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CIVILSESSION 24: VIRUS

開催日:2019年8月10日
開催地:下北沢 Café des Soleils

CIVILSESSIONはクリエイティブチームCIVILTOKYOのメンバーが様々な分野の方と行うアートセッションです。決められたキーワードを元に、発表者たちが一週間で作品を制作します。キーワード発表から一週間後にそれぞれの作品のプレゼンを行い、参加者の投票でグランプリを決定します。

第24回目のキーワードは「VIRUS」。
CIVILTOKYOの3名とゲスト参加者3名の計6名で行いました。

・秋田寛之(ストラテジスト)
・後藤寿方(アーティスト・グラフィックデザイナー)
 http://oocamidrawings.com/
・頼怡学 Sheri Lai(グラフィック/ブランディング・デザイナー)
 https://www.sherilai-design.com

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グランプリは頼怡学に決定しました。

「夫婦はお互いの生活にとってのVIRUSである」と定義づけた頼は、自身の夫との生活において、お互いの抱える不満や異質感を調査票に書き出すことにより、VIRUSを可視化しました。自らのプライベートをリサーチプロジェクトという形で公開し、笑いをも誘うプレゼンテーションで見事グランプリを獲得しました。

伊藤はやる気のでないことを、NO CREATIVE VIRUSという架空のウイルスに感染した為であるとして、そのウイルスのwikipediaページを作成。観客と共に編集して、やる気が出ない言い訳を一緒につくろうという試みを行いました。
秋山は特定の事件を例に挙げ、そこから発生した被害者や恐怖について説明。また「ルポ」としてそれを報告、発表しました。
「ウィルス=コンピューターウィルス」と連想した山森は、「コンピュータウィルスは人間に感染するのか?」という初歩的な疑問を、夏休み子ども科学電話相談室を模した質問者/アシスタント/有識者を一人三役で演じるパフォーマンスで会場を沸かせました。
根子はインターネットの情報の真偽が問われないまま拡散していくことがウィルスのようであるとして、擬似Yahoo!ニュースを誰でも作れてしまうジェネレーターを制作し、発表の場でも実演して見せました。
後藤はもともと子供好きではなかったにも関わらず、娘が生まれてから愛娘へのめり込んでいく様がウイルスに侵されているようであると解説。普段の自身の制作手法を主に、自身の娘と一つの作品を共作しました。



① 伊藤佑一郎(写真家)/NO CREATIVE VIRUS

夏のうだるような暑さに何もかもやる気がでない。そんなやる気がでないのをただ「やる気でませーん」と言っても誰にも通じない。だからこのやる気の出なさを何かのせいにしちゃいましょう。ちょうど学校に行きたくないのを体温計こすって風邪のせいにしたように。NO CREATIVE VIRUSに感染しているのでやる気がでないということにして。自分も含めてわからないことはgoogleで調べて、wikipediaに載っていることで信憑性を確かめる昨今。だったらwikipediaにNO CREATIVE VIRUSのページを作って、みんなで言い訳を編集しまくりましょうという試みです。わかってはいたことですが、wikipediaに投稿してからほんの30分でNO CREATIVE VIRUSのページは削除されました。僕らの夏の言い訳はこれで消えてしまいました。仕事頑張ります。

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② 秋田寛之(ストラテジスト)/My reportage

全く別で起こった事件の関係性を追求し、見えてきた真実を報告しました。またすべての事件を通して生まれてしまった被害者が感染した、Virusの怖さを伝え、警告と今後の対策までを伝えました。

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③ 山森文生(エンジニア)

「virus」というキーワードを見て、真っ先に連想したのはコンピュータウィルスだった。
 私はソフトウェアエンジニアとして、日頃からコンピュータセキュリティの最新情報に目を通すようにしているが、それらの情報を消化しようとする感性は果たして更新されているのだろうか。改めて考えてみると、10年以上前に培われた感覚のまま、技術に関する知識だけが更新されているのではないか。このままでは、情報技術周辺の安全性について考えるにあたり、動機や意図を理解しないために重要な事象を見逃してしまうのではないか。
 このようにキーワードを発端にして、自分の専門性に紐づく感性に対して、疑いを持つに至った。
 初心にかえり、コンピュータウィルスという驚異を常識から離れて検討しようとして、「コンピュータウィルスは人間に感染するのか?」というテーマに行き当たり、自分なりに下記の結論を得た。
 「これまでに、人間は様々なコンピュータウィルスの媒介者として利用されてきた。今後は、人間の生活とコンピュータとの関係が密接になるほどに、コンピュータウィルスの作用点が人間に近づいて、宿主の選定や症状の内容により人間が含まれるようになるだろう。人間がコンピュータウィルスの感染を実感する日も遠くないかもしれない」
 今回は、それをパフォーマンスとして、夏休み子ども科学電話相談室のような体裁で発表した。

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④ 根子敬生(デザイナー)/FAKE NEWS GENERATOR

