
181114 僕含め日本人の原風景の中にあるカレー屋さんってこういうお店なのだろうと勝手に懐かしくなってしまった幡ヶ谷の名店。
昨日つらつらと書いたハンバーガーもそうだけど、日本人の国民食と言っていいカレーだって今や色々な種類のお店が世に出ている。
サラサラなカレーが何種類もワンプレートで出てくるような本格インドカレーのお店があれば、目黒のカレートライアングルのように店独自のスパイス調合の和なインドカレーをライスとばくばくいけるお店もある。そうかと思えば、欧風カレーで真っ黒なカレーを出すところだってある。
でも、今や昔の給食カレーよろしく、銀皿で提供される 小麦粉がたっぷり使われて黄色がかったドロドロカレーってのはなかなかお目にかかれないのではないだろうか。
給食カレーほどシンプルに直感に問いかけてくるカレーはこの世に他にはないと個人的には思っている。
全校生徒何百人分を調理する巨大な寸胴鍋で、まさにコトコト長い時間をかけて煮込まれ、たっぷり使用される小麦粉とすっかり溶けきった野菜で家庭ではもはや再現不可能なトロミとコクが生まれ、ホロホロになったビーフなりポークなりが微かにトロトロカレーの海の中で存在感を発揮する。そういうカレーが結局一番好きだ。
いま給食のメニューを食べるイベントとかが人気らしいけど、やっぱり確かに学校給食のものには最高に旨い食べ物もあったのだなあと思う。
こんなことを思ってしまったのも、この給食カレーを今回追体験してしまったから。
京王線を新宿から少し下った渋谷区幡ヶ谷。
この街の喫茶店調のカレー屋こそ僕を給食カレーの世界のノスタルジーに引き込んだ舞台。名は「スパイス」だ。
メニューの基本は「ポーク」「ビーフ」「チキン」の3種のカレー。ちなみにそれぞれ甘口、中辛、辛口である。
しかし、ミックスがある。ここはミックス一択だ。ポーク&チキンにしよう。
ホールを担当しているおばあちゃんにミックスのポークチキンをお願いする。で、もうこのおばあちゃんが堪らない。「田舎の優しいおばあちゃん」のお手本のようなお姿。
しかもこの店内の雰囲気だ。もはや友達の家に来てカレーをご馳走してもらう場面を想起せざるを得ない。
さて、カレーはおそらく鍋にたんまりと貯めてあるのだろうから、すぐに出てくる。
「熱いから気をつけてね」
いや、おばあちゃん優しいです。ありがとうございます。
左が辛口のチキンカレー。右が甘口のポークカレー。
卓上の福神漬けも含め、完璧なプレゼンテーションではありませんか。結局こういうカレーが好きなんですよ。日本人の僕は。
チキンカレーは比較的サラサラ系で、給食カレーの独特のコクに近いものを感じながら、スパイスの香りがスパイシーで楽しい。
ポークは、もう「これこれ!」と言いたくなるほど、絶妙なねっとり感。味の面積が実に広いポークの旨味と共存したあまみ。笑えてくるほど、直感的に旨いと感じてしまう。最高だなあ。
最近は目黒とかでちょいとオシャレなスパイスカレーを楽しんでいたけど、結局こういうカレーには敵わないなと自分のカレーのルーツを再認識する貴重な経験なのでした。