3月9日あたり
日本の冬は長い。
そもそも四季をこんなにも楽しめる国はないので贅沢ではあるが、それでも「寒いなぁ」と外で感じ始めてから明けるまで約半年。1年の半分は寒さのなか過ごすのだ。だからこそ、久しぶりにふと暖かさを感じたときの「.....!」という感覚は真顔で外に出た誰もが少しは表情を変えてしまう瞬間だろう。
皆さんは日本のどの季節が一番好きだろうか。
大きく分けると4つ、春・夏・秋・冬。どの季節も言い出したらキリがない程良さが詰め込まれている。先に申し上げたように、短いが故にその季節を好きになってしまうということもあるだろう。三橋の森にも樹齢100年を超える桜のシンボルツリーがあるので、これからやってくる季節は特別だ。
花びらが顔を見せやがて満開になり、春風にのって散りゆく様子を人々はため息をつきながら眺める。3月末から4月、桜の木の周りは人でも華やかだ。多くの人が自分の生活圏内にある桜の木を意識するのも1年のうちこの2週間だろう。満開の桜をゆっくり見れる昼の時間をいそがしい日々の中で確保するのも大変だから感動もひとしおだ。こんなにも人の心を魅了するのにあっという間に散ってしまうこの花を例え、昔から様々な歌が作られてきた。平安時代のプレイボーイ・在原業平(ありわらのなりひら)から始まり、現代でも「桜」をテーマにした歌は卒業・恋愛・友情・夢に繋げてとめどなく発表されていく。
そんななかで、このハイシーズンより少し前の時期にフォーカスした歌の存在を知っているだろうか。
流れる季節の真ん中で
ふと日の長さを感じます
溢れ出す光の粒が
少しずつ朝を暖めます
この歌はまだ桜が咲く前、蕾が膨らみ始めまだ寒さが残るちょうど今の時期のことを綴っている。
「3月の風に想いをのせて 桜のつぼみは春へとつづきます」
桜が咲くと人々は立ち止まって見る。それは単純に花が綺麗だから、ひとときしか咲かない儚さがあるからという理由もあるだろう。でもそれだけではたった一種の花がここまで日本人を魅了するには足りない。もうひとつの理由がこの「想いをのせて春へつづく」というフレーズに詰まっていると思うのだ。花自体の綺麗さだけではない、「長い冬から抜け出しやっと温かさを感じる春」という心も身体も状態が移り変わる時期に目に入るから人々は想いを馳せやすいのだ。
朝、明るくなる時間がだんだん早く感じる。風を感じても寒くない。どこからかはわからないけど花の香りがする。けど日が沈むとまだ厳しい寒さが残る。今の時期が満開の一歩手前だ。「あと少しだよ」と背中を押してくれているような時期。
「昼前の空の白い月は なんだか綺麗でみとれました」
「うまくはいかぬこともあるけれど 天を仰げばそれさえ小さくて」
皆さんは日本のどの季節が一番好きだろうか。
華やかさは1年のなかで一番欠けるかもしれないけれど、この「3月9日」あたりの季節を毎年しっかり感じるのは何気におすすめできる。
じっと耐え続けてまだ芽が出そうもない何かも、もしかしたら気付いてないだけであと少しの兆しが現れているかもしれない。この時期をきちんと感じるかそうでないかで、あとに訪れる喜びの見え方も違ってくるだろう。
だから今年からは是非、地味でどの季節でもない中途半端なこの時期をからだ全体で感じてほしい。
特に今年の冬明けはきっと例年と違った喜びも伴うと思うから。
おわり*.
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本日もお立ち寄りありがとうございました*.
また次回もお楽しみに♪
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