Enter the blue spring(小説)#7
のどかな住宅街の午後3時。
一人の少女が家の前に立っていた。
一花「はあ……また早く帰ってきちゃった。」
今日一日、ただ時間を浪費しただけ。
全国の高校生に課せられた達成不可能な課題、青春。
この時代の人じゃあるまいし、いくらログインしてみたところで、何が青春かなんて分かるはずもない。
私たちと古代人とでは価値観が違うんだ。
……とはいえ、学校では"それ"が求められるのだから、私が抱えている今の悩みは深刻だ。
それはーー
一花「ただいまー。」
一花の弟「あっ、姉ちゃんお帰り。」
一花の妹「おかえりー。」
リビングに行くと二人の年下が私を出迎えてくれる。なんて居心地の良い環境だろう。
一花「ただいまー。あれ、二人共勉強?」
一花の弟「そうそう、1週間後テストなんだよねー。」
一花の妹「あー本当に面倒くさい!一花姉は頭いいから良いよねー……」
一花「あはは……まあね。よし!勉強しなくても100点取れる私が、勉強を教えてあげよう!」
一花の妹「わー、クソうぜえー。」
一花の弟「まあまあ。この間教えてもらったおかげで、和葉も数学90点取れたんだし。また教わって次は100点取ろうよ!(キラ~ン🌟)」
一花の妹「うわ!まぶし!?目!草太、目が純粋過ぎるって!」
あーーーーーー!また特に誰とも遊ばず弟妹に構ってしまったーー!
これが私がスコアを稼げない理由。
もちろん、自分の可愛い弟妹(中2)に愛情を注ぐのは良いこと。
でも『青春』スコアにはならない!
一花「部活!遊ぶ!二次関数!部活!遊ぶ!二次関数!私に足りないのはー!青春なんですうううううううう!」
一花の母「ちょっと一花!急に叫ばないでよ!家から退場させるわよ!」
一花「うわーやめてー!レッドカードだけは勘弁して〜!」
急に部屋で発狂したので親に怒られてしまった。
一花の母「全く。今草太たちが勉強してるんだから、邪魔しないであげてよ。」
一花「はーい。」
ガチャ
私の母親はそれだけ言い残すと、部屋から出ていった。
一花「ふう…………やるか。」
私はスマホを取り出し、とあるアプリを開いた。
それは動画を無料で見れるアプリ、ヨーチューブ。
一花「あっ、今日も新着がある。あと……悪魔の詩チャンネル?何だこれ……」
私はこうして、ヨーチューブの悪魔のトラップにハマっていった……
一花「あー!面白かったー!ってあれ?もう1時間!?」
一花はスマホの画面を見て唖然とする。ほんの僅かな時間見ていたはずのヨーチューブ。
しかし時間は午後4時となっている。
一花「う……ううっ、また、またやっちまったー!」
私はこうしてヨーチューブに時間を費やしては、多くの生徒が青春している時間をドブに捨ててしまうのだ。
これが私の悩み、マイホームとヨーチューブへの過度な依存。私はこのゲームが生み出したトラップ(そんなことはない)に、見事に引っかかったのだ。
一花「……まあ、私の性格的にはこうなって当然か……皆はすごいよなあ。零斗君と玲奈ちゃんの青春スコアは『野球に全てを注ぐ』ことで無尽蔵だし。」
零斗・玲奈「ハックシュン!」
玲奈「あらやだ、あんたと同じタイミングでくしゃみするなんて。」
零斗「全くだ。俺たちの体は無敵、くしゃみなんてしないはずだが。」
NPC A「お、最強の零斗が風邪を引くのか?」
龍我が笑いながら零斗に聞く。
零斗「さあな。いかんせん、経験がないものでな。よくわからん。」
NPC A「へー、健康なんだな、お前。」
玲奈「そういうあんたこそどうなのよ?」
NPC A「首と肩が痛い!」
零斗「スマホゲームのやりすぎだな。」
NPC A「ああそっか!じゃあ改善は無理だな!」
零斗・玲奈「…………」
