塩谷舞(mai shiotani)

1988年大阪・千里生まれ。2018年からNYでの生活を経て2021年に帰国。noteメンバーシップ『視点』更新中。著書に『ここじゃない世界に行きたかった』『小さな声の向こうに』(文藝春秋)公式サイト▶ https://www.maishiotani.com/

塩谷舞(mai shiotani)

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    暮らしや営みの中で零れ落ちそうなことを掬い上げたり、心や脳に浮かんだ閃きを忘れないよう書き留めたりする、思考や思想の直売所のようなものです。

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    不妊治療について書いてある記事だけをまとめておきます。途中から有料…というものもありますが、ご容赦ください。

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    ※2024年4月、500円にお値下げしました。 ※2022年1月、900円にお値下げしました。 ※2021年6月、ほぼ半額の1500円にお値下げしました。 およそ2年間運営してきたマガジン「記憶に残るインターネットの使い方」のポジティブ廃刊にともなって、これまで人気のあった記事だけを2900円で販売します。メディアを運営している方だけではなく、フリーランスのクリエイター、PR、マーケター、事業主の方々など、幅広い方が購読してくださっていました。

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    暮らしにまつわるnoteだけを集めたものです。

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[もくじ] 過去記事ほぼぜんぶリンク集

(最終更新 2024年8月19日) インターネットのあちこちに散らかっている文章をまとめました。 古い文章は、今とは主張が違うことも、ときには正反対であったりもしますが、それはそれで自分の考えていたことなので残しておきます。とはいえ過去記事全てを掲載するとあまりにも収拾がつかなくなるので、載せてないものもあります。すみません。テーマが1つに限定できないものは、重複して登場していたりします。 ネットに放った文章は勢いだけで書いているものもあり、雑多で乱れていることも多々、

    • 「採卵」で私がやったこと、全部書く

      先日、人生3度目の採卵が終わった。さすがに慣れたもんやで……と思いきや、前回が1年前のことだったので記憶が綺麗さっぱり消えており、「採卵ってこんな大変やったっけ?」と驚いた。 私の記憶力には非常にムラがある。過去の泥沼案件などを思い返すと「あのときの辛い気持ち」は仔細に思い出せるし、誰彼への恨みつらみなどは明確に心に残っているのに、そうした案件の具体的な内訳は見事なまでに脳から消去されているのである。それ故に、過去のやらかしと同じ轍を踏むことが度々ある。つまりは阿呆なのであ

      • 東京、こんな楽しいところがあったのね

        「江戸東京たてもの園、めっちゃ楽しいよ!」 ……というのは今から12年前、私がカルチャーメディアを運営する会社で働いていた頃に、先輩から教えてもらったことである。古い建物がたくさん移築されており、カフェや食事処もあり、まるでタイムスリップしたようで楽しいのだと。へぇ、いつか行きたいな……と思いながらも、ちょっと遠いし、今週末は他に行きたい展覧会もあるし……などと思っているうちにはや12年が経っていた。 が、古い建物についてのnoteを書きたい、そのために資料として写真撮影

        • 寒すぎるよ! ニッポンの家

          寒くないですか。 明日から11月になるのだから朝夕が冷え込むのは致し方ないけれど、いただけないのはつい先日まで灼熱地獄だったのにもう寒い、ということである。この国の気候は、いつのまにか寒いと暑いの二択になってしまい、趣もへったくれもなくなってしまった。一体どこに行ってしまったのか、風流人たちが最も愛した秋は……薄手アウターの出番は……。 とはいえ、まだ暖房をつけるには早いかな? という気温ではあるけれど、本格的な寒波が来る日に備えて灯油を買って置いておく。虚弱体質な私にと

