一人サロン経営マニュアル 3
価格設定を間違うと、永遠に目標達成は不可能
1 価格設定の重要性
価格設定は「ほしい売り上げ」もしくは「ほしい時給」から逆算して、決めていくのが正解です。
一番怖いのは、価格設定を間違うことで、「永遠に達成不可能な目標を目指している」といった事態が多くのサロンで起きています。
例えば、「月の売り上げが100万円ほしい」という場合
・一日5人までの施術
・月20日の営業日数
であれば、1か月にこなせる最大客数は、100名です。
100万円÷100名=1万円
となりますから「平均1万円の支払い」となるように価格設定をしておく必要があります。逆にここが5000円、7000円という状態では「何をどんなに頑張っても」目標の月商100万円達成は、不可能です。
2 客単価よりも「時間単価」で考える
時間単価とは、「一定時間当たりの単価」です。
基本的には「1時間」もしくは「10分」あたりの単価で算出します。
客単価の場合
【売り上げ】÷【客数】で算出できますが時間単価は
【売り上げ】÷【お客様の滞在時間】となります。
わかりやすく美容院で例えれば
1日の客数が5人 5人の施術に合計6時間だとすると
【6万円】÷【6時間】=【1万円】
つまり時間1万円となります。
一人サロンとは「時間の切り売り」すべての仕事は「時給に換算」できます。時給は結局「生産性」です。
常に「あなたの時給」を上げる努力をしていきましょう。
「値上げ」について
1値上げをするべきタイミング
「物理的に今の価格設定では、欲しい売り上げに届かない」場合。
このまま経営を続けても「目標に達成しない」ときは早めに対策を考えて実行しましょう。
次に、「予約が8割ほど、埋まり始めたとき」
予約が8割埋まるとそれ以上の伸びしろはないと考えましょう。
「リスク最小限」の値上げ方法
サロンで値上げを行う場合
・既存客が離れる可能性がある
・新規集客の難易度が上がる可能性がある
という2つのリスクがあります。
そのリスク回避は
「既存客の価格は、値上げせずにしばらく据え置き。新規のみ値上げする。」という方法があります。
もう一歩踏み込んだ方法としては
「一定ライン以上の常連や上顧客だけ、価格を据え置きにする」という方法もあります。
値上げに向いたタイミング
・移転オープン
・リニューアルオープン
・年始
・消費税の増税時
これらは値上げしやすいタイミングと言えます。
「根拠なき値上げ」もあります
・すべてのお客様に対して値上げ
・一部の顧客は据え置きにして値上げ
・すべてのメニューを値上げ
・一部のメニューを値上げ
・明確な理由のある値上げ
・根拠なき値上げ
最もわがままな値上げ
【全員に対して】+【すべてのメニュー】+【根拠なき値上げ】
もしあなたが「お客様との信頼関係をしっかり築けている」という自信があり、すでに受付可能数の上限に近い来店があるなら。さらに「今の価格は価値に対して安すぎる」と感じていて「多少のリスクはとってもいい」とお考えなら、この手法をおすすめします。
いくら値上げすべき?
・現在の価格設定が、どの程度、適正価格からはなれているか
・あなたが「欲しい売り上げ」がいくらで、その達成のためにはどのような価格設定であるべきか、
値上げ幅の基準1
時間単価に換算して、1時間あたり3000円をしたまわるような場合。
時間単価が「一時間あたり3000円以下」となると多くの場合、サロン経営は厳しいものになります。
値上げ幅の基準2
・1割の値上げ・・・1割ならやらないほうがいい(すでに高単価のサロン別)
・2割の値上げ・・・比較的、失客しずらい値上げ幅のライン
・3割の値上げ・・・「値上げ」のメリットを享受しやすく、リスクも少し高めになり始める
・4割の値上げ・・・4割あげるなら、いっそ5割上げたほうがいい。リスクは5割と同等
・5割の値上げ・・・実質1・5倍の値上げ。メリットが大きくなる分、「2から3割の値上げ」と比較して、リスクも高くなる。ただし、「そもそも価格設定が安すぎる」サロンにはおすすめ
値上げの「幅」についてはあなたのサロンの現状に左右されますので、あくまで目安とお考え下さい。
2割値上げしても16%までの失客なら、売り上げは変化しない
「2割値上げしても16%までの失客なら、売り上げは変化しない」
つまり、仮に毎月100名が来店されるサロンで、「すべてのメニューにおいて2割値上げ」した結果、1か月の来店数が84名まで減ったとしても売り上げは落ちません。
・2割値上げして、10%失客
・3割値上げして、16%失客
こうなってくれば、当然、時間は増えつつ収益は「増」となります。
「地域で一番高いサロン」は集客できるのか
高い買い物においては、自己の判断を正当化する傾向にあり、安い買い物においては「安いなりの理由」を探そうとする
地域で一番高いサロンは「技術・接客・サービス・空間・あなた自身のどれをとっても「高い水準」にしなくてはいけない
人は最低点のポイントが印象に残りやすく、そのポイントでジャッジする傾向がある。つまり施術や接客、サービスが完璧でも空間がダメダメということになれば、そのお客様がリピートされる確率は極端に低くなります。
「カード決済効果」
人は、「欲しい」と思った瞬間が、基本的に最も「購買意欲が高い」と言えます。
クレジットカード決済をサロンに導入するメリットは「利便性の向上」や「現金の持ち合わせがないお客様への対応」だけでなく、キャッシュレス決済するときは、現金払いと比較して支払額が大きくなる傾向にあります。