NPC A「お、おい、どうした?どうしてそんな何か言いたげな目で俺を見る?」
零斗「行くぞ玲奈。そろそろ休憩が終わる。」
玲奈「ええ、あいつは放っといて行きましょ。」
NPC A「おおい!俺を置いていくなー!異常者みたいな扱いしてんじゃねえー!」
一花「未来君は彼女がいるし、友達も多いし……」
未来「ブエックシュン!」
NPC U「あら、未来君風邪?」
未来「い、いや、違うと思うけど……(このゲーム、くしゃみまで再現されてんのか?確か、風邪とかインフルとかにはかからねえと思ったけど……)」
NPC U「あ!そういえば未来君!この間未来君が部活してたの見たわよ!」
未来「え?ああ、そっか。そういや俺たちは学校の周り走ってるからな。」
NPC U「走ってる未来君すっごくかっこよかった!今度見に行ってもいい?」
未来「お、おう。いいよ。」
NPC U「やったー!かっこいい未来君永久保存版を作れるわーーー!!」
未来「え、永久保存!?な、何じゃそりゃ!?」
一花「レオン君はライフル射撃部に入ってるし、人◯すの止めたら一気に伸びるんだろうなー。」
レオン「グシュン!うわー最悪。危うく課題に鼻水つくとこだったぜ。にしても、俺がくしゃみなんて……なんか妙だな。まさか、レイドモンスターか〜!」
レオンは周りを見渡すが、どこにもそれらしき生き物はいない。
レオン「……ふむ、いないか……。」
レオンは課題を終わらせるために喫茶店に来ている。レイドモンスターが余程特殊でない限りは、すぐに人の悲鳴なので気づくであろう。
レオン「どうやらレイドモンスターのせいじゃないらしいな。バグか?あ、もしかして誰かが俺の噂してたりして〜!」
テレテン♪テレテン♪テレテンテン♪テレテン♪テレテンテンテン……
マスターゲットレイダー「フラグが立ちました★」
レオン「……え、当たりってこと?」
一花「快人君はサーバーの管理で忙しいとか言いながら、余裕でこなしちゃうしな〜。しかも弟までスコア上位だし。」
ダーン!!!!!
突然、甲高い音が家中に響いた。
音邪「何だ!?く、くしゃみ!?そんな機能あったのかよ!!よりによって動画取ってる最中にー!」
音邪はピアノを弾くのを止めて鼻をかむ。
快人「おい音邪!いくら何でもうるさいぞ!」
音邪「し、仕方ないだろ…くしゃみしちまったんだから。」
快人「?奇遇だな。実は僕もくしゃみしたんだよ。」
音邪「えっ?お前も?」
快人「うん。レイドモンスターかな?」
音邪「さあな。でもこのゲーム、意味わかんねえ仕様いっぱいあるし。そういうイベントなんじゃない?」
快人「いやどんなイベントだよ。ところで、お前まだ動画できてないの?というか何故に動画撮影?」
音邪「ちょ、やだな〜、そんなん決まってるじゃないっすか〜、かっこいいからだよ。」
快人「はあ、そうなんだねー……」
音邪「そうそう、ついこないだMV作ってヨーチューブにアップしたら、飛ぶように伸びてさ!いやー最高だったね!」
快人「はい?ミュージックビデオ?……いや何で!?お前そんな有名だったっけ!?」
音邪「いや?それが初投稿だぞ?」
快人「は?単品で!?ち、ちなみにそれはもちろん……」
音邪「作詞作曲全部俺!映像も全部自力で撮影しました!」
快人「??????????????」
な、謎すぎる!?何故そんなことを躊躇なくできるんだ!?厨二病にも程があるだろ!!!!!!!そんなんだから母さんに『音邪』なんて名前つけられんだよ!
快人「ち、ちなみにチャンネル名は……」
音邪「"悪魔の詩"チャンネル〜!」
快人「いややっぱものすごくイタい〜!」
一花「奈義子ちゃん……奈義子ちゃんになら私勝てるかも。い、一応学校ではそれなりに上手くやってるし……さ、最下位くらいなら免れられるはず……」
姉ちゃん!姉ちゃん!
