っ、色々な作品作りの方法があるものだ」と感心したが、そもそも、なぜニューメキシコまで稲妻を撮影しに行くのかが分からなかったので、ちょっとニューメキシコ州の気候について調べてみると次のような記載がある。

7月と8月の激しい雷雨は自然災害をもたらすことがある。北東部がもっとも影響を受けやすく、年間平均70日もの雷雨にさらされる。これは、フロリダ州のメキシコ湾岸地域と、コロラド州の隣接した地域を除くアメリカ合衆国の他のどの地域よりも多い。これらの雷雨はつかの間だが、強風、あられ、雷を伴い、突発的な洪水を起こすこともある。竜巻も珍しくはなく、主に州の東部で起こりやすい。ごくまれに、東のメキシコ湾と西のカリフォルニア湾の両方からもたらされる熱帯性低気圧の残りが州の天候に影響を及ぼすことがあり、通常は風を伴わない激しい大雨が降る。

Wikipediaより

アメリカ在住、もしくはしょっちゅう仕事や観光で訪れる、という方には周知の事実かもしれないが、何しろシマ子はメキシコ滞在の帰りのトランジットでアメリカに一泊しただけで地理にも疎いため、今回、この展示を見て、初めてニューメキシコに雷雨が多いことを知った。

であればこのアーティストがわざわざこの地に稲妻を撮影しに行くのも頷けるわけだ。

アートを通して全く関係ないことを学ぶこともあるものだ、と改めて梯子ギャラリーをしている自分のアフター5(6かな)を肯定した夜だった。

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シマ子
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