[鳥として肉食を考える-3(最終羽)] 『焼き鳥の沈黙』の補足
《はじめに:本作は残酷でショッキングな内容となります。全く救いもなく、読むと気分が滅入るかもしれません。ご自身の体調と性格を考え、読むかどうかご判断ください》
皆さん、こんにちは。
ボクは『頷きピンク鳥🐦くん』です。ピヲピヲ🐦
今日は、『解説ピンク鳥🐦博士』をヲ招きしていますので、前回の『 [鬱ショートショート] 焼き鳥の沈黙』について、コメントをいただきたいと思います。
ボクは特にコメントはせず、「ピヲピヲ」と頷いていればよいと言われました。
では、『解説ピンク鳥🐦博士』、お願いします!
※※※※※
え~、皆さん。
誰が呼んだか『解説ピンク鳥🐦博士』です。
『頷きピンク鳥🐦くん』、ご紹介ありがとう。
……それにしても……君……ブクブクと太り過ぎじゃないのかね?
「はい……博士……ボクは普段、立っているのも辛い状態なんです……それよりも『焼き鳥の沈黙』は、ボクら鳥🐦にとっても怖かったですねぇ。ピヲ~ッ! ToT 🐦なんて鳴いちゃって……」
まあいい、そんなことより、今日は私の息子である『ピヲベイべー🐣』が産まれる予定なんだ。
解説は適当にチャッチャカ済ませ、私は帰りたいんだよ。寝てないんだよ。
前回の『 [鬱ショートショート] 焼き鳥の沈黙』はどうでしたでしょうか?
あの話により、ハミングさんのフォロワーさんが数百人単位で減ってしまったとも聞きましたが、まあそれも「鳥生」。
仕方がないことでしょうね。
簡単に振り返ってみましょうかね。
※※※※※
『解説ピンク鳥🐦博士』による補足と解説
補足1:『ピンク鳥🐦』= 『食肉用鶏🐦』
「因みに、『人間は食肉用動物の死をかわいそうと思うのか?』を狙ったので、主人公を『物言わぬ鶏🐦』にする方法もあったのかもしれませんがね。今回は愛玩動物に寄せ、感情移入しやすいように『喋るピンク鳥🐦』にしたため、もしかすると、より残酷性を感じやすいエピソードだったかもしれませんね。ただし、モノ言わぬ鳥であったとした場合、さほど残酷性ヲ感じず、モノ言う相手でないと共感性が湧かないとすれば、それはそれで皮肉な人間の性かもしれませんね。ピヲピヲ🐦」
補足2:『焼き鳥好きの暴君』=『人間(肉食主義者)』
「別に肉食主義者が『人間界の倫理観に照らして悪い人』というメッセージではないのですね。単に『人間は他の動物に対して『悪』となり得る場合がある』ということなのですね。『必要悪』などとも言ったりしますね。ピヲピヲ🐦」
補足3:『兵士たち』=『畜産業』
「『肉食を考える - 1』の記事でも書いたとおり、『畜産業に従事される方』が残酷なのではなく、安い肉を求める我々が残酷なシステムに乗っかっているということを強調したかったのですね。ピヲピヲ🐦」
補足4:『焼き鳥用ピンク鳥🐦』 = 『食肉用鶏🐦として生まれるということ』
「正に『肉食を考える - 1』で書いたインパクトの件ですね。実際の工場畜産では、鳥が自由に空を飛んでいるという状況はないわけですが、フィクションとして少しドラマ性を持たせ、我々人間と同じように『普通の動物としての人生』を全うするつもりでいたピンク鳥🐦が、実は産まれたときから『食肉用』としての命という運命が決められていたことを気付かされるくだりで、非情さや鳥🐦の無念さを浮き彫りにしているのですね。ピヲピヲ🐦」
補足5:『網に捕らえられる』、『ムリに暴れて羽が抜ける』、『ピンク羽を毟られる』、『無理やり網で焼かれる』……といったくだり
「これらはすべて『アニマルウェルフェア』からの疑問提起となるわけですね。たとえば、『網で身動きができなくなる』は、まんま『肉食を考える - 1』で書いた採卵鶏の『バタリーケージ』ですね。実際、ケージの中には羽を広げるスペースもないため、羽は汚れて金網ですれ切れるようであり、土の上を歩いていれば自然に擦り切れる爪は、伸び放題で金網に絡まったりと鶏は苦痛を感じるそうですね。そのほか、『愛玩動物』ではなく『食肉用』なので、デビークというクチバシの切断がなされたりするらしいです。また『網から抜け出すことができない』という状況を『食肉用動物として生まれた時点で、地球上のどこにも逃げ場がない』という彼らの運命に擬えているわけですね。本来は鳥の象徴の1つである『羽』は不要とみなされて毟り取られるという行為に、『愛玩動物』とは全く異なる取り(鳥🐦)扱いヲされるという諸々の状況を暗示させているのですね。また『生きたまま直に焼かれる』くだりですが、『生きたまま焼却炉に入れられる』とか『生きたまま熱湯で茹でられる』いう扱いが某養鶏場でなされることがあるという記事を目にしました。本当であれば、怖いですね。ピヲピヲ🐦」