なんか最近、ネットの記事とか、信じすぎるよな〜~~、とよく思います。
ネットの情報を鵜呑みにして、拡散することって、めっちゃ怖いな~感染するな~悪質だな~ウィルスだな~と思いました。しかも、別に高度な技術なんて使わなくても、それっぽい、嘘の情報なんていくらでも作れるな〜、と思い、親切な私は、誰でも嘘のニュース記事を作成することができるジェネレーターを作成しました。

もっとも、真実なんてどこにあるか分かんないんですけどね〜。

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⑤ 頼怡学 Sheri Lai(グラフィック/ブランディング・デザイナー)/VIRUS-Married Couple

VIRUS –夫婦は、お互いの VIRUS。

VIRUSを調べたときに宿主との関係についてWikipediaに下記の特徴が書いてあった:
• ウイルス感染による細胞死
• 持続感染
• ウイルス感染が起きると、それに抵抗して免疫応答が引き起こされる。
• 外来遺伝子の注入で宿主の生存に有利に働くこともある。

簡単に整理して、このように定義してみた。

【VIRUS】
侵入性がある馴染みのない事や物。
その事や物は、心身の不快感を起こす。

この特性を持っている生理的なVIRUS、パソコンのVIRUS以外に、我々の生活には類似なこと他にはあるかをよく考えたら、「VIRUS による感染と症状は、夫婦関係に似ているよね」というイメージが頭に浮かんできた。

なぜ夫婦なのでしょうか?実はどんな人間関係でもVIRUSのような特性を持っているが、親族なら小さい頃からお互いに馴染み合って、友達・仕事関係なら性格と習慣が合わなければ不快感が起こっても交際の期間は短いので、噛み合わせる工夫は要るが、本当に嫌なら距離を保てば済む。しかし、夫婦関係は特殊だ。恋人同士より親密で契約関係で結ばれて、衝突があっても簡単に離れることはできない。異なる家庭・教育環境下で育ってきて結ばれる二人は同じ屋根の下に住むと、色々な摩擦が生じるのは当然だが、不快感があってもお互いに影響し合って、何年も経って変わったことと変わらないこと、そして戦い続けることもある。

「夫婦は、お互いの VIRUS。婚姻関係は、相互感染するプロセス。」

自分は去年結婚して、相手はフランス人で、カルチャーショックを含めて衝突は当然激しい。お互いのVIRUSと宿主として、日常生活に起こった不快感や喧嘩のもとを記録して病歴で表現しようと思い、ファイルと病歴をデザインしてみた。

●私(赤)と夫(青)の病歴

●病歴表に「VIRUSの特徴」と「気持ち」、「病患の症状」などの項目があり、私と夫で各自、日常で不快感を起こす事柄を記入した。ほとんどが細かいことで、お互いの文化や成長環境には見馴れないことだ。


夫と一緒に暮らす生活の中で、お互いに喧嘩したり、我慢したり、妥協したりすることはたくさんあり、こういう記録にすると、相手の気持ちと考えの変化を笑いながらよりよく分かった。自分の予想より面白くて楽しかった。

VIRUSの特性の中で、特に「外来遺伝子の注入で宿主の生存に有利に働くこともある」という特徴に惹かれた。よく考えたら、夫婦の噛み合いは辛いことばかりではなく、知らず知らず、相手の生活習慣に慣れて、むしろ、その習慣はお互いの一部に融合したのかもしれない。

実験が終わった後に、VIRUSを再定義してみた:

【VIRUS】
侵入性がある馴染みのない事や物。
その事や物は、不快感を起こす。
宿主が戦うか、投降か、戦死か、それとも共に生きるか、
自分で選ぶことになる。

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⑥ 後藤寿方(アーティスト・グラフィックデザイナー)/Virus

ネガティブなイメージが強いVirusですが、ポジティブなVirusとは存在するのか?一つのキーワードになり今回の作品につながりました。

二年前の5月に子供が生まれ、それまで子供との接点が少なく免疫がなかった(子供が少し苦手でもあった)僕が、次第に娘(Virus)に感染し末期症状のような状態です。

これは今回のテーマと無理やり繋げてみようということで、娘(Virus)とVirusについての平面作品を共作(初)をしてみました。
ただ、Virus(娘)の気の赴くまま作品を作ってもただの親子作品になってしまうので、いかにプロっぽい(子供が手を加えていると感じさせないくらい)作品を作るかという縛りを加えて。

完成度を高めた作品を高めるために、彼女がある程度自由に作業しても完成度が落ちない、貼る(コラージュ)、塗る(ペイント)の工程をメインとした作品しました。
さすがにカッターとスプレーのりは危ないので触らせませんでしたが、そのほかの工程はほぼ、彼女が行いました。(中央の複雑なコラージュ部分は共同作業。)
ペイントの色ムラを出すためのペイントの剥離(半乾きの絵の具にシャワーをかけるだけですが、)も彼女が遂行。シャワールームも僕も彼女も水と絵の具で大惨事になりました。

作品としては、約20種類ほどのVirus画像を引き延ばし、それらを元にコラージュ。Virusの繁殖やパンデミックスを連想できるように幾重にも重ねてコラージュしています。
予想していた以上に、プロっぽい作品になりました。
アーティストとして2歳児でもできる技術しか使っていなかったのかと少し落ち込みましたが、非常に良い体験になりました。

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