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傘と仲良くなるまで

皆さんは傘と仲良しですか。1行目から余談をするとぼくはヘッダーのイラストの女性みたいな髪型が好きです。何なら表情も好きです。でも今日は仕方なくやむなく断腸の思いで傘の話をします。


傘って、すぐ壊れませんか。

壊れるようにできてると思うんです。仕組まれている。切れない電球は作れるけど、売れなくなるから作らないみたいな話あるじゃないですか。ない?あるよ。どこで聞いたかなんて覚えてるわけねえだろ。

小学生の頃、月例で壊してました。業務かよ。違うんです。傘のやつがわるい。だってあんなに振り回したくなるシェイプしてるんだもの。Shapes of Love。伝えたい伝えられない。もっちーの話はいいんだ今は。とりあえず傘を壊してました。毎月のように。

開いたまま振り回すと、彼、ひっくり返るじゃないですか。転ぶみたいだな。なんて言えばいいの?裏返る?何でもいいんですけど、強風が吹くとぶあっってなるアレです。語彙力。今思ったけど「語彙力」って読めるけど書けない。

戦うときも使いますよね。メーカーは、帰り道でライトセーバー的に振り回されるのを想定してない。傘同士がぶつかって火花が散るかと思いきや折れるわけです。曲がるわけです。もう二度とワンタッチで開きません。折れ曲がった位置でツータッチ目をしないと開かない。使い物になりません。誰のせいですか。わたしのせいです。

遠足に行ったとき、芝生の広場で、友人とどちらが遠くまで傘を投げられるか勝負したこともあります。槍投げならぬ傘投げです。室伏さんもこうやって練習したんだろうな。しねえよ。驚くほど美しい放物線を描いて、傘様は数十m先の地面に落下しました。

先端がサクっと地面に刺さると思いますよね。違います。落下の衝撃でただ曲がっただけ。期待外れもいいところです。この日を最後に、親から「お前はしばらく雨に濡れる苦しみを味わったほうがいい」と魔王みたいな台詞を吐かれ、傘なし生活になったのをよく覚えています。


傘って、すぐ無くなりませんか。

ぼくの愛が足りないんでしょうか。すぐ逃げていくんです。彼女かよ。逃げられたことなんてないよ。ん?逃げていくんです。傘立てに置いといても、目立たない場所に立てかけといても。

ずっとそばにいてほしいから、木製の柄の部分に彫刻刀で名前を彫ったこともあるくらいです。名前を付けてThis is mine感を圧倒的に高めただけでなく、持ったときの違和感で「あっ」って気づいてもらえる仕様です。そうすると取り違えられなくなるよって何かのテレビで観たんです。天才だと思った。でも盗まれました。うそつき。

絶対に違和感あったと思うんです。「うわあ」ってなって、柄の部分を見たはず。なのに持ち去った。極めて悪質な犯行です。あるいはぼくのファンの仕業です。ファン?そんな人いません。いるとすれば今これを読んでくれてるあなたです。お願いだから傘は持って行かないでください。

忘れもしない、高校の部活の帰り道。ampm(ってもうない?コンビニの名前だよ)の入口の傘立てに傘を置いて、アイス買おうと思ったけどおれやっぱやめるわ〜〜って1分後に出てきたら消えてました。暑い日だったから溶けたのかな。

違います。犯人はわかってます。ぼくと入れ違いでコンビニから出ていったあのおっさんです。ざけんなよてめえ。もう雨降ってねえのに持ってくんじゃねえよ。チャリに傘置いたままじゃ取られるぞお前後悔すんなよと友人に告げ、律儀に傘立てを使ったぼくの傘が盗まれるって、どんな不条理ですか。あの日からぼくは世界を信じられなくなりました。1分だよ、1分。

ちなみにこないだも、俄雨に降られコンビニで買ったビニル傘を音速で無くしました。電車に置き忘れたんです。何も変わってなくて呆れます。でも、傘と引換えに大切なものを手に入れました。この夏という思い出です。ごめんよ傘。


傘って、どう差せばいいんですか。

傘の正しい使い方が未だにわかりません。そんな人いる?って思うでしょ。でも傘にトリセツなんて付いてなくない?攻略本もなければ参考書もない。どう差したらいいのかわからない。

いや、そりゃね、柄を身体の正面で持てばいいと思うんです。そしたら真上から降ってくる雨には勝てます。まさかイチローが背面キャッチするみたいにして背面で傘を差す人なんていません。

でも雨風というように、あいつはあらゆる角度から攻めてくるんですよ。あいつってイチローじゃなくて雨のことです。ちょっと油断すると横から吹き込んでくる。抗うように、最適な角度を探して傘の向きを変え続ける。結果、濡れる。

イチローといえばシアトル。シアトルマリナーズ。大学時代にシアトルに留学してたんですが、あの街、ほんと雨ばっか降るんです。夏の数ヶ月を除いてずっと曇天または雨。

ふわふわ漂うような小雨を、現地ではシャワーって呼んでました。シャワーのくせに全然気持ちよくない。傘差してるのに、雨粒が軽すぎて横から舞い込んでくる。気づけば上半身まで抜かりなくやんわりずぶ濡れです。傘仕事しろ。

現地の人はあの程度じゃ傘を差さない(というかレインコートで凌ぐ猛者も多かった)ので、傘を差してるだけで目立ちました。それだけで異国感あるのに、小雨の華麗な舞い散り具合にイラッとしてバス停で舌打ち桜吹雪。You must be a strangerと思われても仕方ないけど、strangeで不可解なのはどっちかっつーと傘の内側に舞い込んでくる雨粒だよ。


傘と仲良くなる方法を誰か教えてください。



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