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雑感

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本とか、本以外のいろいろなことについて。
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#アニメ

磯野カツオの背骨は1ミリたりとも伸びない。

2015年2月22日  子どもの頃、テレビアニメの登場人物たちの記憶喪失っぷりに憤りと不信感を覚えることがよくあった。  「つい先週の体験を覚えていたら、そんなことは言えないはずだ」「君たちはあの映画での大冒険を忘れてしまったのか」「こいつらってばまた同じことやってる、バカか?」などなど。  長じるにつれ、登場人物が永久に年をとらないいわゆる “ サザエさん時空 ” という方便を知ったが、理解はできても納得はできなかった。逆に理 解すればするほど、テレビ画面のなかを右往

「まずは粉を練るんだ!」とジャムおじさんは言った。

2015年2月  子どもと楽しさを共有できるたくさんの作品のなかで、『アンパンマン』ほどシンプルかつ本気で誠実なものを私はあまり知らない。  頭部が交換可能なアンパンでできたヒーロー、アンパンマン誕生の背景にやなせたかしの従軍経験があるのは有名な話だ。戦場で「正義」という言葉のキナ臭さ と飢え苦しむ人々の実態を思い知った彼は、強い力で敵を倒すだけのヒーローに、そしてそれが「正義」として描かれることに違和感を覚えた。その後 “ 売れない作家 ” として長らく不遇の時代を送る

「君の様子がおかしかったから、後をつけたんだ」とドラえもんは言った。

2015年1月  このところ、子どもといっしょにドラえもん映画をたくさん見ているのだが、新劇場版にはやっぱりいまだに馴染めない。どうしたって1980年代作品がすばらしすぎていちいち比べてしまって、あれらのおかげで世界の不思議に目覚めた少年時代を思い出す。VHSの磁気テープが擦り切れるほど「ドラえもん」を見まくったあの頃。  思い入れが深いだけに、2005年の全面リニューアルにはかなりの衝撃を受けたものだった。ハイビジョン制作への移行、声優陣と製作陣の一新、キャラクターデザ