Gと格闘する姉
《本記事には「虫」が登場します。虫の生々しい描写はありませんが、苦手な方は読まない方がよいかもしれません》
このところ、ミステリー54字やら、ハミング杯やら、オフ会レポートやら、何だか何だかやら、クセツヨな企画が多かったように思う。
暫くぶりに、純粋な意味での「軽めのエッセイ」でも投稿したい。
これまでも何度か登場した姉の「アキコ」(仮名)の話である。
因みに、アキコは私と正反対の性格ヲしており、以下が彼女の初登場の記事である。
私はこれまでにも姉だけでなく、母だの親父だの姪っ子だの、定期的に身内をダシにして、姑息なスキを狙った記事ヲ書いている。
私は身内にnoteで記事ヲ書いていることなど言っていないので、彼女たちとしては、私に「ダシ」にされていることなど知る由もない。
そのようなイノセントな彼女らが置かれた立場を改めて考えてみると、、、何とも気分が清々しい!
従って、引き続き「ダシ」にする。
アキコは大の虫嫌いである。
幼虫みたいなモチョモチョ系も、昆虫や甲殻類などのカサコソ系もすべて苦手である。
彼女がどれくらい虫が苦手かを語る上で、目安となるエピソードがある。
アキコには2人の小学生の娘(何度か記事に登場した私の「姪っ子」たち)がおり、一度、上の子のクラスのPTAに参加し、「父母によるボランティア(お手伝い)」の「当番」割り振りをしたときのことである。
そのときの当番は以下の3つであったらしい。
1.「プールの監視員」
2.「(横断歩道脇での)旗🚩振りおばさん」
3.「図書室の本拭き係」
、、、因みに、上の2の「旗振りおばさん」だけ、呼び名が気になる人がいるかもしれないが、決して私が名付けたわけではなく、アキコが言ったことをそっくりそのまま書いているだけである。
皆さんであれば、どの当番を志願したいだろう?
仮に選べるのであれば、「3」が楽そうな気がする。
手を動かさなければならないだろうが、何か「1」と「2」って、人命にかかわりそうで精神的疲労が強そうだ(ということを気にする私はダメ人間なのか?きっとそうなのだろう。でも、溺れている子どもを助けるとかムリっぽいし。ウジウジ。。。)
、、、さて、結果的にアキコが割り振られた当番も「3」である。
アキコは私のように打算的な考えで「3」を選択したわけでもなく、もともと外面のいい彼女は「あっ、アッシは何でもいいでゲスよ!」と言ってたら、余った当番が「3」だったらしい(皆さま、志が高い!そりゃ、そうっすよ。大事なご子息の安全がかかわっているわけですからね。ピヲピヲ)
そんなこんなで、アキコの皮を被った「本拭きおばさん」は、当番の日に小学校の図書室に向かった。
、、、そこに運命の悪戯が待ち構えているなどとは思いもせず。。。
勘のいい人であれば、話の流れに気付いたかもしれないが、アキコが「本拭き」を割り振られた図書の区画が、正に「世界の昆虫 大図鑑」みたいなコーナーだったのである。。。
「ミッション『世界の昆虫 大図鑑』を丁寧に拭け!」である(そのままである)。
もう、アキコ的にはホラー以外の何者でもないであろう。
ついでに、この彼女の状況に「ホラーっぽいタイトル」を付けてみた。
『死霊の昆虫 大図鑑』
単に「資料」とかけたダジャレを言いたかっただけである。
さて、私に輪をかけてテンションがハイになりやすいアキコは取り乱し、すっかりアキコハイになり、周りの「本拭きおばさんギルド」に対し、
「うわ~、無理無理無理無理無理! ムリっすから~ ToT これはきついっす~ ToT ムリっす~ ToT 切ねえっす~ ToT どれだけ切ないかと申しますと、気合を入れて書いた記事に1つ目のコメントが入って『おっ!コメきたきた~♡』と確認したら、『私の記事を読んでいただき、ありがとうございました。あとフォロバもありがとうございました!』の2行だけだったときの如く切ねえっす~ ToT 、、、ということで、今日はアッシはお先にドロンいたしやす! カナブンブ~ン」
、、、などと言ったとか、言わないとか。
外面の良いアキコのことであるから、そんな泣き言は言わなかったと思う。
しかし、その日、アキコはパニくりながら、「いや~、すみません。これは、ちょっと、、、見れません ToT 本当に、すいません ToT それでも頑張って拭きますから ToT 拭きますからぁ~ ToT」、、、と泣きそうな顔で、手元を全く見もせず、図書室の天井を仰ぎながら「ノー・ルック方式」で本を拭き続けたらしい(実話)。。。
いずれにせよ、全くもって戦力にならない本拭きおばさんであった。。。
カサコソッ!
、、、カサコソカサッ!
