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これからの広報デザイン「インターンシップデザイン特集」〜①妄想編〜

こんにちは。自然農園・取締役の村瀬です。今回は弊社が取り組んでいる、インターンシップデザインの研究についてお話ししたいと思います。

企業が、参加する学生を募って開催する、インターンシップ。
2023年に大きく変わりましたね。インターンシップと呼べる活動に、要件がついたのです。早い話、まとまった時間の確保と、その中にしっかりとした就業体験が組み込まれていないと、「インターンシップ」とうたって学生を募ることができなくなった、というわけです。

学生にとってインターンシップは「今回、がんばって参加したけど、採用にならなかった!むだな時間になっちゃったなぁ…」となると悲しいですね。逆もありで、企業にとっては「がんばってくれた学生に内定を出したけど、辞退されちゃった!いったいあの時間、なんだったんだろう…」も、かなり悲しい。「マッチングがうまくいかない」=「費やした時間のむだ」となるのは両者にとってよくないですね。
そのあたり、どうにかならないかなぁ、と、これからのインターンシップのあり方について考えるようになったのですが、きっかけになったできごとがありました。


インターンシップが変わる???

「村瀬さんご存知ですか?じつは今年から、企業が開催するインターンシップの取り扱いが変わるんです」
とある採用エージェントの方から、そんな話を伺ったのは2023年の春のことでした。
文部科学省・厚生労働省・経済産業省の3省合意による「インターンシップの推進に当たっての基本的考え方」についての話題です。
各方面から採用デザインの仕事を多くいただくようになりましたが、なにを隠そうそのニュースについてはぼんやりと捉えるばかりで、そのときあまり深刻には考えてはいませんでした。

聞けば、「インターンシップ」と銘打つからには、なかなかボリューミーな要件をクリアせねばならず、学生の獲得競争に負けないためにもインターンシップは当面企業にとって大きな課題になりそう、とのこと。

今まで学生に人気だった、1dayお仕事体験といった短期インターンシップは「オープン・カンパニー」に位置づけられます。
これに対して、インターンシップと呼べるのは、5日間以上活動する「汎⽤的能⼒インターンシップ」や、2週間以上の長期に渡って活動する「専⾨活⽤型インターンシップ」だけ!(ともにタイプ3と呼ばれています)。
いずれも必ず就業体験を伴うこと、となりました。
たしかに1日だけでは仕事を体験したということにはなりにくいでしょうし、長期間の活動だったとしても、そこに計画的な就業体験が組み込まれているかどうか、企業によってまたは職種によっても事情はさまざま。以前まではインターンシップの定義が曖昧だったと言えそうです。

昨今の企業や団体は、慢性的な人手不足。よって学生を獲得したい。しかし以前よりもまとまった時間が必要で、計画的な就業体験も組み込まなきゃ!となると現場を巻き込むことは必須です。今までより負担になる???と捉える企業が少なくはなさそうですね。

そこで採用エージェントの方は考えたわけです。
「多くの企業は悩みをもっています。地元企業の採用担当の方々のために、今後のインターンシップに対応する準備や対策などについて、採用の専門家がアドバイスするセミナーを開催する予定です。自然農園さん、インターンシップ実施企業として参加してみませんか?」
そんなお話をいただいたのです。

これまで自然農園では、採用担当の努力によって、インターンシップの経験が数回ほどありました。ありがたいことにデザイナーとして就職してくれた当時のインターン生は、今やとても優秀なディレクターに成長しています。自然農園にとってインターンシップはいいマッチングの機会でした。
しかしその頃と違って、近頃の新卒採用市場では学生獲得競争が激化して、企業は学生にむしろ選ばれる立場。ことは深刻です。

弊社の通常のインターンシップだと、「この作業お願いね(切り抜きとか、頼んじゃう)」あるいは「このデザイン案つくってみて(アイディアの創出を支援し評価する)」あたりが就業体験。新たなインターンシップの実施に悩む企業が参加するイベントで、はたしてこれが参考になるでしょうか…。
自然農園は、新卒採用をしない年もあります。たとえば採用を目的としないインターンシップというものが成立するなら、
「マッチングがうまくいかない」=「費やした時間のむだ」
となってしまう問題を、ちょっとはよくできるのかもしれません。

インターンシップをデザインする、ってなんだ?

