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#39:電動歯ブラシとの戦い

35歳。口内環境も気をつけていかなければならない歳だ。日にちが飛び飛びではあるがフロスもしているし、朝と晩の歯磨きもかかさない。

20代の頃に不摂生をして大人になってから虫歯ができてしまったのが痛恨の極みだ。これ以上悪化させたくないという気持ちで磨く。朝と晩はそれぞれ10分ずつ。

おかげで歯科検診でも「よく磨けていますよ」と言われるようになった。特にフロスを導入してからは歯肉周りがとても良い状況になった(本当に面倒だし最近さぼっている罪悪感がすごい)。

より良い口内環境への興味は止まらない。舌ブラシもやったほうがいいのではないか、高級な電動歯ブラシを導入したほうがよいのではないか、フロスは歯ブラシの前と後どちらがより効果的か。

30代になると友人との会話テーマの多くが「資産形成」「健康」となるが、僕はここに「口内環境」と入れていきたいレベルだ。良い口内環境情報があればホイホイと付いて行きかねない。

そんなこんなで興味は尽きないのだが、歯ブラシに10分かけてしまっているせいで新しいことを追加する気にはなれない。歯ブラシを電動にするのはどうか。うーん、高い。

超音波とか音波とか、よく分からない。超音波だからより効果的、ということが感覚レベルでは全く理解できず、そもそも汚れが音波で落ちる、というそれが分からない。高水圧で汚れが落ちるとか、磨いて落ちる、とかは「そうだよね」という感覚がものすごくある。とはいえ口の中に高圧力の水をぶつけるわけにはいかない。

理解を超えたワードの並ぶ電動歯ブラシハイエンドモデルなんて、20,000円を超えたりする。
https://www.oralb-braun-onlinestore.jp/c/eb/io5

「リニアマグネティックシステム」とか言われてもなんにも分からない。すごいのかすごくないのかすら分からず、マグネティック?磁力?磁力で汚れが落ちるの?それだったら磁石で歯の周りなぞればいいのでは?みたいになる。

35歳独身だが、自分の理解を超えたものに金を払えるほどの精神的な余裕がない、さもしい。

そんなこんなで、電動歯ブラシ購入、というのは長い間僕の中で「一歩踏み出せない」事項だった。おそらく美顔器とか一生買えないタイプだ。

ある広告が目に飛び込んでくる。LION社の「電動アシストブラシ」というものだ。正直9,000回/分の音波振動はよく分からない。9,000回/分の振動を具体的に感知できるほど僕の神経は残念ながら発達していない。というか、「あ〜これは1分で9,000回でしたね〜」とか分かる人は果たしているのだろうか。

しかし、非常に魅力的なワードが飛び込んでくる。1,800円。「これだよこれ、こういうのだよ」と、おしゃれな飲食店に変な嫌悪感を示しちょっとしっぽりしたお店でしっぽりやってるオレ、みたいなおじさんが顔をひよっこり覗かせる。

「よく分からないかっこいいワード×20,000円超え」、より、「まあまあ良さそう×2,000円以下」、をついてきたLION社、極めてワタク シニーズを理解していらっしゃる。

意気揚々とドラッグストアに向かい購入した。家電量販店に行かなくてよい、というのがまた良い。

電池を入れ、スイッチを入れる。歯ブラシ全体を揺らすブーンという振動。電動歯ブラシ童貞、ここで「この振動する物体を口に入れるのか」とビビる。これを口に入れれば、脳までブーンと振動するのではないか、果たして僕の歯みがき時間に耐えられる振動なのか。こんなに電動歯ブラシにまつわるアレコレで頭を悩ませる人もいないだろう。

えーい、ままよ!と口に入れる。思ったより頭に振動は伝わってこない、というより全然そんなものはない。普段の歯ブラシに振動が加わり、なんか色々と届いている気がする。

いつものようにシャカシャカと歯を磨き口をゆすぐと、いつもよりツルツルとした歯ざわり。こんなに電動歯ブラシを疑っていたのにちょろいものである。貴婦人のごとく「あらまあ」と舌先で歯の感覚を確かめる。良い。1,800円でこんな満足を手にしてしまった。

1,800円の満足と同時に、電動歯ブラシ世界の扉を開けてしまったことにハッと気付く。これは沼なのかもしれない。一歩踏み出してしまった危機感とワクワクを抱きつつ、アップデートがあればまた電動歯ブラシについて書こうと思う。

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