#11:2024年8月スリランカ旅行記(4)
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茶畑へ
アダムス・ピークから降り、少し休憩した僕は、Google Mapを眺め、この辺りを散歩することに決めた(左上のスリランカマークが宿)。昨日の夕方ジョギングがてら眺めた茶畑が美しく、もっと見てみたい気持ちになっていた。
行く途中に小学校があり、偶然下校の時間と重なってしまった。スリランカ人の褐色の肌に上下真っ白の制服がよく映えていた。アジア系の壮年男性が一人で歩いているのが珍しいのか、すごく見てくる。すれ違いざまにHiなどと声をかけると、すごく躊躇いながらHiと返してくる。
たまにGive me a chocolate!などと声をかけてくる子どももいたのだが、しばらくして、子どもたちが意味を分かって言っているのではなく、聞いたことのあるフレーズを試しているだけなのではないかという仮説が頭をよぎった。Selfie!と声をかけていた子ども三人組に、Selfieしようかとカメラを向けると明らかに戸惑っていた。明らかに戸惑ったからか、なんなら僕の横にいる子どもは中指を立ててしまっている。撮った後も「え、これがSelfieなの?」みたいな表情になっていた。1つ学んでもらえたなら嬉しい。
子どもたちはさておき、とにかく茶畑が美しい。近くの湖の景色と相まって、なかなか日本では見られないような景色になっていた。
進んでいくと、ここがMoray Estateという大きな茶のプランテーション企業の敷地であることが分かった。敷地内を歩いていていいのだろうか、と逡巡しつつも、やたらとwelcome!だのGoogle Mapに示された滝はあっち!だの書いてあるし、作業をしている方々からも何も言われないので大丈夫だろうと歩いた(結局大丈夫だった。大丈夫でないところは厳重に警備されていた)。
茶畑にて
茶畑の側の道を歩いていると、おじさんに声をかけられた。「滝はあっち!その道じゃない!」と。といっても、その案内通りに行くためには茶畑の中に入らないといけない、それはさすがに、と躊躇っていると「案内する」と引っ張っていかれてしまった。
おじさんはズンズンと茶畑を進む。登山趣味を通じて不整地もそれなりに速く歩けるつもりだが、おじさんはめちゃくちゃ速い。おそらくずっと茶摘みとして生きているのだろう、その中でこのアップダウンのある不整地を、収穫しては運び、収穫しては運び、としていたのだろう、と考えると、長年の経験に裏付けられた足さばきなはず。速いはずだ。がんばって着いていく。
ただのお散歩のつもりが激しく息もあがった。さらに滝へ向かう道はかなり悪い状態で、おじさんは「大丈夫だ!」とずっと言っていたが、最後は強い口調でお断りした。朝にアダムス・ピークを登り、その後は茶畑を歩いている、体力も相当程度消耗していた。
これは後でお金をせびられるだろうな、でもおじさんのおかげで茶畑の中たくさん歩けたしな(摘みたての茶葉を食べさせてくれたりもした)、等と考えていると、案の定手を差し出しお金を要求してきた。個人的には割と満足だったので1,000ルピー(500円ほど)を渡すと大喜び、そのまま「うちに来なさいよ!」と言われ自宅へお邪魔することになってしまった。
僕は旅先でその辺の人と仲良くなって、行動を一緒にしてみたり家に呼ばれたりすることが多いのだが、スリランカも例外ではなかった。「お〜きたきた」等と思いながら、無防備にも家へ着いていく。「知らない人に着いていってはいけない」と育てられたはずだが何も学んでいない。
美味しいミルクティーと、貧困問題
家は非常に簡素な作りだった。奥さんを紹介され、57歳と48歳の夫婦であること、既に孫がいることを話してくれた。夫婦ともにガリガリにやせ細っていること、1,000ルピーで激しく喜んだこと、家の質素な調度品の様子から、お茶のプランテーションで働く人々の経済的状況が想像できる。
こちらの記事にも書かれているように、スリランカの茶のプランテーションはインド系タミル人の移民によって担われていて、その多くが実質的に奴隷的な立場に置かれている、その現実が今明らかに目の前にあった。
https://core.ac.uk/download/pdf/144446184.pdf
奥さんの淹れてくれたミルクティーは本当に美味しくて、何か日本に帰った後にお返ししようと住所を聞いたら、住所も文字も分かっていないようだった。当たり前に住所や文字が分かる前提で聞いてしまった自分を少し恥じた。おじさんと奥さんとSelfieして、その写真とともにこのMoray Estateに日本のお茶を送ったら届くだろうか、と思い写真を撮った。
家の前に到着したバスに乗り(乗る前に「もう少しお金ちょうだい」と言われた笑)、ナラタニヤへ戻った。この日のスマートウォッチは34,432歩を示していて、本当にたくさん歩いた日となった。明日はダンブッラへ向かう、またもや長旅になる
(5)へ続く
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