補足6:『物言わぬ焼き鳥』 = 『物言わぬ吊るされた精肉』
「これも『肉食を考える - 1』に書かれていますが、精肉の加工工程ヲ通じ、前工程では『ピヲピヲ🐣』とか『コケッコー🐔』とか『生き物として鳴く鶏たち🐦』が並んでシャックルに逆さ吊りにされているわけですが、後工程で首を撥ねられ、羽を毟られ、最後には吊るされたまま『物言わぬ精肉』に成り果ててゆくという図は……何とも衝撃的ですな。ピヲピヲ🐦」
補足7:『せっかくだから』 = 『過剰生産(供給)』
「もともと必要性も感じていなかったのに、『伝書ピンク鳥🐦』に『せっかくだから』とその場の思い付きで『焼き鳥』になるよう薦めるくだりは、不要な生産(供給)を描写していると言えるでしょうな。過剰生産(供給)はフードロス、そしてムダな命を奪うことに繋がり兼ねないのではないか?という疑問を提起しているのでしょうな。ピヲピヲ🐦」
補足8:『歌を捧げたり、泣いたりするくだり』 = 『動物の命に感謝しようなどと、たまに言ったりする人間の心理』
「解説は特にありませんな。ピヲピヲ🐦 歌を捧げるくだりは、映画『戦場にかける橋』を少し意識したようですな。もう一度、ピヲピヲ🐦」
補足9:『焼き鳥をそのままゴミ箱に捨てる』 = 『フードロス』
「『肉食を考える - 1』に書かれているとおり、『食肉用動物の死』と『フードロス』を一連の問題として考えると、かなり複雑な気持ちになりますな。その衝撃をラストで皆と一緒に味わいたかったのでしょうな。ピヲピヲ🐦」
(『補足』と『解説』おしまい)
「……と、まあここらへんが私からの補足と解説になるのであるが……『頷きピンク鳥🐦くん』、君は聞いとったかね? ん? 君は何だか……顔色が悪いが大丈夫か?」
「『解説ピンク鳥🐦博士』、お話ありがとうございました。フードロスには気を付けてゆきたいですね……」
「ああ、全くだね」
「……それにしても、『解説ピンク鳥🐦博士』……どうして……さっきからボクら……『逆さ』なんでしょうかぁ~?!」
ブラ~ン……ブラ~ン……
何と!
『解説ピンク鳥🐦博士』と『頷きピンク鳥🐦くん』は足を縛られ、2羽並んで「逆さ吊り」にされていた!
「いや、『頷きピンク鳥🐦くん』、ボクもそこはわからないのだよ……。気付いたら、黒ずくめの男たちに羽交い絞めにされ、足を縛られ、この状態で解説するように頼まれたんだ……。そろそろ頭に血が上ってきて、辛いんだが……」
「ボクもそうなんです。ピヲピヲ ToT あっ! 博士! 誰か入って来ましたよ!」
そこに黒ずくめの集団が入って来た。
そして、リーダー格と思われる男が2羽に挨拶した。
「やあやあ、お2羽とも、お元気そうで。逆さ吊りの気分はどうですかね?」
「どうですかって、最悪ですよ! もうそろそろ下ろしてください ToT」
「そもそも、アナタたちは誰なのですか? 我々を逆さ吊りにしてどうしようっていうんですか? 私は今日、息子の『ピヲベイべー🐣』が産まれる予定なので、そろそろ帰りたいのですが……」
「いやいや、私は決して怪しい者ではありません。本当に信じてください。そんな疑うような目で私を見ないでください。あっ、因みに、私の名前は『鳥五六四 残酷太郎(とりごろし ざんこくたろう)』です」。
「めちゃめちゃ怪しい名前じゃないですか! 博士! この人、ボクたちに何かする気ですよ! ピヲピヲ ToT🐦」
「そろそろ下ろしてもらえると……ありがたいのだが。……長時間、逆さ吊りというのも、何ともきついのだが。ピヲピヲ ToT🐦」
鳥五六四と名乗る男は、2羽を交互に見比べた。
そして、『頷きピンク鳥🐦くん』に近付き、酸素マスクのようなものをクチバシにかぶせた。
「ほぉほぉ。あなたはなかなかに良い太り方だ。よし、このマスクで心地良い眠りに就いてください」
男がそう言うと、『頷きピンク鳥🐦くん』の目がトローンとしてきて、やがて眠ってしまった。
男は今度は『解説ピンク鳥🐦博士』に語りかけた。
「それにしても博士、先ほどの解説はなかなか興味深かったです。ところで、お腹は空いていませんかね? 今日は大量の甘~い蜜を用意してきたのですが……」
「あっ、いえ、せっかくですが……私はお腹は空いていません。それよりも、今日は息子の『ピヲベイベー🐣』が産まれる予定なので、そろそろ帰りたいのですが……」
「まあ、そう仰らずに。オイ、お前ら、博士のクチバシをこじ開けろ!」
「ハッ!」
黒ずくめの集団は一斉に恭しく返事をし、『解説ピンク鳥🐦博士』のクチバシを力いっぱいこじ開けた。
「痛い痛い。ピヲピヲ ToT 🐦 クチバシが曲がってしまう~ ToT」
「よし、流し込め!」
ジュルルルル~ッ!
