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成瀬という生き方

容姿端麗、品行方正、学業優秀、清廉潔白

非常に優れているということを表すのにたくさんの四字熟語があるように、それに該当するような人間がいるという現実がある。

天才とは、あまり他人に理解をされることがない。ましては小学生の頃のちょっと変わったような人間は、出る杭は打たれる。というか同い年の子供には避けられてしまうということもあるだろう。
成瀬は理解をされないこともたくさんあるが、それを気にもしていないのか知らないが、飄々を日々を過ごしている。

この本の主人公である成瀬あかりは一言で表すなら僕は「才色兼備」と表現するだろう。冒頭の四字熟語すべてにも該当すると思っているが、もしも彼女のような人間が中学校の同じクラスにいて、僕が女子だったらあこがれているか、嫉妬するかの二択だろう。

成瀬の生き方はすごいと思う。実現可能か、不可能かという点では置いといて、何事にも挑戦をするという行動力がすべてのことに実を結んでいるということがある。常識にとらわれないという柔軟な発想が成瀬を成瀬タラ占めている要因だと思う。

成瀬は「200歳まで生きる」といった。
人類の最高齢が120歳と言われているが100年後の未来にはもっと長生きできるようになっているかもしれない。はじめから200歳まで生きるという意思があれば200歳まで生きることが十分可能である。
 無茶苦茶な理論である。成瀬という人間は常識にとらわれることはないんだなと感じる。
柔軟な思想を持ち合わせているからこそ、様々なことに挑戦することができるのではないかと思う。

成瀬は、地元愛が強い人間だ。
今どき若者は地元から離れ、東京に上京をしたりする人間が多いだろう。小中学生の頃は学校で地元のことについて調べたりすることもあるし、僕だって実際に小中学生の頃は、ただ別荘があっただけで地元の偉人とされていた人間の調べ学習をしたりもした。僕も例にもれず、地元を愛するよりは、さっさと地元を離れて上京したいという思いが強いし、地元のために何かしたいなんて思うことなんてとくにはない。
しかし、成瀬は違う。
成瀬は誰に頼まれるわけでもなく、自ら地元のパトロールをしたり、滋賀県に来た人間を観光船に案内したりするような人間である。
一番最初の話では、滋賀の西武大津百貨店が閉店する際に、夏休み最後のおもいでとして、毎日西武ライオンズのユニフォームを着てテレビに映っている。
中学三年生の時には友達の島崎とゼゼカラというコンビを組んでM-1グランプリの予選に参加をしている。そのゼセカラの名前の由来は滋賀の膳所の地名からとっていて、いずれも膳所は二人の最寄り駅の名前である。
高校生になってもゼゼカラの活動は続き、コンビで地元の夏祭りの司会をつとめるほどになっている。
高校三年生の三学期には、びわ湖大津の観光大使に任命されている。
中学性の頃から大学生とこの作品の間で描かれている中でも成瀬という人間は地元である滋賀県を愛しているということがよくわかる。
この本のタイトルのように、成瀬は天下を取りに行ってしまうのではないと思うほどだ。

成瀬は優しい人間だ。
理解をされることは少ないだろうが、他人を受け入れる心がある人間だ。
自分がやりたいと思ったことは自分でやるし、誰かに協力を求めることがあったとしても無理強いはさせない。
ただ、他人のことを聞いてもいないのに自分で判断を下してしまうことがある。島崎が東京の大学に進学するというということを聞いて、勝手にゼゼカラを解散宣言をしてしまうことがある。
他人に頼ることをあんまりしてこなかったような人生だったのだろうか、他人をひきとめるほどのこともない。来るものを拒まず、去る者を追わずのスタンスだ。

成瀬は変人だ。
天才とはよく変わっているといわれることもある。実際に成瀬という人間はよくわからない。ふと思いついたようなことで行動をするし、実際に日本一位になるまでには極めることはないが、いろんな部分で秀でている。
けん玉、かるた、手品、おわらい。
まったく、方向性がつかめない。そして、極めてしまう。
意味が分からないが、それが成瀬を言う人間だ。


この本は非常に現実に近いような設定があるのが面白い。
固有名詞や実在する場所、都市をふんだんに使って、この日本に成瀬あかりという人物が存在するかのように錯覚する。

もし、成瀬あかりがこの現実に実在するなら06世代の現在高校三年生だ。
成瀬あかりは、今年度の京都大学の入学試験を受け、それを通過し春から大学一年生になる。
成瀬シリーズはもしも自分が成瀬だったらということを考えながら読むとものすごくワクワクするし、どうしてそういう結果になるのかというのがまったくわからないから面白い。今後もこの作品のシリーズが出たらぜひ読みたい。


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