一花「ん?」
私が色々と考えていると、弟の草太が扉の向こうから私を呼んでいた。
一花「草太?どったの?」
一花の弟「大変だよ!家から出られなくなっちゃった!」
一花「何だって!?」
一花の弟「とにかく玄関に来てよ!僕らが頑張ってドアを開けようとしても、びくともしないんだ!」
草太は私を玄関へと連れて行った。
一花の母「困ったわね……ちゃんと鍵は開けてるのに。」
一花の妹「はあ……何これ?誰かの悪戯?」
玄関ではお母さんと和葉が疲労困憊で座り込んでいた。
一花「お母さん、外に出れないって本当?」
一花の母「ええ……もしかしたらね。」
一花の妹「もーう、悪い冗談やめてってば……」
一花の弟「ほ、本当だよ……で、出れなかったら、学校に行けないじゃないか……」
一花の母「うーん、どうにかならないかしら……買い物に行きたいのよねー。」
一花「うーん……あ!掃き出し窓は!?そっちからだったら出れるかも!」
一花の弟「ああなるほど!お母さん、掃き出し窓は開く?」
一花の母「わ、分かったわ。やってみる。」
お母さんは掃き出し窓に手をかけて、ゆっくりと力を込めた。すると、
ガラガラガラ
掃き出し窓の方はすんなりと開いてくれた。
一花の弟「あ!や、やった……!」
一花の母「ふう。これでひとまず外には出れそうね、ちょっと靴持ってくるわ。」
お母さんは元気を取り戻して靴を取りにいった。
一花「うーん、でも、どうして玄関の方だけ開かないんだろ?ちょっと見てみるか。」
一花は靴を取ってきて、掃き出し窓から外に出た。
一花「こういうのは大体、外から何かで塞がれてるっていうのがありがちだよね。しっかり見ておかないと。」
一花の母「あら一花、あなたもどこかに行くの?」
一花「いや、ちょっと外から家の前を見とこうかなって」
モンスター「あ。」
一花・母「あ。」
モンスター「……」
一花・母「……」
モンスター「しまった、窓もしっかり閉めとくんだった……」
一花「隊長、こいつやっちゃいますか?」
一花の母「許可する。やれ。」
モンスター「切り替え早すぎだろ!?」
一花の母「我が家庭に不当な干渉する者は生きては返さぬ。一花、やっておしまい!」
一花「任せて!」
スカル忍者レイダー、ログイン!
モンスター「え?」
一花「インストール!」
ローディングレイドシステム!
レイダー!
モンスター「何!?女が変身した!?」
一花「ええと、まずは、召喚!」
一花は自身のモンスター、スカル忍者を召喚した。
スカル忍者「ヨンダデゴザルカ?」
一花「スカル忍者、あの見るからに弱そうで悪戯好きなクソガキ、どう倒そうか?」
モンスター「おい!聞こえてんぞお前!」
スカル忍者「ソウダナ、ココハYesニンニンNotジャキンジャキン戦法ガイイトオモウデゴザル。」
一花「うーん忍べてないんだよなー。もう姿見せちゃってるし。だからここはNotニンニンYesジャキンジャキン戦法が良いかなー。」
スカル忍者「イイヤ、カリニコチラノソンザイガバレタトシテモ、コウゲキヲカクスコトハカノウデゴザル。タトエバ、カタナヲイチカドノノチンミョウナキカイデ、トウメイカサセテナゲル。ソウスレバアノゴミハイチコロデゴザル。」
モンスター「おーい!聞こえてんだぞー!」
一花「そういう面倒臭いことしなくたって、あいつはすぐ倒せると思うよ。」
スカル忍者「イイヤ、クソガキガコドモダマシニヒッカカッテ、クビチョンパサレルトコロヲミレルデゴザルヨ!イチカドノノホンモウガカナウデゴザル。」
一花「ちょっと!私のこと何だと思ってるのさ!とにかくNotニンニンYesジャキンジャキン戦法がいい!!」
スカル忍者「イナ!Notジャキンジャキン!Yesニンニンコソセイギデゴザル!」
一花「だーかーら!忍ぶだけ無駄だってばー!」
スカル忍者「ドンナトキモサイゴマデシノンデイタヤツガカツデゴザル!カンガエナオセー!イチカー!」
モンスター「今だ!くらえーー!」
モンスターは茶番に耐えかねて、ついに魔弾を繰り出した。
ドカン!
