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Photo by
tsuyoume
A swallowtail flies
2024年6月13日(木)
夏至へと向かう空
どこまでも透明な
それでいて鮮やかなブルー
やがて時とともに
ロマンティックを色にしたペールピンクから
燃える透明な赤はまるで炎
君も同じ夕焼け空を
見てるのかな
今朝、蛹から蝶になって
飛び立っていったアイツ
ゆっくりとはばたくような動きで
生まれたての羽根を乾かしていた
黒い模様はみるみる濃くなっていった
まだお尻は半分蛹の中で
初めての地球の空気をかき混ぜていた
胴体は真っ白で
黒いラインが入っていた
黒い触角と大きな目
宇宙服なのかはたまたドレスか
私はその美しさと不思議さを見つめながら
なんとはなしに体勢を変えようと動いた瞬間
吐息が思いもよらぬ風となりその羽根に吹きつけ
その勢いで君は蛹から完全に抜け出した
君は蝶の飛び方を
はなから心得ていた
まずは私に向かって
飛んできたように思えた
それからディルの枝につかまって
初めての飛翔を味わうかのように
またゆっくりと羽根を動かしたあと
ベランダから華麗に飛び立って
前の桜の木の枝に止まった
そこでしばらくゆっくりと
羽根を乾かしているのが見えたけれど
いつのまにか見えなくなっていた
夜は
アイツが初めて迎える夜だ
ひとりどこかに止まって
休んでいるのを思うとそれだけで
泣きそうになる
花の蜜は吸っただろうか
明日は晴れるだろうか
夜が明けて花を見つけられるだろうか
悪ガキに捕まらないだろうか
鳥に食べられないだろうか
アゲハは生まれた木に産卵しに
戻ってくるというから
それまでに山椒の木を
育てておくよ