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韓国の「垢すり」の話

韓国に帰る度に必ず行くのが銭湯かサウナ


で、本当の目的は垢すりである。

実際に年がら年中、風呂に入っても垢は絶対出る。出ない人はいない。「まさかぁ!」と言ってた人ほどボロボロ出る気がする。自分で擦るのも良いが手が届かない場所もある。なので垢すりに行くのである。

誰が言ったか「風呂は魂の洗い場」と。だったら垢すりは何だろうか。「高圧洗浄機でこびり付いた魂の汚れを除去する作業」か。もしくは「スチーム洗浄機で魂を蒸らして洗う作業」か。どちらにしても終わった後の爽快感は両方ともに近いが、それが壁やキッチンではなく、自分の体である分だけより爽快感を感じる。


風呂に入るとまず、垢すりをしてくれる洗身師に垢すり一丁を注文する。それから、髪を洗い、髭を剃って、軽く体を洗ってから体をふやかすために風呂に入る。38℃の温湯と42℃の熱湯に交互に入る。15分ぐらいすると垢すりを担当する洗身師が僕を呼ぶ。鍵と眼鏡を預けて、お湯が掛かって温かい垢すりベッドに仰向けになる。それから垢すりの準備が始まる。まずタオルを顔にかけ、軽く頭をマッサージされる。それから洗身師は腕にタオルを巻き、その上に垢すり用の粗目のタオルを巻く。パンと手を叩いたら本格的にスタート。

まずは左正面。手から始まり、腕を通り、首元まで擦られる。そこから逆に下がって胸、お腹、股間を通じて、足元まで擦られる。

そこでまたパンと拍手。今度は右を向いて横になり、左側面を擦られる。腕から脇を経て、腰とお尻と足の左側。またパンと叩いたら、また仰向けに戻る。今度は右正面を右手から首、そこから足まで。そしてパン。今度は左向きに横たわり右側面を擦る。最後にもう一度パン。今度はうつ伏せになって首元から背中、お尻、踵まで擦られる。

大体、どの垢すりに行っても過程はほとんど同じだ。パンと拍手も一緒である。違いは話が多い人もいれば黙々と垢だけする人(こっちが多い)もいること。あと、やはり技術力は個々に違う。これだけは口コミでも分からないので、自分で受けてみるしかない。なので僕はどこに行っても1時間ほど時間があれば垢を擦ってみるのだ。

垢すりが終わって、お湯で洗い流された後、ここからも洗身師によって違う。基本は石鹸を全身に塗りたくられて 終わりのケースが多い。洗い流すのも自分で、と言うのが普通だ。もしくは軽く背中をマッサージして石鹸で洗ってからアロマオイルを塗ってくれるところもある。今日のところはマッサージしてから石鹸で終わりだった。技術もサービスもまぁまぁ。10店満点で6点ぐらいかな。



銭湯・サウナの費用もそうだけど、垢すりもだんだん高くなった。今日のところは銭湯で8,000ウォン(約900円)、垢すりは20,000ウォン(約2200円)だったが、最近は洗身師になる人も減っているのと、腕の良い人は大手サウナにヘッドハンティングされるそうなのでやっても貰えるだけでもありがたい。いなかったら困るので必ず行く前に洗身師はいるかを電話かカウンターで確認して入るようにしているが、そんな時代になったのがちょっと寂しい。昔はどの銭湯・サウナに行っても必ず洗身師はいたものだった。

銭湯から出ると冬の風が冷たい。でも体はポカポカ。垢すりで爽快。チキン片手に家路に着く。またどっかの銭湯かサウナで垢すりをする時までさようなら。

#垢すり
#日韓放浪生活雑談

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日本学の学者さん(Dr.HA's Classroom)
政治学Ph.D.、韓国人、同時通訳士、著述家。 行動の糧は「怒り」「Better than the Best」「Ancora Imparo」

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