またまた村瀬が、わけのわからないことを言ってる…、と呆れた社員もいたかもしれません。しかし、必ずしもかたちのあるものばかりがデザインではないってこと、みんなわかってくれてます。
だってイラレなんかでかたちをつくる作業の前に、うんうんと唸っていますから。心当たりありますよね。このときデザイナーは「かたち」を構成する「かんがえ」の部分を、せっせとデザインしているんですね。
わたしはデザインについて「かんがえのデザイン」と「かたちのデザイン」とに分けて説明することが多々あります。でもよくよく考えてみると、この分け方は、かたちのデザインを前提にしている、とも言えます。ほんとうは最初から、かたちのないもののデザインだってあると思ってます。
そのひとつが、時間なんです。

インターンシップと呼ぶには、5日間以上の時間が必要になったわけですが、まとまった時間をきちんと機能させるためには、設計する必要があります。
設計、つまりインターンシップをデザインする、という発想です。

よりよい時間にするために、人は時間をデザインする。

たとえばイベントのプログラムって、デザインされていますね。まとまった時間を切りとって、そこに特別な意味や目的を設けて、人をうごかします。人様をうごかそう、とするわけですから、ていねいにデザインされる必要がある、とわたしは思うのです。

じょうずにデザインされたイベントほど、人が集まって、参加者同士の心と心がつながりますね。他人同士のはずなのに、不思議な一体感が生じることもあります。
参加者は、体もうごかしますが、心もうごかしてくれます。そうすると進行もスムーズになって、目的に向かって順調に進みます。その時間に、特別な意味が加わって、きっとイベントが終わってもその場に居合わせた人だけの大切な経験として残っていくのではないでしょうか。
わたしたちが、いい思い出をつくりたい理由は、そんなところにあるのかもしれません。

時間のデザインって、さすがにプロの仕事でしょ!と思うかもしれませんが、わたしたちも日常的に時間をデザインしています。
今晩家に帰ったら、奥さんと晩ご飯を食べます。ドラマがはじまるまでに、片付けを終わらせたい。お茶を飲みながらドラマをみていると、奥さんが、アイス食べたいと言うかもしれません!買ってあったアイスはきのうわたしが食べてしまったから、わすれず買って帰らねばなりません。買い物の時間を考慮すると、そろそろ会社を出なくては!
などといった調子で、日々なにげなく時間をデザインするおかげで、きょうも無事よい一日として終えることができるのです。まったくデザインしない一日など、ありえないと思えてくるでしょう。
人をつないで、うごかして、よくする。
時間には、デザインの機能が働いているって思いませんか?

インターンシップも、時間のデザインである。

インターンシップは、かたちのないものですね。ならばイベントと同様に、しっかり設計すれば、学生にとっても企業にとっても、きっと有意義な時間にできるはず!あれこれ考えているうちに、そう思い至りました。

インターンシップをデザインすることで、企業が着手できなかったことにも取り組めるようになったり、あらたな課題を発見したり、イノベーションの種を見つけることができたりしたら、小さな企業だって、インターンシップに活路を見出せるかもしれません。
学生にとっては経験や学びになるし、自分が役に立つとわかれば、その企業やあるいは類似する業界を志す意味が出てきます。

とくに企業活動に紐づいた目的を設けることができれば、有意義な就業体験を提供できそうです。企業の課題に向き合う手段として、デザイナーが時間を設計する。これが成立すれば、マッチングだけが目的のインターンシップの時代は、きっと薄れていくはずです。

こんな考えから始まったインターンシップ・デザインの研究でしたが、その後、地域の大学といっしょにかけがえのない時間をつくる取り組みへと成長していきます。次回は、そのあたりから、お伝えしていきたいと思います。


2023年に実施した自然農園のタイプ3インターンシップの様子


自然農園では、採用広報の専門家として、採用サイトのデザインやオウンドメディアの運用、会社説明スライドのデザイン化、インターンシッププログラムの制作など、総合的なサポートを提供しています。
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