モンスター「ハッ!馬鹿め。敵の前で堂々と作戦会議なんかするからそうなル」
一花の母「はいイエローカード。作戦会議中の攻撃はラフプレーでーす。」
モンスター「はあ!?勝負にルールもくそもあるわけね」
一花の母「イ エ ロ ー カ ー ドで す (圧)」
モンスター「は、はい、分かりました……」
スカル忍者「イマダー!クラエー!」
ズバ!
モンスター「アアアアアアアァ゙!」
モンスターの背中がスカル忍者の刀で斬られ、背中から鮮血が噴き出した。
モンスター「お前ーー!おい審判!今のは普通に違反だろー!」
一花の母「いいえ、油断したあなたが悪いです。」
スカル忍者「ワッハッハッハ!コワッパガ!テキニオナジセリフヲハカレルトハ!」
モンスター「ワッツ!?何えこひいきしてんだこのクソ審判」
一花の母「鉄拳制裁!!!」
モンスター「痛っでえええ!」
一花の母は顔面が陥没する程の一撃をモンスターにくらわせた。
一花の母「全く……ほら、あなたも作戦会議して。」
モンスター「いねえよ!?こちとら一人なんだよ!」
一花の母「寂しいですね。」
一花「罰として左腕没収。」
モンスター「えっ?」
ガブッ!
一花の武器スカルバイターがモンスターの左腕を引きちぎった。
モンスター「ギエエエエエ!?」
一花「ついでに、じゃれついちゃ〜うぞ♥ 斬!」
シュパン!
モンスターの体に無数の切り傷が刻まれた。
モンスター「うぐゔ!?てめ……それはやりすぎだって……」
スカル忍者「ジャアオレガサシテモオナジカ!セイ!」
ゴボッ
スキル忍者の刀がモンスターの心臓を的確に貫く。
モンスター「うっ!?」
バタッ
モンスターはその一撃で完全に再起不能になった。
モンスター「ううっ……もう、死ぬ……」(ピクピク)
一花「もうそろそろ止め刺してあげるか。」
スカル忍者「ダメデゴザル!コンナヤツハ、モットクルシメテヤラナキャ!」
モンスター「お前らなんでそんなに容赦ねえんだよ!?」
一花の母「家庭の平和を乱す者は何人たりとも許さない。」
一花「ウン、ウン。」
モンスター「チ、こうなったら、最後の力を振り絞って……!カースボール!」
モンスターは大量の魔弾を塀に向かって投げつけた。
モンスター「オラ!オラ!オラァ!」
モンスターの魔弾で塀が崩れて道路に瓦礫が散らばり、一花たちは足の踏み場もない状況に陥った。
一花「うわー、ダルいことしてくれるじゃん。」
モンスター「へぇ…へぇ…い、今のうちに!」
モンスターは一花たちに背を向けて走り出した。
モンスター(こ、これで少しは、撤退の時間稼ぎになる!一刻も早く、あいつらから……!)
スカル忍者「イカン、トリニガスデゴザル!イチカドノ、どうするでござるか?」
一花「まあまあまあ、こういうのは全部、お片付けしちゃえばいいんだよ!」
モンスター「な、何?」
一花「オートモード、発動!」
一花の武器スカルブレードが一花の元を離れ、ひとりでにそばの瓦礫を破壊していく。
そして一通り破壊すると、一花の手元に戻った。
一花「片付け終わり♪」
スカルブレード「full auto charge!」
一花「お、チャージが溜まった!」
スカル忍者「オオ!コレデスバヤサトコウゲリョクガジョウショウスルデゴザルナ!」
モンスター「ええ!?」
モンスターは侮っていた。このゲームのバフの発動条件の緩さ、レイダーの強さを。
一花「窮鼠斬!」
一花はお片付けで得たバフの勢いに身を任せ、威力600tのスカルブレードでモンスターを斬る。
その数なんと10発!
