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サロン経営 Vol.4 アシスタント育成

アシスタント育成用 ディプロマ

美容室は、髪という素材をとおして、美容師とお客様が一緒にスタイルをつくる空間。髪の状態も、求めるスタイルもライフスタイルも、みんな違います。理美容室では十人十色のお客様に「その人にあった、その人のことを考えた施術」をしています。
そのことをもっと、話せたらうれしい。
そのことをもっと、わかってもらえたらうれしい。
だからもっと、いいコミュニケーションができたらいい。
このディプロマをきっかけに、あなたなりの伝え方を発見しましょう。


Q1 髪ってどんなふうになっているの?


A、私たちの髪は三つの層に分かれていて、たとえるならお寿司の“海苔巻き”みたいな形をしているんです。髪のいちばん外側にあるのが「キューティクル」のりまきでいうと「のり」の役目。魚のうろこのように重なり合っていて、ごはんや具といった中身、つまり髪のうるおいをくるりと包んで守っています。キューティクルの内側にあるうるおいとは、海苔巻きのごはんにあたる「コルテックス」です。コルテックスは髪の約90%を占める大切な存在。お米が体を動かす主食ってことと同じですね。
髪には欠かせない水分・油分があるほか、「マトリックス」という大切な栄養素を含んでいます。また、のり巻きの味に深みを出す黒ゴマは、髪の色を決める「メラニン色素」です。
ごはんの中心には、海苔巻きの具があります。これが「メデュラ」です。メデュラは髪の芯にあたりますが、その役目はまだ解明しきれていない、神秘的な存在です。細い髪にはメデュラは存在しません。髪を守るキューティクルが傷むと、内側にあるこんなにたくさんのうるおいが髪から逃げてしまう・・・だからキューティクルが傷むイコール髪が傷むといわれてるんですね。


Q2 どうして髪はカールするの?


A髪は4つのつながりができています。専門用語でいうと「ペプチド結合」
「S-S結合(シスチン結合)」「イオン結合」「水素結合」・・・難しそうですね。その違いは、それぞれ結びつく強さが違うってことです。一番弱い結合が「水素結合」です。髪をウェットな状態にすると結びつきが切れ、ドライにするとまたつながります。ドライヤーでカールしたり、ストレートになったり・・・ブローで形が変わるのは、この水素結合によるものです。たとえるならクラスメイトのような、顔見知りの結びつきです。これよりも強く結び付くのが「イオン結合」。髪が傷んでPHバランスが崩れると、結びつきが切れてしまいます。ちょっと恋人同士みたい?ちなみにPHとは、アルカリ性か中性、酸性かを表すものさしのようなものです。弱酸性といわれるPH4・5から5・5は髪のイオン結合がとても安定した状態になります。さらに強い結合が「シスチン結合」でこの結合を利用するのがパーマです。1剤で結びつきが切れて2剤でつながります。けんかをしたり仲直りしたり夫婦のような関係と言えますね。そして「ペプチド結合」は髪の命のような結びつきです。この結合が切れてしまうと、二度と元には戻りません。親子のように、絶つことのできない関係です。髪のスタイルがきまる理由には、こんな力が働いています。


Q3 髪ってなにからできてるの?


髪も爪も、どんどん伸びるし切ってもいたくない。同じものなの?

Aそのとおり!髪は主にたんぱく質でできています。このたんぱく質をさらに分解していくと、アミノ酸という小さな単位になるんです。とっても小さなアミノ酸が、まるで幼稚園の子供たちみたいになかよく手をつないで、これが2から100個以上集まるとたんぱく質になるのです。人間の体をつくるアミノ酸はたったの20種類ですが、その組み合わせ方、手のつなぎ方によって約10万種類のたんぱく質ができます。そのたんぱく質も大きく2つのタイプに分かれます。髪は、爪や肌の角質層と同じ「ケラチンたんぱく質」という固い種類のたんぱく質でできています。肌や内臓は「コラーゲンたんぱく質」というやわらかい種類のたんぱく質なのです。学校のクラスによってカラーが違うように「たんぱく質」もいろいろな個性がある。


Q4 どうして髪は傷むの?


時間がたつと髪がパサついてくる感じ。ひとくちに髪のダメージっていうけどどんな風になっているんですか?

A 髪のダメージはキューティクルの損傷から始まります。ブラッシングやカラーなどでキューティクルがはがれ、栄養分が流れだし、内側の傷みへとすすみます。髪はたんぱく質でできていることを説明しましたが、パーマやカラーに含まれるアルカリという成分は、たんぱく質の結びつきを分解してしまいます。その結果、内部のたんぱく質が失われ、髪の保湿性がなくなり、ほっておくとダメージにつながります。
ダメージの種類を整理すると、いろいろな原因があることがわかります。
毎日のシャンプーやブラッシング、髪を乾かすときのドライヤーの熱やブローの仕方といった、日常のシーン。紫外線、プールなど季節毎のレジャー。美容室でのカラーやパーマなど。外側のキューティクルが傷んでも、内側の間充物質が傷んでも、髪はダメージを受けてしまうことに。内側からも外側からもトータルケアすることが大切です。


Q5 健康な髪ってどんな髪?


