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mais um
2021年9月29日(水)晴れ時々曇り
メールの下書きを整理していたら
一篇の詩が出てきた
以前、映画で曲を使いたいと
ブラジルの映画監督から連絡をもらい
去年の春、その映画が完成し見せていただいた後に
ストーリーの備忘録的に書いたものだった
曲はシュガープラントのhappyという曲で
主人公のふたりがデートするなんともハッピーで
それでいてたいへん刹那的な瞬間に
ちょっと虚ろな青空の下
その曲がかかっているのでした
残念ながら日本では公開されていないようですが
タイトルはたしか「mais um」だったでしょうか
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plus one
いびつな世界に
一を足す
僕たちはささやかな
つながりを求めて彷徨う
私たちには
どこかへ連れていってくれる
音楽が必要だと君は言う
目を閉じて
音の洪水に身を委ねた
朝が来るまで
僕の父は
原子力発電所で働いている
君のお腹には
もう別れた男との子供がいる
クラブで
久しぶりに会った君は
気持ちよさそうにたゆたっていた
目を閉じて光っていた
あとで会おうと言った店で
君を待っていた
でも僕の聞き間違いで
君に会うことはできなかった
音の洪水にかき消された言葉
もつれた糸は絡まり
そしてほぐれて離れていく
けれど
母になった君と
僕は
また出逢う
一を足す