見出し画像

「バズる文章教室」なる本が出たらしい


こんにちは、塩谷です。
インターネット拡散業をやらせてもらっております。


バズる文章教室なる本が出たと友人が面白がって読んでいたので、どれどれと目次を覗いてみたんですね。



お手本とされているのは、ほうほう、森鴎外さん、星野源さん、村上春樹さん、しいたけ占いさん、さくらももこさん、こんまりさん、林真理子さん……文豪からSNSの新星まで幅広い〜と思っ

おや……

これワイ………


まさかの上野千鶴子大先生と、有川浩大先生に囲まれて私がいました。どうしての自問が止まらないよ!汗かくわ!

しかもタイトルは「譲歩逆説モデル 塩谷舞の先読み力 今までの考えを、自分でくつがえす。」となってます。嫌な予感がする……めっちゃ辛口批評されてるに違いないわ、と爆速で189ページに向かいました。

すると見事に、私の、この、noteが分析されているじゃないですか!
(どうせならmilieuを分析してほしかった……w)


分析されたのは以下の文章。昨年7月に投稿した、『これから描きたいのは、「バズ」よりも「調和」』という記事でした。


個人的には、少しスランプというか、自分探し期間に頑張って書いたものだったし、とくにバズった記事でもないので「え、この記事がお手本にされちゃった?!」と予想外さにビックリしたのですが……きっと色々読んでくださった上でこれが最適だと思われたのでしょう。

以下、私の記事の書き出しを再掲載しつつ、著者さんがポイントだと書いていたところを私なりに編集して加筆してます。


- - - - - - - - -

「Webメディアで記事を書いてそれを読んでもらうには、どうすればいいのでしょう?」


——発展途上で毎年トレンドが変わるWebメディアの世界では、私のような若輩者にもそんな質問がビュンビュン飛んでくる。飛んでくるものだから、私が経験してきた「偶然のバズ」をどうにかこうにかロジックに当てはめては、何百回も答えてきました。たとえば、こんな感じ。


「インターネットは、誰でも自由に発表できる最高のツールです。でも発表しても、流通網がなければ、無人島でお祭りをやっているのと同じこと。だから交通網がある場所に看板を出しましょう。つまり、SNSを頑張りましょう」

「Webの記事は、雑誌のように、パッケージ買いされて頭から読まれるわけじゃありません。だから、誰がどこから読んでも大丈夫なように、常に一見さんにもわかりやすい記事を書きましょう」


「誰にも響かない記事を100記事出すよりも、とにかく1つでもいいから、インパクトのある渾身の記事を書いてバズったほうが、しっかりと記憶に残ります。更新ノルマに追われて数ばかり出すのはやめましょう」

(🐑ポイント1🐑 ▲ここまでの部分でも有益。知ってる読者は「うんうん」となり、もし知らなかった読者であればここで「そうなのかぁ」とキャッチアップすることが出来る……そうです)

……私はこれまで、散々そんなことを書いてきたし、喋ってきました。


それは間違いじゃないとは思っています。これまでの私にとって、または立ち上げたばかりのWebメディアにとっては、絶対に必要なことだとは思います。


でも、今日は真逆のことを書きます。

これまでの発言を否定するつもりじゃないのですが、その先のことをずっと考えていたんですね。

(🐑ポイント2🐑 ▲この「真逆のことを言うぞ」宣言によって、「え?!なにそれ!」となって、先が読みたくなる……そうです)


- - - - ココカラ有料 - - - -


……という感じ。実際の本ではもう少し詳しく解説されているので、気になる方はぜひ買って読んでみてください!


彼女の解説を読んで、一番「なるほど〜〜〜〜〜〜〜」と思ったのは私かもしれません。いや、あの、あの記事に関してはかなり無意識で書いていた気がするので……。


ちなみに、掲載されている方々は以下の通りでした。紹介されている文筆家の方々のジャンルが幅広すぎるので、これまでと違うあらたな著者さんと出会うのにも、良い一冊かもしれません。(宣伝っぽいけどステマじゃないよ。ってか本になってるって知らなかったくらいだよ!)

CHAPTER1
バズるつかみ

良心的釣りモデル しいたけの誘引力
未解決疑問モデル 星野源の未熟力
質問一般化モデル 佐々木俊尚の身近力
嵐の前モデル 村田喜代子の展開力
時制変更モデル 森鴎外の寄添力
対にしてみるモデル 北原白秋の配合力
炎上回避モデル 山﨑ナオコーラの冒険力

CHAPTER2
バズる文体

音音 ぶつ切り モデル 村上春樹の音感力
曖昧共感 モデル かっぴーの弱気力
会話 割り込み モデル 林真理子の強調力
名詞止め モデル 綿矢りさの簡潔力
過剰口語 モデル 三浦しをんの台詞力
仮名 割 モデル 向田邦子の柔和力
硬質筆致 モデル 井上都の冷静力
接続詞 省略 モデル 恩田陸の快速力
壁ドン モデル 橋本治の豹変力
人柄調節 モデル 上橋菜穂子の親身力
フィルター モデル 永麻里の代弁力
ゆっくり 語り モデル 開高健の実直力
映像記録 モデル 司馬遼太郎の撮影力
対照的 造語 モデル 三島由紀夫の対比力
主観バリバリモデル 谷崎潤一郎の気分力
ヨガ文 モデル 紫原明子の息継力

CHAPTER3
バズる組み立て

妄想上昇 モデル 秋元康の裏切力
結末省略 モデル 江戸小噺の小粋力
同意先行 モデル 高田明の視点力
倒叙 ミステリー モデル さくらももこの配慮力
フォロー 先行 モデル こんまりの豪語力
主張進化 モデル 齋藤孝の更新力
配役固定 モデル上野千鶴子の一貫力
譲歩逆説 モデル 塩谷舞の先読力
感情 一般化 モデル 有川浩の共感力
長調短調 モデル 藤崎彩織の旋律力
擬人化 代弁 モデル武田砂鉄の錬金力
重ね 合わせ モデル 山極寿一の置換力
永世中立 モデル 岸政彦の中立力
段階的説明モデル 瀧本哲史の要約力

CHAPTER4
バズる言葉選び

片仮名 強調 モデル 俵万智の合図力
共通言語 投入 モデル 松井玲奈の国民力
意味拡大 モデル J・K・ローリングの超訳力
虚構現実 往復 モデル 阿川佐和子の声掛け力
過剰造語 モデル 宮藤官九郎の激化力
一文はずしモデル よしもとばななの意味深力
二人称 語りかけ モデル 山田ズーニーの一対一力
余韻増幅 モデル 岡本かの子の言い残し力
違和感 モデル ナンシー関の警告力
白い肌 雪の肌 モデル ビジネス書の隠喩力
緊張と緩和モデル 又吉直樹のかぶせ力


まぁこんな幅広い面々の文章を見事に分析されていて、あっぱれというか、なんというか。著者である三宅香帆さんのフェチが詰まっているように感じます。


しかし。こうした「教科書」のようなものは、どの程度「使える」ものなのでしょうか。

私自身、このnoteでもときおり書き方講座……のようなことをやっていますが、ぶっちゃけ、

ここから先は

1,523字
この記事のみ ¥ 200

新刊『小さな声の向こうに』を文藝春秋から4月9日に上梓します。noteには載せていない書き下ろしも沢山ありますので、ご興味があれば読んでいただけると、とても嬉しいです。