髪は毛先にいくほど、からまりやすい感じがします。根元の方はつやつやなのに

A 髪は“海苔巻き”のような形をしていて、ごはんにあたる部分をコルテックスと呼びますが、これが髪の健康状態を大きく左右してるんです。髪のコルテックスには、繊維状のたんぱく質と、これを束ねる間充物質があります。細い毛がよられて毛糸ができてるようにたくさんの繊維を、間充物質が接着剤のような役目をはたして髪を成り立たせているのです。髪の中に間充物質がしっかり入っていれば、うるおいや弾力性があり健康といえる状態状態です。この間充物質がキューティクルのすきまから流れ出てしまうと、髪の保湿性、弾力性が失われてしまいます。間充物質がキューティクルのすきまから流れ出てしまうと、髪の保湿性、弾力性が失われてしまいます。間充物質はケラチンたんぱく質の中でも、柔らかい性質で、外からの影響や化学反応を受けやすいデリケートな存在です。
髪はけさきに行くほどたくさんの影響をうけて、間充物質の量が減っているのです。
カラーもパーマも間充物質がきちんとあってはじめて、きれいに作用します。とても大事な役目をもっているんです。

Q6 髪は水で濡れるだけでも痛むんですか?


手抜きしてシャンプーだけで、終わらせたら、まとまらないし、手触りもキシキシする

A髪って水でも痛むんです!弱酸性で安定する性質の髪は、弱アルカリ性である水に触れるとPHが変化してたんぱく質とたんぱく質の間にスキマを生んでしまうのです。この隙間に水が入り髪を膨らませ、キューティクルが開いてしまうなど、髪を不安定な状態にしてしまいます。では、このPHとはなにか?ひとことでいうと、アルカリ性・酸性といった水溶性の性質を図る「ものさし」・PHは1から14までの値があり、真ん中のPH7が「中性」酸味の代表・レモンはPH2から3で酸性、石鹸水はpH9から10でアルカリ性となります。日本の水道水の平均値はPH7.8で弱アルカリ性。髪はアルカリ性の傾くとキューティクルが開くという性質があります。パーマやカラーはこの性質を利用して、髪をアルカリ性にすることで変化を起こしています。水で濡れたりシャンプーした後は、髪にやさしくしましょう。

Q7 どうしてくせ毛ってできるの?


Aくせ毛は毛根の影響が大きいのです。毛根が頭皮に対してまっすぐではなく曲がっていると、髪は曲がったまま伸びて、ねじれたくせ毛になります。日本人はこのタイプがおおいのです。もうひとつ、曲がって生えてきた髪は、キューティクルの内側のコルテックスに、水を吸いやすいたんぱく質と水をはじくたんぱく質の二種類ができてしまいます。
髪が水分を含むと、水を吸いやすい部分は伸びるけれど、水をはじく部分は伸びにくい・・と髪の中で伸び方の差ができてしまい、髪のうねりや縮みとなってあらわれるんです。
また、髪は毛穴の形にそって生えてきます。その髪の約90%は楕円で、まん丸髪は10%程度にすぎません。ちょっと意外でしょう?まん丸の髪の比率が多くなると、傷みにくいという傾向もあります。あなたも私も、ほとんどの人がくせをもってうまれてくるんです。

Q8 ひとりひとりかかる時間が違うのはなぜ?


「かかりにくいのでもうすこし」っていつも時間がかかっている気がする。人によってそんなに違うの?

Aパーマやカラーの放置時間が予定よりも長かったり、短かったりすると、なんとなく不安・・・そんな気持ちになる人、結構多いかも。でも大丈夫!人によって個人差があるのは、キューティクルの枚数の違い、髪の太さの違いがあるからなんです。
キューティクルは普通5から6枚がうろこのように重なっているんですが、枚数の多い場合があります。すると、ダメージとは関係なくパーマがかかりにくい、ブリーチしにくい、傷みにくいといった違いが。冬の重ね着のようにしっかり体を包んでいると、脱ぐのにも手間がかかるというわけですね。とくに髪が太い人の場合、キューティクルは暑くてしっかりしています。反対に細い髪の人は、キューティクルのバリア機能が弱く、ダメージを受けやすいタイプです。歳をとると髪が傷みやすく感じるのは、毛が細くなっていくからでしょうね。そして、髪の「太い、細い」が「硬い、柔らかい」という感触の違いになるのです。人の顔がそれぞれ違っているように、髪にもそれぞれの個性があるということですね。美容師はそういった個性を観察して、技術や薬液の選び方を変えているのです。


Q9 傷みが気になるけどパーマはかかりますか?


最近、髪がからみやすくて傷んでる感じ。パーマやカラーはしばらく間をおく方がいいの?

A 髪の状態をみてパーマ剤やカラーの種類を使い分けたり、ケアを変えるのがプロの美容師。ダメージの状態によってはパーマやカラーにドクターストップをかけることもあるんですよ。もちろん、無理して施術することは不可能ではないけれど、すぐにパーマがとれてしまったり傷みがひどくなったり・・・。髪のコンディションをキープしてスタイルを長く楽しんでほしい、あとで残念な思いをしてほしくないってプロは考えています。
そんなプロの目からみた、ダメージレベルの見分け方を表でご紹介しますので、是非参考にしてください。髪の過去・現在・未来を考えるのがプロフェッショナル。レベル0の方に強いアルカリ性のパーマを使ってもウェーブがでなかったり、同じパーマ剤をレベル5の方につかうと負担が大きくて髪が悲鳴をあげたり・・・五感をフル活用して髪の状態を見分ける目こそ、プロならではの極意なのです。

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