〈147〉精神疾患を抱えながら放課後児童クラブで働けるか①
今回はある意味支援員の質の話。労働者の話。
精神疾患を抱えながら働く現状や、抱えながら子どもの育成支援に携わることはできるのかについて、現場から見た実情を述べておきたいと思います。
共に働く支援員にも、様々な基礎疾患のある人がいます。どこの職場もそうですよね。
筆者自身も慢性疾患と付き合いながら働いています。
病気であっても、無理しない範囲で、細く長く働けることが大事だと思っていますし、そのために労働環境を整える、共に働く仲間と助け合うことが大事だと理解しています。
そのためにこれまでも、できないところは補ってきましたし、人の健康のためにある看護師・保健師の資格ですから、学童保育の理想と無理解の狭間で疲弊していく仲間のために、運営主体である自治体と戦ってきました。
さて。
放課後児童支援員に求められる資質として、設備運営基準に"健全な心身を有し、豊かな人間性と倫理観を備えた者"と明記されています。
放課後児童支援員は、その言動が子どもに与える影響が大きい存在とされています。
例えば、とある精神疾患の影響で、現場では以下のようなことか起きています。
時間を守ることが難しい
出勤時間になっても来ない。
就業時間がまだあるのに帰ってしまう。
時間感覚が狂ってしまうのか、時計を見て確認することが難しくなるのか、下校時間の誤認や「◯時にこれこれをする」のが難しくなります。
子ども達に見通しを示しながら時間を守ることの必要性を教えている中で、そのような姿は子ども達の目にどう映るでしょう。
ルールのなし崩し
支援員間で、あるいは子ども達と話し合って決めたはずのルールを、忘れてしまうのか、その場の雰囲気にのまれてしまうのか、判断力が低下しているのか、なし崩してしまうことがあります。
確認してくれればよいのですが、それも難しいことがあります。
そうなると、"人によって言うことが違う"という、あるまじき事態が起きます。
子ども達は人を見る目ありますからね。人を選んで行動するようになります。
ルールとは?
記録が残らない
日誌や子どもについての記録、保護者からの伝達、他の支援員への引き継ぎが難しいことがあります。
例えば出欠確認は、放課後児童クラブにおいて最大責務といっても過言ではない業務ですが、人数の入力漏れなら、他の記録と照らし合わせて埋めることができます。しかし、Aさんが来たのか来てないのかの記録すら残ってないとしたら、どうでしょう。
引き継ぎがされない
例えば、保護者からの次の日の出欠連絡を聞いた。しかし他の支援員に引き継がれず、記録にも残っていない場合。
次の日、当然連絡なく欠席しているとして保護者に連絡します。
すると、「え?伝えましたけど。」となり、謝罪することになります。
それが何度もあるのです。
見通しを持ちづらい
予めシフトを組んでも、自らの用事を仕事のある日に組んでしまって、仕事の方のシフトを変更しなければならない。
放課後児童クラブとしての行事や会議などの予定、1ヶ月後2ヶ月後の動きを把握しておけない。
焦ってしまう
焦らなくてもよい場面で焦ってしまうこともあります。
いくつかの家庭の迎えが重なってしまったり、連絡事項が多かったり、子ども達が揉めている、統率がとれない場面など、他の支援員もいて、対応を一人で全てしているわけでなくても、あれもこれもと焦る気持ちが強くなってしまいます。
"しなくっちゃ"が強くなる
体調悪いけど仕事に行かなくちゃ
自分がいなくちゃ、やらなくちゃ
そんな思いとは裏腹にできないことが増えていく。
出勤日じゃないのに来たり、出勤時間じゃない時間から来たり。
判断力の低下
子ども達のやること、起きることへの介入の必要性やタイミングの適切な判断が難しくなります。
介入が不必要な場面で介入に入ったり。
不必要な声かけをしたり。
そうした時に、子ども達の表情は強ばったりするのですが、気付けないのです。
組織運営として必要なことは何かも、考えることができなくなったり。
言動が二転三転する
「できる」と言ったことが別の日には「できない」となっていたり。
自分が言ったことが別の日には「そんなこと言ってない」となったり。
話し合って決めてきたはずのことが「そんなこと頼んでない」となったり。
本人のせいではない。疾患のせいであると理解していても、切ない気持ちになります。
そして大人だけが困る事態になるならまだしも、支援員間の不和は子ども達にしっかり影響出ます。
その場にそぐわない言動や不適当な介入は子ども達の育成阻害します。
焦らなくていい。頑張りたい気持ちを尊重しつつ、できることをお願いして、できないところはフォローする。
でも、フォローするにも限界はあります。
支援員を支援するためにいませんから。