「で、で、出たぁ~っ!」
その夜、娘たちを早めに寝かし付けたアキコは、ついに、、、自宅でアレとの対面を果たした。。。
、、、G、、、である。。。
(いよいよ、こちらの話が本編である)
アキコはすでに家族と一緒に北海道に戻ったので、これは彼女が関東に住んでいた頃のエピソードである。
因みに、一般的に北海道にGはいないと言われており、私も彼の地でGヲ見たことはない。
なので、道産子はもしかしたら、人一倍、Gへの耐性が無いのかもしれない(そんなことない?)。
突如、部屋にGが現れ、アキコは叫んだ(OMG!)。
しかし、その夜はあいにく、彼女の旦那は仕事で遅くなるとのことであった。
どうするアキコ?!
大の虫嫌いの彼女とて、娘2人の母。
、、、恐れ慄くアキコではあるが、彼女は娘たち、そして平和な家庭を守るため、Gという強敵と闘う覚悟を決めた!
正に『パニック・ルーム』である!
いよいよ戦闘開始!
まずアキコは、、、スマホに向かった、、、?!
、、、なぜだ?!
誇張ではなく、彼女は本当に泣きながら(!)、まずは目の前の惨状をショートメッセージで彼女の旦那に報告したそうである。
彼女曰く、目を離すとGが背後に回り込むかもしれないという恐怖感があったそうで、怖がりつつも勇敢に(!)Gから目ヲ離すことなく、そして泣きながら「ついにGが出ました! 今、目の前にいます。壁に張り付いて、めちゃめちゃ怖いのですが、目が離せません。。。」と旦那にメッセージを送った。。。
、、、
、、、?!
、、、いやいやいや、この「情報」を仕事中の旦那に送って、いったい何の役に立つというのだ?!
、、、だが、今回に限っては何となく彼女の気持ちも分からんでもない。
圧倒的な戦闘力を誇る相手を前に、たとえリモートであれ、仲間を募りたい心情であったのだろう。自分は1人ではないぞ!ということを再確認したかったのであろう。分かる。分かるぞ。
彼女はGがさらなるカサコソを始める前に、脳味噌をフル回転させ、撃退法を考えた。
スプレー、、、無い、、、ガムテープ、、、Gとの距離が近くなる、、、ティッシュペーパー、、、いやだからGにかなり接近しなければならないし、ティッシュって感触もムニュッとなるし、かと言ってぶっ潰すのはNGなわけで。。。(因みに、私の愛すべき中国人ソウルメイトであるモンキーマジックさんは、ビニール袋でGを生け捕りにし、生かしたままベランダから放り投げるという技ヲ使いこなす強者である ^^;)
そして、悩んだ末にアキコがダッシュした先は、、、
掃除機!
彼女は掃除機の先端の平べったいブラシの部分をスポッ!と抜き、筒状のノズルの状態にして電源を入れ、泣きながら(!)コソ泥のような体勢でGにジリジリとにじり寄った。
これで、Gと一定の距離を保った状態で捕獲できる。。。
ジリジリ、、、ジリジリ、、、
、、、ジリジリ、、、ジリジリ、、、
、、、スポッ!
( ´ー`)フゥー 、、、何とかGを捕獲した。
一件落着。。。
、、、と思いきや、、、
アキコはおもむろに掃除機の筒を両手で頭上に振り上げ、電源をONにしたままの状態で、泣きながら(!)天ヲ仰ぎ始めた!
「うわ~ん !! ToT」 ブォォォ~~ッ!
、、、?!
↑ コイツはいったい何をやっているの?
、、、
説明しよう!
彼女曰く、Gを「スポッ!」と吸い込んだはいいが、すぐさま電源をOFFにすると、掃除機の中からGが「てめ~、やりやがったな~」とカサコソ這い出て来るのではないかと恐れたらしい。。。
、、、そんなこんなで、彼女は掃除機の筒を両手で天上に向けて掲げ、かれこれ1分あまり「ブォォォォォ~ッ!」と祈祷師のような体勢で、正に「Gよ!掃除機の腹の奥まで呑み込まれてください ToT」と天に祈っていたらしい。
そんなこんなで、一件落着、、、
、、、ではない!
(↑ まだあんのかい!)
その後、アキコは掃除機の電源を止め、コードをコンセントから引っこ抜き、何を思ったか、、、掃除機を持ったまま玄関に直行し、ドアを開け、屋外(!)に掃除機を無造作に置いて、家の中に戻って来た。。。
そして、またスマホを手にし、旦那に以下の内容のショートメッセージを送った。
「お仕事、お疲れ様です。今晩、アナタ様が帰宅されますと、我が家の前の屋外に『我が家の掃除機』が放置されているのを目にし、さぞかし驚かれることとは思います。
恐縮ではありますが、中にはGが潜んでいますので、掃除機を決してそのまま我が家に戻すことはお控えいただき、『G在中』の袋を我が家から遠く離れた場所にて処分いただくなりして、安全を十分に確認してから掃除機を我が家に戻していただきたく、何卒ご協力をお願いいたします」
皆さんも、今後、誰かの家の前に「ポツン!」と無造作に掃除機が置かれているのを発見した場合、このような事情があるかもしれない。。。
(了)
[おまけ]
~身内をダシにして姑息にスキを狙った過去記事~