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新世紀の寺子屋 第27回

今回は、次期米国大統領になる「トランプ氏を知ろう」という授業を行いました。世界が注目した米国大統領選は、結局は激戦7州の全てでトランプ氏が勝利し、538人の選挙人の内312人を獲得して圧勝しました。来年からトランプ政権がスタートします。それでは、トランプ氏はどんな人物でしょうか?

クイズでトランプさんを分析していきましょう。余談ですが、先日、小学校に呼ばれて少し授業をしました。その時に、トランプクイズをやったら、めっちゃ盛り上がりました。トランプさんって、日本の小学生でも盛り上がるんです。コンテンツとしては、最高の素材なのかもしれません。

トランプさんの好きな色は、もちろん赤ですね。いつも白いワイシャツに無地の赤いネクタイをしています。この赤いネクタイって、トランプ・シグネチャー・コレクションという自身のブランドのネクタイなんですよ。「情熱の赤」はトランプ氏に似合いますが、たまに真っ青のネクタイもします。ちなみに、このトランプブランドのネクタイは中国製とか・・・
問題2の答えは「裕福なおぼっちゃま」です。トランプ氏のハングリー精神を見ていると、貧困から這い上がってきたような印象を受けますが、裕福な家庭で育ちました。お父さんのフレッド・トランプはニューヨークで中流階級向けの住宅建設で成功しました。2万数千件のアパートを建設、運営していたようです。従って、トランプ氏は良い教育を受け、ウオートン大学という素晴らしい大学で学ぶことができましたね。このお父さんから28歳で会社を引き継いで社長になります。若手実業家「トランプ社長」の誕生です。そこから、トランプさんは高級不動産市場に進出し、成功していくのです。

トランプさんは、あのように見えて超潔癖症のようです。とにかく綺麗好きで、毎朝起きると、自分のベッドを完璧に整えることから1日がスタートするようです。従って答えは3番。同じ流れで、最も許せないものは不潔なもの、すなわち「汚いトイレ」です。我が国の石破首相はトランプ氏と来年には会談する機会があるでしょう。大事なのは清潔感です。握手した手が、べとべとしていたりしたら、一発で嫌われますよ。

トランプさんが長老派に属するキリスト教徒であることは、よく知られていますね。そのトランプさんは、なんと聖書を販売しています。2024年3月に特別版の聖書「God Bless the USA Bible」を販売開始しました。 この聖書は、カントリー歌手とのコラボレーションによるもので、表紙には星条旗がデザインされています。謎ですね。聖書本文に加えて、アメリカ合衆国憲法、独立宣言、権利章典、忠誠の誓い、そしてカントリー歌手の曲「God Bless the USA」のサビが収録されています。ますます謎ですね。価格は59.99ドル(約9,000円)で、トランプ氏の署名入りの特別版は1,000ドルで販売されているとのこと。トランプ氏の選挙資金集めのために、支持者に聖書を買わせているのでしょう。本当に敬虔なキリスト教徒なのか、怪しい~。

先ほど、トランプさんは潔癖症であるとのことでしたが、身体に悪いものも嫌いです。トランプさんのお兄さんが、アルコール依存症で43歳の若さで亡くなりました。この兄から「酒は絶対に飲むな」と忠告されていたようです。トランプさんは「飲酒は危険だ」とよく発言しています。従って正解は2番です。

問題7番は簡単ですね。①の不動産業です。NYのトランプ・タワーは有名ですね。中に入ると、これでもかというくらい一面「ゴールド」です。床も壁も柱も金色に輝いています。
問題⑧は、どうでしょうか?生徒さんの正解率がかなり高かったことに驚きました。まずトランプさんは「ホームアローン2」に出演していますね。クリスマスの定番映画で、今年もこの時期になるとテレビで放映されるので注意して見てください。トランプさんは「トランプ・シャトル」という航空会社を3年間ほど経営していたことがあります。内装を豪華にした高級路線ですが、燃料費高騰等で嫌になり、会社を売却しました。トランプさんはプロレスが大好きです。米国にWWEというプロレス団体があり、「レッスルマニア」というプロレスの興行をしていますが、このレッスルマニア23でトランプ氏はリングに上がり、WWEの会長と戦うというパフォーマンスを行って盛り上げました。ちなみにトランプ氏はWWEの殿堂入りを果たしています。このWWEの殿堂入りは、日本ではアントニオ猪木さん、藤波、獣神サンダー・ライガー、ブル中野さんなどが果たしています。ということで、正解は4番です。私の知る限りでは、バンドのボーカルは聞いたことがないです。変なダンスはよくしていますが・・・

トランプさんのやったことないシリーズが続きます。問題⑨はどうでしょうか?レストランは経営しています。今年、トランプ氏は有罪判決を受けました。大統領選に負けていたら、犯罪者として収監されていたかもしれませんね。世界美人コンテストは主催者として運営していました。従って、正解は2番です。アニメの声優はないですね。シンプソンズには、トランプ氏のアニメキャラクターは出てきますけど・・・

問題10はどうでしょうか?自分の大学の設立?まさかと思いますね。しかし、トランプ氏は「トランプ・ユニバーシティ」という大学を設立しています。起業家精神や不動産事業を学ぶ大学のようです。しかし、これは正式な大学としての認可を得ていないほか、高額な授業料に見合う教育内容が提供されていないとして、多数の訴訟を抱え、最終的には閉鎖となりました。自分の名前のゲームはどうでしょうか?これは、「トランプ・ゲーム」という人生ゲームを販売しています。大金持ちを目指すボードゲームです。香水もあります。男性向けの香水「ドナルド・トランプ・サクセス」です。これをつけると、成功するとか・・・野球チームは保有していませんね。正解は4番です。但し、トランプさんはフットボールチームは所有していたことがあります。結局は大失敗しましたが。