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        メンバー特典記事

          「採卵」で私がやったこと、全部書く

          先日、人生3度目の採卵が終わった。さすがに慣れたもんやで……と思いきや、前回が1年前のことだったので記憶が綺麗さっぱり消えており、「採卵ってこんな大変やったっけ?」と驚いた。 私の記憶力には非常にムラがある。過去の泥沼案件などを思い返すと「あのときの辛い気持ち」は仔細に思い出せるし、誰彼への恨みつらみなどは明確に心に残っているのに、そうした案件の具体的な内訳は見事なまでに脳から消去されているのである。それ故に、過去のやらかしと同じ轍を踏むことが度々ある。つまりは阿呆なのであ

          「採卵」で私がやったこと、全部書く

          東京、こんな楽しいところがあったのね

          「江戸東京たてもの園、めっちゃ楽しいよ!」 ……というのは今から12年前、私がカルチャーメディアを運営する会社で働いていた頃に、先輩から教えてもらったことである。古い建物がたくさん移築されており、カフェや食事処もあり、まるでタイムスリップしたようで楽しいのだと。へぇ、いつか行きたいな……と思いながらも、ちょっと遠いし、今週末は他に行きたい展覧会もあるし……などと思っているうちにはや12年が経っていた。 が、古い建物についてのnoteを書きたい、そのために資料として写真撮影

          東京、こんな楽しいところがあったのね

          寒すぎるよ! ニッポンの家

          寒くないですか。 明日から11月になるのだから朝夕が冷え込むのは致し方ないけれど、いただけないのはつい先日まで灼熱地獄だったのにもう寒い、ということである。この国の気候は、いつのまにか寒いと暑いの二択になってしまい、趣もへったくれもなくなってしまった。一体どこに行ってしまったのか、風流人たちが最も愛した秋は……薄手アウターの出番は……。 とはいえ、まだ暖房をつけるには早いかな? という気温ではあるけれど、本格的な寒波が来る日に備えて灯油を買って置いておく。虚弱体質な私にと

          寒すぎるよ! ニッポンの家

          36歳はお姉さんか、おばさんか。

          36歳になった。なんかこう、いよいよ来てしまったな……という焦りがある。いや、人生はもっとずっと長く続くことを期待しているので、そこから逆算すればまだまだこれから、ではあるのだけれど。 私の周りには、40代でギャラリーを営み始めた女性や、50代で異国の大学院へ留学して博士号を取得し、道を拓いた女性がいる。そうした方々と接していると、自分は今からでも、世界のどこにでも行けるのだ! という勇気をいただく。そしていち物書きとしては、歳を重ねることで文章も重層的になっていくというこ

          36歳はお姉さんか、おばさんか。

          初めての北千住と、朝ドラ「虎に翼」の私的感想

          本日は曇天。昼に打った静脈麻酔がまだまだ体に残っているので、なんだかパッと晴れない、若しくは配慮不足な散文になってしまっていたら申し訳ない。 今月あったこと、思ったことを取り止めもなく記録してみる。 人生初、北千住へ19日には、北千住の病院での血液検査があったので千代田線に乗って1番出口……とスマホ片手に階段を上がっていったところ、この景色が眼前に現れて驚いた。 曲がりくねった道に、昔ながらの居酒屋の看板。なんと複雑に調和した文字と建物の並ぶ景観だろうか! 私は「日本

          初めての北千住と、朝ドラ「虎に翼」の私的感想

          置かれた場所で咲くしかない時もあるんやわ

          「あれ?少ないですね……」 不妊治療クリニックで内診を受けている途中、医者が不穏な空気を出した。 昨年の初夏から高度不妊治療に取り組んでいるけれど、1度目の採卵は全て受精せず失敗。2度目の採卵で受精卵(胚盤胞)が出来て、4度移植するも度重なる化学流産により胎嚢確認には至らず。 採卵と移植だけではなく、検査、手術、服薬……と大小さまざまなイベントが発生し、その全てがお金、時間、健康を削ってくるのでもう疲れたドンという気持ちもあるのだけれど、移植6回目までは保険でカバーされ

