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出口戦略はネガティブではない。地域企業に“熱狂”してきた彼女が伝えたい「人が繋ぐ事業承継」
今期からプロシェアリング本部の事業承継サービスチームにて活躍している宮澤優子さん。それまでは東日本エリア担当コンサルタントとして、地域企業にひたすら寄り添っていくスタイルで数多くの企業様との信頼関係を築いてきました。今回はそんな彼女にインタビュー。
彼女の人柄や、事業承継サービスの魅力が伝わる内容になっておりますので、ぜひご一読下さい!
プロシェアリングによる「人が繋ぐ事業承継」サービスとは…
これまで「税」「M&A」の観点から語られることが多かった事業承継を、プロ人材とともに「人」「事業」の観点から仲介・サポートを行うサービスです。
1.「とにかく走り出してみる」が基本のスタンス
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宮澤優子(みやさわ・ゆうこ)|プロシェアリング本部 事業承継サービスチーム 事業承継コンサルタント
新卒で証券会社に入社後、投資商品の営業やコールセンター運営等に従事し2019年にサーキュレーションに入社。プロシェアリングコンサルティング東日本支部にてコンサルタントを務め、2023年2月より事業承継サービスチームに配属。
ーー 本日はよろしくお願いします!早速お仕事の話、と行きたいところですが、記事を見てくださる方への自己紹介も兼ねて、まずは宮澤さんのパーソナリティについて少しだけお聞きできればと思っています。
宮澤:
はい!と言ってもそこまでお話できるエピソードがあるかどうか…。
ーー ありのままをお話しいただければ大丈夫です!例えばどんな学生時代だったかであったり、現在の趣味のお話などお聞きしてもいいですか?
宮澤:
学生時代に関して言うと、何か特に熱量を注いでいたとか、こういう活動をしていたとかが思いつかないくらい、平凡で取り留めのない学生時代だったと思いますね(笑)
ーー ありのままですね(笑)
宮澤:
今の趣味に関してはランニングです。毎週10kmは欠かさず走ってます。
ーー 毎週10km!学生時代と打って変わってだいぶストイックな趣味ですが、どんなきっかけでランニングにハマったんですか?
宮澤:
前職時代に同じ部署のメンバーとマラソン大会に出場する機会があって、その時に元陸上部のメンバーに結構本格的に色々教えてもらったのがきっかけです。
なぜか一人黙々と走るのが性に合ってます。
ーー なるほど、学生時代から今までを振り返ると心境の変化などはあったんでしょうか?
宮澤:
思い返すと前職時代の営業活動が仕事を含めた今のスタンスに繋がっているかもしれないです。
今では考えられないですが、新卒で入社した当時は一日に飛び込み100件、電話200件、ノルマを終えるまでは帰らない!みたいな働き方をしていて(笑)
その経験から何事にもとにかくまず動いてみて、全力でやってみないとわからない、というがむしゃらな考え方が今でも身に染み付いてますね。
ーー 凄まじい若手時代ですね(笑)今の自分を一言で表すとしたらどんな言葉が合っていると思いますか?
宮澤:
「猪突猛進」です。
ーーここまでのお話にピッタリな一言!宮澤さんのとにかく走り出してみるという前のめりな姿勢は、どんな仕事にも通ずる重要なポイントだと思います。
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2.利他の精神「貢献」に対する想いと源泉
ーー 次にサーキュレーションでの仕事について、入社背景なども交えてお聞きしても良いですか?
宮澤:
はい。入社のきっかけは、前職では「会社が売りたいものを大勢のお客様に提案する」という意識が強く、お客様にとってベストな商品を売れているのか、というモヤモヤが自分の中で生まれたことです。
そんな時に、あらゆる経営課題の解決のために多様なプロ人材の経験・知見を提供しているサーキュレーションに出会い、「それぞれのお客様が本当に必要としている提案をする」ことで本質的な貢献ができると感じたため、入社を決めました。
ーー なるほど、「本質的な貢献」というキーワードが入社の背景にあったんですね。お客様への貢献を志向する中で、大変だったエピソードなどはありますか?
