書評③(世界インフレと戦争~恒久戦時経済への道~)

P82~96までのまとめです。純粋に時間がないのでつらい

アメリカの現在のインフレの原因は

インフレは、「ディマンドプルインフレ」と「コストプッシュインフレ」に分類される。
過去、第二次世界大戦以降、アメリカが消費者物価上昇率が5%を超えたことは6回ある。①1946年7月~1948年10月②1950年12月~1951年12月③1969年3月~1971年1月④1973年4月~1982年10月⑤1989年4月~1991年5月⑥2008年7月~2008年8月である。
このうち④⑤⑥は石油危機による「コストプッシュインフレ」、②③は朝鮮特需や好景気による「ディマンドプルインフレ」、①については、戦争後の供給能力の破壊による「コストプッシュインフレ」と分類できる。
さて、今回のインフレはどちらに分類されるかというと、ウクライナ戦争による原油、天然ガス、小麦などの供給制約の面が強い。そのため、「コストプッシュインフレ」の要素が強い。

アメリカのインフレ対策

そんな中、FRBは政策金利を引き上げ金融引き締め的な政策をした。政策金利を上げるというのは、端的に需要を抑制する政策のため、コストプッシュインフレ下においては逆効果となる。例えば、借入コストが上昇にすると、価格支配力の強い独占企業においては、価格を吊り上げるなど、価格を押し上げる効果がある。また、長期的には、企業の設備投資の意欲の減退により、供給能力の拡大のための投資が行われない可能性もある。
その一方、バイデン政権においては、「インフレ削減法」を成立させ、公的医療保険の延長やグリーンエネルギー、気候変動対策などへの拠出など4370億ドルの公共投資を拠出し、コストプッシュインフレ対策をしているが、このFRBの利上げにより相殺されてしまうおそれがある。
つまり、アメリカの政策が財政と金融でちぐはぐな状況となっているのである。


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