黒ずくめの1人が手にした注射器で、『解説ピンク鳥🐦博士』のクチバシの中に大量の蜜を流し込んだ。
「ゴホゴホッ! ピヲピヲ~ ToT 苦しい~ ToT 息ができません~ ToT 🐦」
「博士、もう一杯、いかがですか?」
「もう結構です。お腹いっぱいです。ピヲピヲ ToT🐦」
「お前ら、もう1回流し込め!」
ジュルルルル~ッ!
「ゴホゴホッ! ピヲピヲ~ ToT もうお腹がはち切れそうです~ ToT もう返してください~ ToT🐦 逆さ吊りからも解放してください~ ToT🐦」
「博士、もう一杯、いかがですか?」
「もう、やめてください。ピヲピヲ ToT🐦」
「お前ら、もう1回流し込め!」
ジュルルルル~ッ!
「ゴホゴホゴホッ! ピヲピヲ~ ToT お腹がタプタプです~ ToT もうやめてくだされ~ ToT 🐦」
「博士、いい飲みっぷりですね。もう一杯、いかがですか?」
「もう、ホントにやめてください。ピヲピヲ ToT🐦」
「お前ら、もう1回流し込め!」
ジュルルルル~ッ!
「ゴホゴホゴホゴホッ! ピヲピヲ~ ToT あ~、私の体がまるでゴム風船のようにパンパンになってきました~ ToT🐦」
「博士、もう一杯、いかがですか?」
「誰か助けて~。ピヲピヲ~ ToT🐦」
「お前ら、もう1回流し込め!」
ジュルルルル~ッ!
「ゴボゴボゴボゴボゴボッ! ピヲピヲ~ ToT 死んでしまう~ ToT 🐦」
「博士、もう一杯、いかがですか?」
「私が何をしたというのですか ToT もう嫌です~。ピヲピヲ~ ToT🐦」
「博士、体も重たくなってきた頃でしょう? お前ら、毟れ!」
「あ~、おやめくだされ~ ToT 私の自慢のピンク羽が~ ピヲピヲ~ ToT 🐦」
「お前ら、もう1回流し込め!」
ジュルルルル~ッ!
こうして急激な速度で蜜を体内に注入された『解説ピンク鳥🐦博士』の体は、まるでブロイラーのように膨張した。
ブラ~ン……ブラ~ン……
逆さに吊るされ、揺れる2羽。
「さあ、博士もこのマスクをどうぞ!」
黒ずくめの1人が、『解説ピンク鳥🐦博士』のクチバシにマスクを掛けようとしたが、先ほど力任せにクチバシをこじ開けられたため、博士のクチバシは曲がってしまっていた。
そして、クチバシの間に隙間ができ、マスクはクチバシにうまく固定されず、麻酔薬は博士には効かないようである。
「あ~、何をするつもりなのです ToT ピヲピヲ~ ToT 『頷きピンク鳥🐦くん』、君も大丈夫かね。。。」
博士は、ふと隣で逆さ吊りにされる『頷きピンク鳥🐦くん』を見た。
その途端、博士は大声で鳴き叫んだ。
「ピヲ~ッ! ToT 🐦」
何と、逆さ吊りにされる『頷きピンク鳥🐦くん』の首元に、勢いよく回る「自動回転ノコギリ」が近付いてきたのである。
「あー、『頷きピンク鳥🐦くん』! ToT🐦」
当の『頷きピンク鳥🐦くん』は、スヤスヤと眠ったままだ。
ブチャッ!
