CASE 14 ふくよかな体型のモナ・リザ 目元のしこりは脂質異常症のサインか?
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カンファレンスの前に
皆さんは診察の時にパソコン画面ばかりを見ている
医師を信頼できますか?
しっかり向き合って診察してもらいたいですよね?
確かにパソコンの画面は内臓の目に見えない所見を
文字や数字、図で可視化してくれる便利なものです。
しかし患者さんを自分の目で見ないと
重大な病気を見落とす可能性もあります。
言いたいことは、今回のCASEは見た目が重要
ではカンファレンススタートです。
CASE 14 モナ・リザ 診断:脂質異常症
【症例】63歳で死去
【主訴】???
【現病歴】
フィレンツェの貴族の妻。若い時に画家レオナルド・ダ・ヴィンチにより肖像画のモデルとなった。
若いときから貴族の生活の中で脂質が多い食事をしており、肖像画からはふくよかな体型であることが読み取れる。
【視診】
左目の目頭に眼瞼黄色腫(がんけんおうしょくしゅ)と思われるしこりを認める。
【既往歴】
甲状腺機能低下症疑い
参考)The Mona Lisa Decrypted: Allure of an Imperfect Reality - Mayo Clinic Proceedings
【診断】
#脂質異常症(家族性高コレステロール血症)の疑い
#甲状腺機能低下症の疑い
【経過】
コレステロールの沈着物である眼瞼黄色腫が疑われるため脂質異常症に罹患していたと考えられる。
モナ・リザは63歳で生涯を終えたといわれているが死因は不明。
考察
いろいろな研究者がモナ・リザの目頭のしこりなどについて考察をされていらっしゃいますが、おおむね私も彼らと同意見です。
ポイント
・モナリザの体型
ムチムチ。
・目元にある黄色いしこり
コレステロールの沈着物である眼瞼黄色腫という説が有力。
・社会背景
貴族の妻であり優雅な生活を送っていた可能性が高い。つまり飽和脂肪酸が多く含まれる食事を多く摂っていたと推察される。
・甲状腺機能低下症を患っていたという説あり。甲状腺機能の低下はコレステロール値を悪化させることがある。
・コレステロール(特に悪玉のLDLコレステロール)は動脈硬化疾患(心筋梗塞など)のハイリスク因子です。常識。
・眼瞼黄色腫を見たとき、できる医師はアキレス腱も見る。アキレス腱にもコレステロールが沈着して分厚くなることがある。
・モナ・リザがもし頻繁に胸の痛みなどを訴えていたのであれば死因は心筋梗塞かも。
モナ・リザと私からのメッセージ
・目頭の黄色いしこりをみたらコレステロール高いかも!一度自分や周りの人の目の周りをこっそりチェック!
(今の時代はそんな所見見なくても血液検査見れば脂質の数値はすぐわかりますがね・・・)
・家族性高コレステロール血症という遺伝が関与する病気もあり、食事・運動だけではどうにもならない人もいます。Haruくんはこの病気で何度何度も心筋梗塞を繰り返している20代後半の女性を診たことがあります。
・コレステロールだけでなく、見た目で診断できる疾患はたくさんあるんです。皮膚科の先生は皮膚の所見を見ただけで病気を言い当ててしまいますので内科医の憧れです。
参考資料)
・モナ・リザは高脂血症だった 篠田達明 新潮新書
・国立循環器病研究センターHP
・札幌医科大学 形成外科HP
・The Mona Lisa Decrypted: Allure of an Imperfect Reality - Mayo Clinic Proceedings
次回予告
モナ・リザの肖像画を描いたレオナルド・ダ・ヴィンチの痛風です。
お楽しみに!