宮澤:
猪突猛進で行動してきた分、壁にぶつかって失敗から学んだことはかなり多いですね。中でも、あるお客様でインバウンド向けの商材を国内展開するというプロジェクトのご支援が印象に残っています。
当時、コンサルタントとしての介在価値を模索していた私は、ご支援の中でステークホルダーとの折衝や進捗の確認などの仕事も引き受けて、プロジェクトの成功に貢献するために実質的なプロジェクトマネジャーに近い形で奔走していました。
ーー なるほど、かなり踏み込んだ形でのご支援のように感じます。
宮澤:
そうですよね。そのご支援の中でトラブルが起きた時、踏み込み過ぎていたが故に、なぜ未然に防いでくれなかったのかと私の責任を問われてしまいました。元々のプロジェクト体制でお客様が担うべきだった役割を、私が巻き取ることで悪い方向に働いてしまったのです。
不用意にお客様が行うべき仕事を自分が引き受けてしまっていては、企業内での新たなノウハウ醸成やプロ人材がもたらす知見の内製化の妨げになってしまい、サーキュレーションの命題である「知のめぐりをよくする」ということの本質からもズレてしまいます。
この失敗を経て、サーキュレーションのコンサルタントとして、プロジェクトにおいて発生するタスクを巻き取ることだけが介在価値ではないということに気付くことができました。
ーー そうだったのですね。では、どのような関わり方をすることがベストだと思いますか?
宮澤:
仕事を「肩代わりする」のではなく、どんな些細な相談でも必ず丁寧に耳を傾け、プロジェクトの主役である企業とプロ人材が最大限に価値を発揮出来る環境を創るための「提案と調整をする」という意識を強く持っています。
もちろん全力でサポートという姿勢は今も変わらずですが!
ーー なるほど、大きな失敗からプロシェアリングにおけるコンサルタントとしての貢献のスタンスを学んだという訳ですね。
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ーー お客様に対してはもちろん、前期まで所属されていた東日本支部のメンバーからは宮澤さんの組織貢献に対する感謝も多く聞こえてきています。
異動の際の寄せ書き内容抜粋
Aさん:チームで一番担当が多いのに、いつもチームのことを考えた視点・発信・時にはアドバイスやしくじりの共有。そういう宮澤さんの素敵な姿勢をみんなで引き継いで行けるようにしていきます。
Bさん:自身の業務が忙しい中、チームの数字のため、私たちの育成や、チーム施策などを進めていただきありがとうございました!
Cさん:担当の引き継ぎありがとうございました。引き継ぎを通じて企業、プロ人材、行員の方全てからの信頼を得ている宮澤さんは改めて素敵だと思いました。他人のことを一番に思いやる宮澤さんが培ったその信用や信頼を継続できるよう頑張ります!
宮澤:
そういってもらえるのは単純に嬉しいです。ただチームのメンバーに対しては貢献したいとは思っていましたが、特別なことはしていないです。単に私が先輩にしてもらったことを還元しているだけですね。
ーー 謙虚な姿勢、素敵です。
宮澤:
配属当初の上長の方や東日本支社でリーダーをされていた小野さんには商談の同席はもちろん、週一回1on1を実施してもらっていました。
そこで丁寧にフィードバックしていただいたことで、コンサルタントとしても、チームの一員としても自身が着実に成長できたという実感があります。小野さんを始め、今まで先輩方からいただいたアドバイスは私も次の誰かに伝えるようにしていますし、チームのモチベーションや成果に繋がる発信などは自分からし続けています。
強いて言えば「先輩から受け継いだ『知の循環』をチーム内でも起こしていかなければ」という使命感はあるかもしれないです。
強制はしたくないので言葉としては伝えていないですが、私の姿を見て他のメンバー達も同じ想いを持ってくれていたら嬉しいですね(笑)
ーー きっと宮澤さんの背中からその想いを感じ取っていると思います!
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3.事業承継サービスへのキャリアチェンジの背景
ーー ここまで過去のお話を伺いましたが、2023年2月から事業承継サービスチームに異動されたんですよね?
宮澤:
そうですね、事業承継やM&Aについては前職時代の花形事業というイメージがあり、また事業承継チームの方と商談同行する機会があった事から興味を持っていて、 ジョブチャレ制度(当社の希望制ジョブローテーション制度)を利用して、自ら手を挙げる形で異動が決まりました。
ーー どういった背景でキャリアチェンジを決めたのですか?
宮澤:
一つには「お客様の未来をより一緒に考える立場で仕事がしたい」という想いがあります。
今までコンサルタントとして経営者の方々とお会いしてきて、「今困っていること」より「未来でこうしていきたい」を話してもらうのは圧倒的に難しい、と感じる場面が多かったんです。また経営者の方ですら目先のことで精一杯で、企業の今後を明確に描けていないというケースもあると思っています。
数々のご支援をする中で現状の課題解決はもちろんですが、よりお客様の未来にフォーカスするポジションで伴走し、一緒に企業のこれからを創っていきたいという想いが強くなりました。
ーー 「未来を一緒に考える」は、コンサルタントとして素敵な姿勢ですね。他にはありますか?