モンスターは確実に息絶えた……
一花「ふーう!これでもう勝ったよね!」
スカル忍者「マチガイナイデゴザル!」
モンスター「う、ううう……」
スカル忍者「アッ!ナ、ナント!マダイキテオッタデゴザルカ!」
一花「ダニィ!?」
一花たちは最後の最後でフラグを立ててしまった。そのため、この世界のフラグ回収の原則により、普通なら死亡しているであろうモンスターが、蘇ってしまった。
モンスター「ハァ……ハァ……フフ、はっはっはっは!何故だかわからんが、俺は生きているぞ!というわけでカードバトル!」
一花「いやなんで!?」
モンスター「俺のターン ドロー!」
モンスターは何故か出現したデッキの中からカードを取り出した。
モンスター「重力10倍フィールドをプレイ!これでこのターン中は相手の素早さが下がるぜ!」
一花「うぐぐ……本当だ、動きにくい……」
モンスター「そして俺のターン ドロー!バーニングドラゴンをプレイ!相手を火傷させるぜ!」
バーニングドラゴン「ガオーーー!」
バーニングドラゴンのかーどから激しい炎が噴き出た。
一花「あちちちち!」
スカル忍者「アツイアツイ!アツイデゴザル!」
モンスター「さらに俺のターンドロー!運命共同体をプレイ!このカードの効果は至ってシンプル。俺が死ぬとお前も死ぬぜ!」
一花「ちょっと!?いつになったら私にターンが回ってくるのさ!?」
モンスター「お前にターンを与えれば俺の死が確定する!だから『ずっと俺のターン』なのだーーー!」
一花「ちょっと審判!これは絶対アウトですよー!」
一花は母親に泣きついた。
一花の母「安心なさい。もう手は打ってあるわ。おいクソガキ!自分のカードの裏をよくご覧なさい!」
モンスター「カ、カードの裏に、何があるっていうんだ!あっ!」
モンスターは自分の出したカードの裏をおそるおそる見た。
すると運命共同体以外のカードの裏面は真っ黄色、共同体のカードは裏面が真っ赤になっていた。
一花の母「あなたは一度負けた試合を無理やり続行し、しかも自分だけカードを引き続けた……よってレッドカード!この世界から退場!」
モンスター「うわー!?」
モンスターの体がどんどん透明になっていく。
一花の母「勝った!enter the blue spring 第七話 完!」
モンスター「いやふざけるな!?こんな意味不明な死に方で終わってたまるか!?というか何でお前みたいな一般人に、レイドモンスターである俺が殺されなきゃならないんだよ!」
一花の母「ク、こいつ……しぶとい!」
一花「お、お母さんがメタ発言で押さえつけられた!」
一花の母「私のレッドカードを破ったのはあなたが初めてよ……!」
モンスター「いやこれで!?これで皆やられたの!?」
一花「じゃあ必殺技で倒そう!」
スカル忍者「オウ!」
モンスター「へ?」
必殺技! イッセン!
一花はマスターゲットレイダーのボタンを押して、必殺技を放つ。
一花「じゃ、スカル忍者、重労働お願い。」
スカル忍者「ハァ、マタアレカ……」
モンスター「え?え?え?」
スカル忍者は一瞬でモンスターの懐に飛び込んでモンスターを斬って斬って斬りまくる。
スカル忍者「デリャリャリャリャリャリャリャリャリャリャリャ!」
モンスター「痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い!」
一花「オッケーオッケー!これでモンスターが怯んでる間に……準備体操しよう!」
一花は唐突に屈伸を始めた。
一花「いち!に!さーんし!ごーろくしちはち!」
モンスター「いや長い長い長い長い!しぃーーーぬーーーーう!」
一花「アキレス腱も念入りに……」
モンスター「おーーーーい!やるなら早くしてくれーーー!」
スカル忍者「オラオラオラオラオラオラ………ウ!オロロロロロロ……」
モンスター「は、吐いてる!こいつ斬りながら吐いてるって!」
一花「よーし!準備体操終わりー♪もういいよー、スカル忍者ー。」
スカル忍者「マチワビタデゴザルー!」
スカル忍者はモンスターに思いっきり蹴りを入れた。
スカル忍者「オラァ!」
モンスター「ぐはあ!?」
モンスターは勢いよく宙に放り出される。
一花「くらえぃ!」
一花はモンスターに刀を投げつけた。
刀は綺麗な放物線を描いてモンスターの頭を貫いた。
モンスター「ギャーーー!斬るんじゃないんかーーーい!」
(爆発する音)
一花「ふう、ようやく全てが終わった。」
ダッダッダッダッダッダッダッダッダ!