          置かれた場所で咲くしかない時もあるんやわ

        記事

          36歳はお姉さんか、おばさんか。

          36歳になった。なんかこう、いよいよ来てしまったな……という焦りがある。いや、人生はもっとずっと長く続くことを期待しているので、そこから逆算すればまだまだこれから、ではあるのだけれど。 私の周りには、40代でギャラリーを営み始めた女性や、50代で異国の大学院へ留学して博士号を取得し、道を拓いた女性がいる。そうした方々と接していると、自分は今からでも、世界のどこにでも行けるのだ! という勇気をいただく。そしていち物書きとしては、歳を重ねることで文章も重層的になっていくというこ

          36歳はお姉さんか、おばさんか。

          初めての北千住と、朝ドラ「虎に翼」の私的感想

          本日は曇天。昼に打った静脈麻酔がまだまだ体に残っているので、なんだかパッと晴れない、若しくは配慮不足な散文になってしまっていたら申し訳ない。 今月あったこと、思ったことを取り止めもなく記録してみる。 人生初、北千住へ19日には、北千住の病院での血液検査があったので千代田線に乗って1番出口……とスマホ片手に階段を上がっていったところ、この景色が眼前に現れて驚いた。 曲がりくねった道に、昔ながらの居酒屋の看板。なんと複雑に調和した文字と建物の並ぶ景観だろうか! 私は「日本

          初めての北千住と、朝ドラ「虎に翼」の私的感想

          置かれた場所で咲くしかない時もあるんやわ

          「あれ?少ないですね……」 不妊治療クリニックで内診を受けている途中、医者が不穏な空気を出した。 昨年の初夏から高度不妊治療に取り組んでいるけれど、1度目の採卵は全て受精せず失敗。2度目の採卵で受精卵(胚盤胞)が出来て、4度移植するも度重なる化学流産により胎嚢確認には至らず。 採卵と移植だけではなく、検査、手術、服薬……と大小さまざまなイベントが発生し、その全てがお金、時間、健康を削ってくるのでもう疲れたドンという気持ちもあるのだけれど、移植6回目までは保険でカバーされ

          置かれた場所で咲くしかない時もあるんやわ

          青花。枯れることのない青の世界

          古代オリエント世界、人々は「青」を永久に手の内に収められないものかと、大変な苦労をしてきたらしい。頭上に広がる空はもちろん手では掴むことができないし、青く目に映る水は手に掬った途端にその色を失い、青い果実や花は人が摘み取ったそばから枯れていく。 だからこそ、ラピスラズリやトルコ石のような青い宝石は重宝されたというけれど──人はその欲の強さで文化を発展させてきたのだ。希少な宝石よりもずっと容易く、もっと思いのままに支配できる青を探した。その先に辿り着いたのが、コバルトを含んだ

          青花。枯れることのない青の世界

          私は、美しい暮らしが好き

          哲学者の友人、谷川さんに誘ってもらい、同人誌『暮らしは、ことばでできている』に寄稿しています。 私はただ、美しい暮らしが好きなんよ!という話をしているのですが、本になったものを開くと、前書きで拙著のことに触れてもらっており、友よ!!!!という嬉しさがありました。 前書き、そして販売先情報はここからもご覧いただけます。 ここからは、私の文章のみを掲載させてもらうのですが、本として読みたい、という方はぜひ実物で。穏やかや日記がありつつ、渡辺祐真さんと谷川嘉浩さんの鋭利で読み

          私は、美しい暮らしが好き

          行かなきゃならない展覧会、5選

          芸術というものを紹介するときは、まず自らの足を運び、この目で、耳で、できる限りを体感してから書く……というのが私の中の原則ではあったのだけれど、どうにも身体が動かない。しかし、元気になってから……と身体の都合を待っていると、あれもこれも会期が終了し、なんなら美術館まで休館してしまうようなこのご時世。 ……というのを言い訳にして、行ってもいない展覧会のことをいくつかここに寄せ集めておくことをお許しいただきたい。とは言え数多の情報の中から厳選した、必ず行きたいものばかり。関東中