宮澤:
もう一つは「成長戦略には出口戦略が必要」だと強く感じたことですね。
ある先輩が商談内で企業活動を世界旅行に例えた話をされていて、「世界旅行は必ず『航路』と『目的地』が必要。企業にとっての航路は成長戦略、目的地は出口戦略と考えると、出口戦略は企業活動に必要なものですよね。」という話がとても印象的でした。
その話を聞いたことで、当てのない旅をし続けていてはどこかで疲弊し力尽きてしまうのと同じように、価値ある事業を持っているにも関わらず、出口戦略という目的地を持たないことで淘汰されてしまう企業が多く存在するのではないかという危惧が私自身の中で芽生えました。
そういった企業がもつ経験・知見を残し、承継していくことで、新たな価値を創造するお手伝いがしたいという想いがあります。
ーー 「企業活動は世界旅行」、良い例えですね。
確かに企業が持つ高い技術や良いノウハウを残し続けていくことは、当事者である企業はもちろん、イノベーションを起こしたい承継先の企業、サーキュレーションの三方にとって重要な事ですよね。
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4.事業承継コンサルタントとして考える「貢献」とは
ーー 事業承継という新たなフィールドで宮澤さんが今考える「貢献」とはどういったものですか?
宮澤:
仲介して、売却が完了した時点で終わりではなく、その後の組織統合や事業推進にもプロ人材の力を発揮してもらうことで、M&A後の価値創造と成長までご支援することが大きな魅力であり貢献だと思っています。
現在もプロシェアリング事業にてご支援しているお客様の事例なのですが、買収を行ったあと、社内統合がスムーズにできず、組織内が混乱状態に陥ったことがありました。
その際、新たにM&Aに明るいプロ人材の力を借りることでなんとかトラブルを回避し、うまく組織をまとめることができました。
プロシェアリングという事業を展開するサーキュレーションだからこそできる事業承継があると強く感じています。
ーー なるほど、それは確かにサーキュレーションならではの事業承継ですね。キャリアチェンジを経て、求められるスキルという点ではどういった変化がありましたか?
宮澤:
事業承継という経営者の方々の間に立つ仕事において、双方の話を理解出来る知識量は大前提必要で、その話を噛み砕いて分かりやすく翻訳する力と、その上で折衝を行う調整力が更に求められていると感じています。
先輩方の姿を見ていると自分はまだまだと感じることも多いですが、より頼れる事業承継コンサルタントになるべく動き続けています。
ーー 持ち前の「猪突猛進」で頑張っていくということですね。
宮澤:
はい!ただこの仕事では情熱的に突っ走るだけではなく、慎重になれる冷静さも必要だと感じています。
まだまだ売却や出口戦略を考えることに対してマイナスなイメージを持つ経営者の方も少なくないと思います。それらを一緒に考えてもらう為には、かなりセンシティブな内容にも踏み込んで扉を開けにいく勇気と情熱が必要です。
一方で、買い手にとっても大きな金額を動かす決断であり、企業の今後を左右すると言っても過言ではありません。
私たちもこれから起こり得るリスクや事象を先読みして、社内外のステークホルダーを積極的に巻き込み、入念に準備する冷静さが欠かせないと考えています。
情熱的に背中を押すタイミングと、冷静に論理立てて安心感を持ってもらうタイミングを見極めることも重要な要素ですね。
ーー 情熱と冷静の両面を持ち合わせたコンサルタントとなった宮澤さんに、期待しかありません!
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ーー 最後に、宮澤さんが今伝えたいメッセージなどがあればぜひお願いします。
宮澤:
私が今まで主に関わらせていただいていた地方企業や中小企業の経営者の方々はもちろん、後継者不足で悩まれている経営者の方々、企業と事業の未来を考える全ての経営者の方々へ「未来について一人で抱え込まず、一度相談してみて欲しい」と伝えたいです。
これまでの担当エリアである関東圏で、金融機関や行政で働く方ともお話する機会が非常に多くありました。
その中で感じていたのは皆、関わっている経営者の方のことを本気で想い、その企業がより良くなるためにどうすれば良いのかと考えている人ばかりだということです。
後継者不足や、事業の存続などで悩まれている経営者の方々、売却という選択肢に関してネガティブかつ他人に話し難いと思っていたとしても、一度、一人で抱え込むのではなく私たちや周りの協力者にぜひ相談してみて欲しいです。話をしてみるという一歩が未来を分ける大きな分岐点になる可能性があると思っています。
ぜひあなたの企業のこれからを一緒に考えさせて下さい!
ーー ありがとうございます。宮澤さんのこれからのご活躍で素敵なプロジェクトが生まれることが一層楽しみになりました!
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執筆者:髙橋貴祐
編集協力:山下起暖