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〈29〉学童保育から見る保健師という職種
筆者は公立の放課後児童クラブで働いています。
保健師免許所持者として謎の使命感から、児童の発達やその支援方法、行政という組織の中でどう振る舞えばよいかを積極的に、敢えて保健師に相談しています。
発達という側面を見続けるという意味で無関係ではないはずだから、耳に入れておいてほしいと思っています。
また、人の尊厳とか権利とか、そういったことを学んでいる職種ですから、学童保育がどうあるべきかという理念を、保健師なら理解してくれるはずだと思っています。
行政事務職からぞんざいに扱われる中、筆者がしようとしていることは間違ってないですよねと、保健師と話すことで道を見失わないようにしています。
今回はそんな放課後児童クラブ、学童保育の世界から見える行政保健師について思うことを書いてみます。
一つは単純に、もっと幼児期の発達をスクリーニングできたらいいのにと思ってしまいます。
学童期に入ってから発達の凸凹をカバーするのは非常に困難です。そもそも簡単ではないという意味と、保育を学んでいない者には技術が無いという意味で。
乳幼児期の保育で積み重ねてきたものを、学童期の保育で変えることなどできません。
まず親子共々受容が難しい。困難感の自覚があれば支援もしやすいですが、そうでない場合は支援したくてもできないケースも多々あります。
次に学童期に発達の凸凹を指摘できる職種がほぼいません。診断は医師しかできません。そこにつなげられる職種は限定的です。
保育園・幼稚園の保育士やそういった施設を巡回する発達支援センターの職員、乳幼児健診の保健師やその場で発達相談を担当する発達支援センター職員です。
教師や放課後児童支援員は指摘すらしてはいけないとされています。なので現場で気付いてもどこにも相談したりつなげられずに、多少の配慮は頑張ってしますが、現状見て見ぬふりになっていると感じることもしばしばあります。本当にもどかしいです。
そして学童保育は療育ではないので、放課後児童支援員に適切な介入をする技術がありません。
無資格者はスキル皆無です。元看護師だって皆無です。
学童期から何とかするのは難しい。ということは、それ以前に療育につながる必要があります。
それができるのは、保育園であり幼稚園であり、乳幼児健診なのではないかと思うのです。
ここで拾い上げる力があるかということです。
乳幼児健診、行ったことのある方は思い出してください。発達の相談をしたことのある方、思い出してください。
どれだけの時間を費やしましたか?
相談相手にどんなことを言われましたか?
それらに満足できましたか?
よく聞きますよね。言ってほしい言葉はそれじゃなかったとか、解決にならなかったとか、わかってもらえなかったとか。
もちろん必要な情報を得られたり、心が救われたりしている人もいるでしょう。
でもそうじゃないお母さん、お父さんも結構な人数いるわけです。
なぜか。向き合う時間があまりに短い。
ずっと子どもと向き合っているからこその保護者の気付きや不安を、その日数十分間会った者がどれほどの理解と判断ができるでしょう。専門職だって、事前情報、当日の観察からのアセスメントにはやはり時間を要します。
現状の健診のやり方では、明らかな特性を示していなければ、もう少し様子をみましょうという見逃しがされているのではないかと思うのです。
ではどのようなやり方なら良いかというのは、なかなか閃けるものでもありませんが、やはりもう少し観察と傾聴の時間を長く設ける、より観察眼のある専門職を配置する、一対一で終了するのではなく複数人で対応するということではないでしょうか。
人員不足、コスト。きっとネックになるでしょう。
でも当事者視点に立つなら、本当に母子父子のために尽力するなら必要なことですよね。
結局自治体や国がどれだけ真剣に母子保健や児童福祉と向き合う覚悟があるかが問われるのだと思います。