現役時代×退職後 第11回 ■人との「つながり」を考える
私は、土木技術者としての経験が20年を超え、ミドルの年齢階層に入ったところである。建設工事のプロジェクトに従事し、設計・工事発注・工事監理など、火力発電所更新工事や首都圏の鉄道新設プロジェクトに携わり、現在に至る。「成熟したシビルエンジニア活性化小委員会」の委員となり、約2年が経過した。今まで、自分自身の定年退職後を意識したことはあまり無かったが、シニア技術者のアドバイスや意見から「定年退職後に何がしたいのか」を考えるきっかけになっている。本小委員会は、バックグラウンドの異なる人々と協働することができ、小委員会の活動を通じて、色々な考えにふれることが出来る。今の立場から、定年退職後に向け、人との「つながり」を考えてみたい。
最近、考えること
土木技術者として、最初の10年は基礎的な技術の習得に努めていた。日々、色々な失敗や経験を通じて、出来ることが増え、技術者としての成長を実感することが出来た期間である。改めて、そのときを振り返ると、「家族」や「くつろぎ・交流」の時間は少なかったように感じる。
直近の10年は、建設工事のプロジェクトを主体的に進める時期となり、色々な関係者の皆さまと協働し、土木技術者としてのやりがいを多いに感じることが出来た期間となった。その後、職場環境や生活環境も変わり、「家族」や「地域活動」の時間が増えた。一方、技術者としての成長を実感することが少なくなったとも感じる。
次の10年は、次の世代に繋げるためのプロジェクトの仕込みを考えることに注力したい。自分が担当してきた建設工事のプロジェクトは、先人の諸先輩の技術者が数十年前から検討していたプロジェクトが多いと感じる。自分自身の技術者としての成長だけでなく、未来の技術者の成長を支え、将来のプロジェクトの種まきが出来ればと思う。
Me Time
最近、なかなか出来ていないことは、「自分を振り返る」ことである。これからやってみたいこと・学びたいことを考え、自分がやってきたことを思い返し、この先どのように働いていきたいかを考えることを大切にしたい。これから、または定年退職後に、どんな人・どんなコミュニティとつながりたいかをゆっくりと考え、行動に移したいと思う。
自分を伝える
「自分を伝える」ことは、個人的にはハードルが高いことだと感じるが、これからやりたいことを人に話してみることなどを通じて、ゆっくりと伝えていきたい。まずは、自分の関心や興味、学んだことや興味のあることについて人と話したりすることからスタートしたい。自己開示を通じて、人との「つながり」を作る行動を大切にしたい。
シニアの輝き方の秘訣
本小委員会では、定年退職後のシニア技術者の活躍に着目し、アンケート調査やシニア技術者へのインタビュー記事をまとめている。 特に、10年前のインタビュー記事を振り返り、現在の委員で再考し、コメントをSNSにアップする取組みをしているが、貴重な意見も多くあると感じる。個人的に印象に残っている点は、以下の4点である。
・物事を根本まで遡って見つめようとする姿勢
・技術力の向上意識を継続する
・現役時代をより長く考える
・在職中から地域との繋がりを作っておくことが大切
特に「在職中から地域との繋がりを作っておく」ことは、意識的に取り組んでいきたいと思う。地域の子供たちと一緒に成長する取組みが出来ればと考えている。シニアが輝き続けるためには、いつでも誰でも無理なく働き続けられることが大切だと思う。仕事や地域活動を通じて、社会に対してできる限りの貢献をしようとする考えも大切にしていきたい。
まとめ
いずれくるシニア時代に向け、自分に向き合う時間を大切にし、仕事を通じて自身が何を得て、社会にどう貢献していくのかを考えていきたい。これから、または定年退職後に、どんな人・どんなコミュニティとつながりたいかをゆっくりと考え、働ける人、働きたい人は年齢にかかわらず働けるような社会にしていくための一助を担っていききたいと思う。まずは自分自身が明るく・楽しく・元気良く、働くことからはじめよう。
(2023.10.17. キートス)
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