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営業目線のWeb小説売り込み研究 第1回「Twitterは最大にして最悪の売り込みチャネル」

 個人が宣伝をするにあたり、最もコストパフォーマンスの高いツールがTwitterだ。

 世界的にはFacebookの方が圧倒的にユーザー数が多いのだが、Web小説は日本語の文章そのものがコンテンツのため、海外ユーザーの閲覧は考慮から除外している。イラストや動画、音楽よりも海外からの閲覧を望みにくいのも、Web小説の特徴だ。

 2019年12月のデータを確認すると、Twitterの国内アクティブユーザーは4500万人。サブアカウントもあるだろうが、減少傾向にある上、年齢層も高いFacebookの2600万人より圧倒的に「読者候補」が多い事がわかる。

 では、Web小説作家はTwitterで宣伝し続けると読まれるのか問われると、「今の使い方のままでは読まれない」というのが答えだ。その理由はいくつかある。

・Twitter宣伝の性質

 第一に、Twitter宣伝の性質が挙げられる。TwitterユーザーはTwitterから出ずにコンテンツを得る事を望んでいる。そのため、Twitterの投稿限界枚数である四枚の画像で構成された漫画を好む。すぐにタイムラインに戻ってこられるからだ。全く同じ漫画でも、PixivのURLしか載せていなければバズることはないだろう。

 Web小説はせいぜい、あらすじをスクリーンショットにして載せるか、挿絵イラストをつける事しかできない。Twitterカードすらないものは、見向きもされないだろう。

・読みきれない

 次に、Web小説は読みきれない、ということが挙げられる。Web小説作家がTwitterを始めると、まず初めに同じWeb小説作家をフォローするだろう。相手も気軽にフォローを返してくれ、いずれあなたのアカウントは、Web小説作家の相互フォローが何百、何千と積み上がるだろう。Web小説作家は自作をTwitterで宣伝する。あなたもフォロワー作家もそれをリツイートする。しかし、読まない。

 そう、読みきれないのだ。

 フォローした仲間の作家は何百人もいる。毎日、誰かが最新話を更新し、一日に読める量の何倍もの宣伝がタイムラインに飛び交う。いかに興味がある作品がたくさん流れてきても、せいぜいがブックマークをつけて終わり。結果、小説投稿サイトにただ掲載されているものと変わらず、あなたの作品は流れていく。あまりに律儀にリツイートしすぎて、リツイートを非表示にされている事も大いにあり得る。こうなると、宣伝ツイートは100RT、閲覧ゼロ、などという事もざらにある。

・アカウント分け

 最後に、Web小説作家のアカウント分けを理由として挙げておく。Web小説作家の多くは「小説アカウント」と「趣味アカウント」を分けている。アカウント分けは絵師も歌手もやっているが、Web小説作家アカウントは特にアカウント分けを〝きっちり〟行っている。小説アカウントでは趣味アカウントを教えず、趣味アカウントは小説を書いている事など一言も話さない。

Web小説作家の多くは、Web小説を自ら異質化し、区別しているのだ。結果として、Web小説作家アカウントはWeb小説作家アカウントとだけ繋がり、クラスター化する。その中でいかに宣伝しても、結果は上記で述べた通りである。

・どうすべきか

 では、どうしたらTwitterで宣伝した作品が読まれる様になるのか。その手法はいくつかあるが、今回述べた内容に沿って言うならば「気楽に、ゆるく運営する」ことが肝要になる。Web小説のTwitter宣伝は漫画と違ってバズらない事を自覚し、仲間からのリツイートは気休め程度と考える。そして大いに趣味を呟き、Web小説作家以外のフォロワーを獲得していく。そうする事で、あなたの作品はWeb小説作家アカウント以外のアカウントの目に留まり、読者を獲得することができるだろう。

・最後に

 Twitter宣伝には、負の側面も多数ある。上記で述べた様に互いにリツイートする事だけに情熱を燃やしてしまってリツイートカタログと化した、本末転倒の作家アカウントが多数存在する(仲間の作品をリツイートするなということではない。むしろ応援したいものは積極的にすべきだ)。また、相互評価やポイント要求などの規約違反も横行し、相互フォローの作家の作品を勧めただけで不正扱いして来る者すらいる。

 こうした最悪の環境であるTwitterを飼いならすには、上記で述べたとおり「ゆるく運営する」のが最も楽な方法である。他のやり方についてはまた別途お伝えしていくが、まずは一旦、自分のアカウントを見直し、肩の力を抜く事をオススメする。

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