          行かなきゃならない展覧会、5選

          蛍は光り、人は声を出すけれど

          夏風邪をこじらせてしまい、5日ほど寝込んでいる。クーラーの影響か、喉がやられてしまった。 夫は出張に出ていたし、最低限の食料は宅配で賄っていたので、三日三晩ほど「あ」とも言わない日々を過ごした。 声というのは、「私はここにいる」とその場で伝える最善の手段なのだよな……とそれが出なくなるときいつも思う。触れる、叩く、もしくは殴るといった動作で気持ちを伝えるのはあまりにも直接的だけれど、音は空気を震わせて周囲に届く。その色によって、心の内までも伝えられる。残念ながら我々は蛍

          蛍は光り、人は声を出すけれど

          森羅万象への敬意が生む、類まれなる調和

          美しい時間の覚え書き。 赤坂見附で下車して、ぱっとしない地下道をせっせと歩いた末に辿り着く、綺羅びやかなサントリーホール。きらきらと輝くホワイエに気持ちが高揚しながらも、同時に少し安堵する。いつもここに来るときは少し気が張っていたのだけれど、昨夜は楽しみなばかりの夜だったのだ。 というのも私は昨年まで、サントリーホールのことを紹介する雑誌連載を受け持っていた。だからかなりの頻度で来ていたし、何度も演奏会を楽しませてもらったのだけれど、いつも「文章のネタを見逃してはならぬ!

          森羅万象への敬意が生む、類まれなる調和

          バンコク、灼熱の街で

          「しばらく、自由に過ごしてもらって大丈夫です!」 4月1日、主治医にそう告げられた。不妊治療なるものはとにかく制約が多いのだけれど、あれもダメ、これもダメ……という日々をしばらく過ごした末に妊娠不成立となれば、束の間の自由が訪れる。けれどもその次の移植が上手くいけば妊婦になる訳で、今ここで提示された自由は、30代最後の自由……になるかもしれない。そう考えると途端に焦燥感が生まれてくるもので、「どこか遠くに行くなら、今!」と夫にLINEした。 ── 我々夫婦は、一緒に海外

          バンコク、灼熱の街で

          不妊治療と仕事は両立できるのか問題。

          前回、京都で展覧会を開催した話を書いたけれど、会場に来てくださったお客さんの多くから「体調は大丈夫?」「無理しないで」というお声掛けをいただいた。 私は不妊治療をしていることを赤裸々に書いているために、それを読んでくださった上でのことだろう。「痛い」「先が見えない」「自由に仕事が出来ない」という、うだつの上がらない言葉ばかりを公にしてしまっていることもあり、必要以上の心配を掛けてしまっているのではないか……と申し訳なく思った。でも展覧会の間は幸か不幸か、すこぶる元気だったの

          不妊治療と仕事は両立できるのか問題。

          京都でのAesther Changの展覧会を終えて──言葉にしておきたいこと

          大きな出来事があると、ちゃんと書かねば……と思いながらも、気持ちの整理が付けられないままに1週間、1ヶ月、半年……と過ぎてすっかり風化してしまうことがままあるのだけれど、これはちゃんと言葉に残しておかなきゃいけない。 企画、運営を担当させていただいた京都でのAesther Chang個展は、6月28日からの3日間、良い形で会期を終えることが叶いました。お越しくださったみなさま、本当にありがとうございました。 ニューヨークのソーホーで、台湾系アメリカ人のAesther Ch

          京都でのAesther Changの展覧会を終えて──言葉にしておきたいこと

          「将来の夢は?」という質問を受け続けることで、育てていった自らの呪い

          「将来の夢は?」 大人は子どもに、何の気なくそう尋ねる。私だって姪っ子に、そうしたことを聞いたことがあったかもしれない……いや、なかったかも。と、聞く側はそれくらい無意識なものだ。それは「今、何年生?」「好きな食べ物は?」と同じくらいに、子どもに向けたありがちな質問なのだし。 ただ問われる側だった頃の記憶を思い返してみると、そこで大人の望むような回答……つまり具体的な、わかりやすい職業名を挙げることに対して、小さな居心地の悪さが確かにあったのだよな。 ── 私がそうし

          「将来の夢は?」という質問を受け続けることで、育てていった自らの呪い