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翻訳こぼれ話|時間を止めろ!|余談ですけど
こんにちは。
余談ばっかりですけど、本日も、翻訳オタクな話です。
といっても、今日書く話は、ファシリテーターさんは知っておいた方がいいかもしれません。
クリーンランゲージの質問の特徴の一つは、単語数がものすごく少ないこと。
だから覚えやすいというメリットもありますが、だから、翻訳者は悩む。
もっと長い質問だったなら、意訳がしやすかったんですよ、本当に。
私が質問の訳に手をつけた頃、今となっては私の文通友達、英作文の先生、そして、シンボリック・モデリングの開発者でもあるジェームズは何度も言いました。
「質問の意味を翻訳しようとするのではなく、質問の機能を翻訳しなさい」
なぜかというと、クリーンランゲージは文学ではないからですね。
クライアントが繰り広げる世界は、文学的なことも多々ありますが、それをサポートしている質問は、文学ではなく「道具」です。
だから、それがどんな意味かというよりは、問いかけられた人に、質問がどんな風に作用するかが重要です。
もしも、普段、日常で、言葉の意味にこだわりがちなファシリテーターさんがいるならば、これはよくよく頭に入れておく必要があります。正しい翻訳はありません。効果がある翻訳はあります。効果がない翻訳も・・・時にはあります。(試してみないとわからない)
クリーンランゲージの基本の質問の働きや作用については、テキストに詳しく解説してありますので、もしよかったらご購入ください。きっとお役に立つと思います!
それを聞いて、「ふんふん、楽しそうね」と好奇心いっぱいに思った私でしたが、その言葉の意味の重さに、どうよ!どんどん気づき始め、こりゃ大変やで!となりました(笑)
なぜかというと、翻訳作業がパソコンの中だけでは完結しなかったからです。人がどう反応するかは、その質問を使ってみなければわかりませんでした。加えて、クリーンランゲージを知っている人たちに使うのでは、その質問そのものの効果を確認することができないことがわかっていたからです。
私は、数年の間、自分自身のセッションの顧客にさまざまな質問訳を使い続けました。今、私が基本の質問訳として公表している翻訳は、多くの人に使用してみて、大体の人には効果があるだろうという質問訳です。
加えて、初心者さんがみるだろうという前提で、細かい部分は掲載していません。
しかし、その質問表を提出した後で、思いついたことがあり、試してみたら「こっちの方が反応がいいな」と思った一つを本日は。
クリーンランゲージの質問は、三部で構成される独自構文を持っています。
これがまあ、変ちくりんな構文です。
全世界的に、「変だ」と大きな声で言っていいことになっているので、はっきり書きます。変です。
ちょっと見てみましょう。
クリーンランゲージの三部構文
1:そして[クライアントが言った言葉を繰り返す]
2:そして[クライアントが言った言葉の中から注目したい言葉を抜き出す]の時
3:クリーンランゲージの質問?
(原文)1:And…., 2:And when….., 3:Clean Question?
翻訳が関係してくる話は、2です。
「〜の時」の部分です。
これは強敵でした。
まず私が最初から引っかかったのは、音でした。
例により、これが英語のテストなら、私はちっとも悩まなかった!笑
そして、私の頭がもっと柔らかかったならば、もっと早くに辿り着けたかも!
私は日本の教育を受けて育った「正解がある世界」の住人でした。
英語のテストにはいつでも必ず正解がありました。そして、意味を正しく理解できることは重要なことでした。
「聞いた質問は、あなたが答えやすいように勝手に頭の中で変えていいのよ」(クリーンランゲージの質問は全てそう)なんてこと、私の中にはありませんでした。
だから当初私は、「意味がわかりやすい質問」を考え続けていました。
意味なんてどうでもいい(とは言わないが)、起きることさえ起きればいいことに気づいたのは、何年も後のことでした。
時は、英語ではWHENに対応しています。
これがテストなら時と訳せばそれで良い!100点満点の回答です!
もしも質問を目で読むならば、時でいい。
しか〜し。
クライアントは、質問を「耳」で聴く。
この事実が大きくのしかかりました。
さあ、ウェン、と、トキ。
声に出して言ってみてくださいね。
・・・音の柔らかさが、明らかに違いますでしょう?
クリーンランゲージの質問は、非常に耳のいいデイビッド・グローブが、音にもこだわって考えたものです。
トキ、は、その位置が質問の直前に来ることもあって、音が目立ったんです。つまりは、クライアントに耳残りをする。クリーンランゲージの質問の意味を知らない人たちから、そういうフィードバックをたくさんもらいました。
耳残りをする=クライアントのランドスケープに介入している。
いやん、これはまずい!となりました。
クリーンランゲージでは、質問は消えればいいし、ファシリテーターも存在が消えてしまうファシリテーターが一番いいファシリテーターだと言われています。
さて。
ここでちょっとばかり、クリーンランゲージの質問の中でWHENがしている仕事を見てみましょう。
「WHEN」がしている仕事は、「時間を止める」ことです。
クライアントが質問を考える場面設定をしているともいえます。
質問を考える前提を設定しているともいえます。
「ある場面の、ある時間で、時を止めて、ある何かに注目してみよう」
それは、普段「ある何か」を考えるときに存在しているのとは違う時空間。
そこ、で、時を止めています。
・・・むっちゃ大きな仕事をしてるでしょう?ちっちゃな単語ひとつで。
「WHEN」のように、柔らかく、違和感なく、時間を止めるにはどうしたらいいのか?
長い長い時間がすぎ・・・
たどり着いたのは、以下3つのやり方です。
現在、私は、3つのやり方を使い分けしています。
従来通り。「そして〜の時(に)」
この時、ポイントは、母音を意識すること。それだけで音はまろやかに変わります。できるだけ唇を尖らせず、ほっぺたを緩ませているのが大事。時と言わずに、「間(ま)」を取って、時間を止める。
日本語は素晴らしい!「間(ま)」という感覚が存在します。
2構文目で、注目したいクライアントの言葉を繰り返した後、2秒くらい黙るんです。時間を止めるぞ!という気持ちで。
そうすれば、そこで時間は止まります。クライアントの言葉をくり返した後、「その時」と言う。
こちらは、注目したいクライアントの言葉の部分が場面や出来事のように文章だった場合に使用しています。
全部をくるっとまとめて、「その時」。
3の例 (C:クライアント F:ファシリテーター)
C:いつもいつも毎回同じことが繰り返されるんですね。その度に考えるんですけど、理由がさっぱりわからないんです。
F:(1を省略します)
そして、いつもいつも毎回同じことが繰り返されるけれど、理由がさっぱりわからない その時、同じことが繰り返されていることを、あなたはどのようにして知りますか?
*太字はクリーンランゲージの質問
ようはですね、時間が止まればいい!
そして、私の周りに存在していたファシリテーターさんたちに聞いてみたところ、2を無意識にやっていた人たちが割といることが判明しました。
「言われてみれば、なんか自然にそうやってたわ」
「ああ、そういえば、今気づいたけど・・・」
というようなお声がちらほらと上がりました。
実際に運用してみて初めてわかることってたくさんあるものですからね。
そして、クリーンランゲージを使う人にとっても大事な精神は「試す心」。
「試してみなくっちゃわからないわね」が大事です。
基本の質問訳をお守りに、しっかり、あなたの目の前にいるその人を観察して、あなたの目の前にいるその人のための小さな工夫をしてみてくださいね。
さて、本日はこの辺で。
では、また。
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