そして、その直後、博士の叫びも空しく、「自動回転ノコギリ」は勢いよく『頷きピンク鳥🐦くん』の首を切り落とした。
「ピヲ~ッ ToT 🐦」
彼の首がゴロゴロと床に転がり、ドボドボと噴き出した血が、あたり一面を汚した。
「ピヲピヲ~ッ ToT 🐦 やめてください~ ToT 私たちが何をしたというのですか~ ToT 私たちは何も悪いことはしていません ToT 今日もただ記事の解説を頼まれてこちらに飛んできただけなのです~ ToT 私は罪のない『解説ピンク鳥🐦博士』なのです~ ToT🐦」
鳥五六四と名乗る黒ずくめの男は、淡々と語り出した。
「さあ、いよいよ本記事、そして『鳥として食肉を考える』シリーズも終わりに近付いてきましたね。そろそろフィナーレといきましょうか。『解説ピンク鳥🐦博士』! あっ、それとも……こうお呼びした方がよいかな。『焼き鳥用ピンク鳥🐦』さん!」
勢いよく回る「自動回転ノコギリ」は、今度は向きを変え、博士の首元にゆっくりと近付いてきた。
「ちょちょちょちょちょ鳥(ちょう)、ちょっと待ってください! まだ……まだ私には麻酔が効いていないのです!」
※※※※※
『解説ピンク鳥🐦博士』による解説
※ ブロイラーは、生後50日ほどで「屠(と)殺場」に連れて行かれ、足からシャックルに逆さ吊りに懸鳥され、オートキラーと呼ばれる機械式のナイフ、もしくは人の手によってナイフで首を切られる。
同じように逆さ吊りにされる自分の仲間(鶏)たちが、次から次へと首をカットされるのを見ながら、自分の順番を待つのである。
世界的に多く採用される方法であり、「スタニング」と言う方法で、電気水槽に鶏の頭をダイブさせることで意識を失わせてから、首を斬ったりする。
ただ日本では、スタニングという工程が省かれることもあるらしい(EUでは「スタニングなし」の首切断は違法らしい)。
また、たまに鶏の頭が上手く水槽に浸からず、スタニングが効かない場合がある。
その場合、意識を保ったまま、痛みを感じながら、首を切られることになる。
さらに機械による首の切断自体に失敗すると、意識を保ったまま熱湯の中に放り込まれて茹でられたりすることもあるらしい。
この場合、懸鳥された拘束状態のまま約60度の熱湯に入れられ、熱さと痛みの中で、熱傷または窒息により死亡することとなる。
……って、そんなことより、助けて~っ! ピヲピヲ~ ToT 🐦
その頃、『解説ピンク鳥🐦博士』の息子『ピヲベイベー🐣』が産まれた。
「ピヲピヲ🐣 地球さん、こんにちは! 今日からボクの人生が始まるんだね! どんな冒険が待っているのかな。ワクワクするな。ピヲピヲ🐣」
「あらあら、可愛い雛ちゃんね~。アタシがママよ~。……ん? 何だい、この子……雄じゃないか! アンタはそっちに行きなさい。別の世界へのドアがあるから」
そう言うと、その「手」は『ピヲベイベー🐣』を傍で動いていたベルトコンベアーに放り込んだ。
「うわ~、地面が動いてる! これからボクはどこへ行くのかな~🐣」
……産まれたばかりの『ピヲベイベー🐣』は知る由もなかった。
……そのベルトコンベアーの先には、勢いよく回転するシュレッダーが待ち構えていることを。。。
(※ 採卵鶏の雌雛と異なり、雄雛には商業的価値はない。そのため、雄であることが判明した途端、産まれたその日に殺処分されるという話を聞いたことがあるかもしれない。
この場合、雛を生きたまま袋詰めにしていく中で「圧死」したり、生きたままシュレッダーにかけられたりする。何も知らない雛がヨタヨタしながら、勢いよく回転するシュレッダーに吸い込まれる映像は、非常にショッキングである)。
『ピヲベイベー🐣』は、シュレッダーへと運ばれる途中、『解説ピンク鳥🐦博士』の「ピヲ~ッ ToT🐦」という断末魔の叫び声を聞いたような気がした。。。
(完)
~補足~
『鳥として肉食を考える(三部作)』をお読みいただき、ありがとうございました。
すべてお読みいただいた方には、ご理解いただけることを希望しますが、筆者の立場は動物に対する虐待や残酷な扱いを快く思うものではありません。
フィクションに登場するキャラクターを、いずれも私の分身である『ピンク鳥🐦』たちとしたことにより、無情さを伝えたかったという点をご理解いただけますと幸いです。
食肉用の動物(主に『鳥類』の話に絞りましたが)が置かれている状況、それに対する人間の関わり方を見つめ直すきっかけとするため、意図的にショッキングな描写を盛り込みました。
また記事内でも何度か言及したとおり、工場畜産を考えるにあたり、環境や人体に対する悪影響の問題を避けて通ることはできないと考えます。
今回はテーマ通り『鳥🐦として』肉食を考えたので、動物福祉が話の中心となりましたが、筆者は環境問題や食の安全の問題を軽視しているわけではありません。
本企画が各位の『人として肉食を考える』きっかけとなれば幸いです。