ウィーン・プラハ紀行 3日目 その1
(2019年4月7日)
ベートーヴェン交響曲第1番ハ長調作品21
L.v.Beethoven / Symphonie Nr.1 C-dur, op.21
ベートーヴェン三重協奏曲ハ長調作品56
L.v.Beethoven / Koncert für Klavier, Violine, Violoncello und Orchester C-dur, op.56, „Tripel Konzert“
ベートーヴェン交響曲第1番ニ長調作品36
L.v.Beethoven / Symphonie Nr.2 D-dur, op.36
アンドリス・ネルソンス指揮ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
Andris Nelsons / Wiener Philharmoniker
ルドルフ・ブフビンダー(ピアノ)、アルベナ・ダナイローバ(バイオリン)、タマス・ヴァルガ(チェロ)
Rudolf Buchbinder(Piano), Albena Danailova(Violin), Tamas Varga(Cello)
ウィーン楽友協会大ホール
Musikverein, Großer Musikvereinsaal
ゆっくり起きた3日目。はい、今日はウィーンフィルの日です!
ベルリンフィルは新婚旅行(!)のときに聴いたので、双璧のウィーンフィルを聴けるという、この上ない喜び。ウィーンフィルの音の秘密に、少しでも迫れれば。
ホールは楽友協会。言わずと知れた、音楽専用ホールの最高峰です。我が大阪の「ザ・シンフォニーホール」をカラヤンが褒めたときにこう言ったそうな。「ウィーン楽友協会大ホールに比肩するほどの音響だ!」と。そう、そのウィーン楽友協会大ホールでの演奏会です。正月のニューイヤーの舞台ですよ!
11:00の朝公演。宿からホールに徒歩で向かう途中、カールスプラッツ(広場?公園?)にあるブラームス像に息を呑まれました。この像がここにあることを知っていましたが、唐突な出会いに感激。ひとしきり、たたずみ、込み上げてくるものを大事にしながら、楽友協会に足を向けました。(ここでポケモンGOのレベルが36に上がったのは内緒です)
ブラームスが見つめる先にある、楽友協会。ここでウィーンフィルを聴く。こんな贅沢、ありません(さっきも言った)。ホールの中を、観光客丸出しで、写真撮ったり、眺めたり。ホール内はあまり言われませんでしたが、建物とホワイエは撮影不可(でもちょっと撮った)。
思ったよりも小さい(キャパ1680)ホールではありますが、テレビ放映でお馴染みの黄金のホールはまさにキンキラキン(古い?)で、これでもか!というぐらい、金一色です。予約した席は49€の右側バルコニー席の一番後ろ。舞台には近かったですが、座ってみるとオケの半分も見えない。立ってようやく指揮者が見える席。まあ贅沢は言ってられない!
開始前、クラとかファゴット、フルートが音出ししている音を聴いただけで、「うわ!」と思うぐらい、音が飛んできます。クラは遠目では分かりませんが、若いトップの人。ラドシュテーターさんかな?ウィーンらしい、まろやかな良い音がホールに響きます。フルートは最近話題の女性トップ、多少のお風呂感を感じつつ、開演を待ちます。
ベト1ベト2にトリプルコンツェルトが挟まっているという、何ともお腹いっぱいの演目。お初のアンドリス・ネルソンスは私の4つ下(40歳)ラトビア出身の指揮者。若い指揮者の中では昨日のクルレンツィスと違い、正統派の進化を遂げている指揮者のようです。ベートーヴェン・ツィクルスの最中で、CD製作でも準備してるんかな。
ベト1冒頭から、豊潤な響き。ああ、これがウィーンフィルか。なるほど、「ウィーンフィルの音がする」。CDで聴いた、でも始めて聴く響きに自ずと笑みが。ウィーンの音楽文化を肌で感じ、耳で聴いた瞬間。
1楽章展開部からエンジンがかかってきました。破綻のないフォルテ、ピアノでも豊かな響き、ゴージャスでかつ芳醇な、言葉で表現するのが難しい個性があります。決してブレない「ウィーンフィルとはこの音だ!」というプライド。
とくにオーボエの音色は最近インターナショナルになったとはいえ、CD以上に独特でした。負けず劣らず、往年のプリンツを思い出させるような、クラリネットのラド君の音と音楽。ベト2の2楽章は素晴らしかった。
トリプルのソリストであるアルベナ・ダナイローバはウィーンフィル初の女性コンミス。安定感のあるソロとアンサンブル、何ともしなやかな演奏。そういえば女性が増えた。クラの2ndも女性が出てたし、弦にもチラホラ。
ちなみに版はベーレンライター新版を使ってました。アプローチは古楽的ではなかったですが、スッキリしたベートーヴェンでした。音の秘密は?と聞かれたら、「まあ、ホールですね」と答えたくなってしまう。もちろん、奏者の独特な音色と節回し、弦は詳しくないけどアップボウでデタシェの短い音が気持ちよかった。何だろ、ソフトさとでもいうんでしょうか。弦に限らず、明らかにホールを使っているし、ホールの響きがこうなるから、こういう風に合わせようねーと音楽で会話している感。言葉足らずスミマセン。
2時間半のたっぷりコンサート。精魂使い果たして聴かせていただいたウィーンフィルでした。至福の時。また来ます。
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