こうした成功者の印象が強いトランプ氏ですが、過去には事業に行き詰まり破産申請にまで追い込まれています。その回数は4回です。凄いメンタルですよね。4回も破産して、そこから復活して、米国大統領になったということです。子供達には、1回や2回の失敗なんて恐れるな!と言いたいところです。
さて、トランプさんが好きな食べ物はどうでしょうか?寿司が好きかどうかは分かりませんが、あまり聞いたことがないです。やはり、好物はハンバーガーでしょうね。なにしろ、大統領専用機内にマクドナルドを常備させたのですから。そして、2017年に「トランプ飯」が話題になりました。トランプさんが昼食に食べるマクドナルドの定番メニューとのことです。総カロリーは2500カロリーとかで話題になりました。このとき、トランプ氏は70歳ですからね。エネルギーが違いますね。

さて、生徒さんにはMAGA(マガ)を覚えておくように言いました。来年からの4年間、我々は色々なところでこのMAGAを目にするでしょう。

今のアメリカ社会は複雑です。保守とリベラルの対立、お金持ちと貧しい人の貧富の格差、低学歴とエリートのその後のキャリアの差、そしてお金持ちは高額な医療でますます健康になり、貧しい人は変な薬物で痛みを抑制しているうちに、薬物中毒になる。そういう歪んだ社会になっているのです。トランプさんは、こういう米国社会の歪みを修正していくことが求められていますね。

金融教育の一環として、トランプ氏の大統領選勝利後に大きく動いた株を少しだけ紹介しました。まず筆頭は、テスラです。
イーロン・マスク氏は、トランプ氏の大統領選の応援に約180億円くらいを使いました。そして、トランプ氏からの強い信頼を得ました。トランプ氏が勝利したことで、テスラの株価は急上昇し、マスク氏が保有しているテスラ株の価値も8兆円くらい増えたとか。不正確ですが、いずれにしても、トランプ氏に肩入れすることで、マスク氏の個人資産はますます膨れ上がったことは確かです。マスク氏の総資産は40兆円を超えているんですよ。やばいですね。

(テスラ株価)

下の写真は、大統領選挙に勝利した後のトランプ氏の家族写真です。何故か、イーロン・マスク氏も家族写真に入っています。それだけの信頼を得たということです。ところで、トランプ氏は中央左にいますが、トランプさんは身長190センチくらいあります。その後ろにもっと大きな青年がいますね。トランプさんの息子のバロン君です。なんと身長は206センチとか。

トランプさんの勝利で大きく上昇した銘柄に、金融銘柄があります。トランプさんは規制緩和に積極的なのです。米国の銀行は、過剰な規制で苦しんでいるので、規制が緩和されるとビジネスがしやすくなります。また、金融規制だけでなく、色々な規制が緩和されると、企業活動が活発化するので、企業に融資したり、M&Aの仲介を行う米銀は収益が上がるのです。そういう期待が先取りされて、金融株が上昇しました。

トランプさんは、就任初日に大統領令を出して、史上最大の不法移民強制送還作戦を実施すると公言してきました。そうなると不法移民を一時的に収容する民間の施設が忙しくなりますね。従って、民間の更生施設や収容施設の株価が急上昇しました。凄い上昇ですね。

そして、暗号資産です。ビットコインは今もどんどん上昇中です。

トランプさんは、米国軍を最強の軍隊に作り替えるみたいな発言をしてきました。米国の国防産業や、AIにより分析してシミュレーションするような企業の株も大きく上昇しました。

これら以外にも、色々なチャートを見てもらいました。
ところで、どうしてトランプさんは大統領選挙に大勝したのでしょうか?
今回の選挙の状況をクイズ形式で振り返ることにしました。さすがに生徒さんにはちょっと難しいよね。

問題①は正解です。今回の大統領選は注目度が非常に高い選挙戦でしたが、前回の2020年の得票率には及びませんでした。前回の2020年の得票率は66.4%で、これは1900年の73.7%以来の120年ぶりの高い得票率だったのです。今回は、前回に次いで戦後2番目に高い得票率でしたが、2020年を超えることはできませんでした。
出口調査では、米国の有権者が投票を決める際に重視した最大の項目は、「経済」であり、その中でもインフレ問題でした。

問題2は②間違い、問題4は①正解です。カマラ・ハリス氏は女性候補のため、女性の支持が増加すると思われましたが、伸びが鈍く、バイデン氏の2020年時と比べて数ポイント下がったと言われています。もちろん、トランプ氏に比べれば多いものの、あまり伸びなかったのです。
黒人票は、圧倒的にハリス氏への支持が多かったようです。

ヒスパニック、いわゆるラテン系の有権者の票が、民主党から共和党にシフトしました。これは、今回の選挙の大きな注目点です。ヒスパニック系は、敬虔なカトリック教徒である割合も多く、民主党の行き過ぎたリベラルシフトにより、宗教的な価値観とずれが生じたとも言われています。
問題は6は①正解です。若者は民主党支持が多いですが、その勢いは盛り上がりに欠けました。

もう一つの今回の注目は、問題7です。正解は②です。従来の常識では、民主党は低所得層に手厚い政策を実施する党であり、共和党は富裕層優位な党でした。しかし、今回の選挙では年収5万ドル以下の低所得者層が、トランプ氏を支持したのです。これは、バイデン政権の政策がインフレを引き起こし、食料価格上昇等で低所得者層の生活を苦しめたことの反動でしょう。トランプ氏なら、経済を良くしてくれる。こういう期待感が強かったのだと思います。
問題⑧は③のイスラエルのネタニヤフ首相でした。フランスのマクロン大統領も早かったですね。
今回は、このような米国大統領選とトランプ氏に関する授業でした。

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