何かの足音が一花たちへと近づいてきた。
スカル忍者「ムッ!?イチカドノ!マタナニカクルデゴザル!」
一花「ええっ!?また何か来るの!?」
???「よお!お前も帰宅部か?」
一花「ヒッ!?」
一花は背後からの声に思わず身構える。
???「そ、そんなに怖がんなよ。俺は北坂 挟。帰宅部のエースさ。」
一花「な、何だ人か……」
一花の後ろにいたのはただの人であった。
しかも、同じ高校の人物のようである。
北坂「同じ人間の雰囲気を感じたんで、思わず話しかけちまったぜ。」
一花「ええ……分かるもんなんですかそういうの?」
北坂「おう!俺は少なくとも俺は分かるぜ!んじゃ、帰宅部は多くは語らない。帰るぜ!」
そういうと北坂はとてつもない勢いで自分の家へ向かっていった。
一花「な、何なのあの人……」
スカル忍者「イツカラコノサクヒンハギャグテイストニナッタデゴザルカ?」
一花の母「あら、お友達?」
一花「いいや、初めて会った人。」
一花の母「はー、帰宅部ってたくましいのねー。」
一花の家
一花「ただいまー♪二人共ー、無事に家から出れるようになったよー♪」
一花の弟・妹「……」
一花「ん?二人共どうしたの?浮かない顔して……」
一花の弟「……いや、ぶっちゃけこのまま出られなくなったら、テスト受けないで済んだのになって。」
一花の妹「本当だよ。ただでさえ学校ズル休みできる、いい機会だったのにさ。窓から物資だけ入れてテストまでやり過ごそうと思ったのに。」
一花「ちょ、ちょっと二人共!受けたくないのは分かるけど、そこまで不貞腐れる!?」
一花の弟「そうだよ。そもそも受けないで済むんだったらどれだけ幸せか。」
一花の妹「ホントよねー。」
お、弟と妹が明らかに拗ねてる……私のしたことは大罪だったのか……
一花の弟「あーあ、もうなーんにもしたくない。」
一花の妹「あーもう!本当にダルい!学校にさえ行きたくなくなったわ。」
一花「ちょっと二人共!期待してたのは分かったから拗ねないでー!ほら、折角勉強してきたんだからさ、元気に学校行ってテスト受けよ、ね?」
一花の弟・妹「チッ」
一花「ちょ、ちょっと何なのさその舌打ちは!二人共ー!機嫌直してよー!」
ゲームルール
青春の定義は人によって様々なので、一概には言えないが、他者と関わったり、部活動に没頭したりしたプレイヤーの青春スコアは、軒並み高い。
次回予告
奈義子「一花ちゃん遅いねー。かれこれ喫茶店に3時間くらいいない?」
レオン「そうだな、まあ、一人ファミレス3時間コースよりかはマシだろ(笑)」
奈義子「あはは……それもそうだね、ひどいことしちゃったー。」
レオン「……それにしても、あんたなんで俺なんか誘ったんだ?別にこんな異常者を呼ぶ必要なんてないだろ?」
奈義子「あっ、自覚あるんだ……ほら、レオン君は楽しくて、あんな猟奇的なことやってるんでしょ?」
レオン「まあな……楽しいね。」
奈義子「私がちょっと思うのは、レオン君が楽しいって思っている以上は、きっとレオン君は何を言われてもやめないんだろうなって。」
レオン「ほう、分かってるな。快人の差し金か?」
奈義子「別に?ただ、もっと楽しいこと作ってあげたら、レオン君もそっちに気が向いてくれるかなって。」
レオン「……そうか。お前はあったかいな。」
奈義子「他にも楽しいこと、たくさん見つけていこうね。」
レオン「フ、馬鹿馬鹿しい。マスター、アイスコーヒー1つ。」
奈義子「じゃあ私はホットにしようかな。」
次回 enter the blue spring
第8話 Holy the Angel!
奈義子「一花ちゃん来るって言ってたのになあ。まあいっか、また今度誘おうっと♪」