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第38回 インビクタス/負けざる者たち (2009年 アメリカ) 「私が我が運命の支配者、私が我が魂の指揮官なのだ」ネルソン・マンデラ

 昨年のラグビーワールドカップが日本で行われるまでマイナーなイメージだったラグビー。

そのラグビーを利用し、国を新たに立て直したまさに偉人がいた。

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黒人差別が当然のように横行し、国が乱れていた南アフリカ。その南アフリカにて何十年も政治犯として囚われの身に堕ちていたネルソン・マンデラが初の黒人大統領となる。

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彼は自らの辛い経験から、地位と力を得たこの時こそ、人種差別をなくすべきだとこれまで敵であった白人にも寛大に接し、黒人白人区別なく接した。

彼に反発するかつての支配者層の白人やこれまで迫害を受けてきたマンデラの支持層の黒人。

お互い反発しながらもマンデラの魅力と彼の誠実さで周囲から差別的意識が消えようとしてきた。

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そのマンデラ大統領が国民の気持ちを一つにし、他国と対等に渡り合うため、ラグビーワールドカップで開催国南アフリカを優勝させることを目指す。弱小の南アフリカラグビーチームを優勝チームに押し上げる為に自らチームの練習にも出向きエールを送る。

全国民が見守る中、ワールドカップにて南アフリカチームが優勝する。そして、国が一つになったことによりマンデラ大統領は大きな夢を実現するのであった。

いくつも感動のシーンは存在するが、唯一あげるとすれば、このシーン。

ワールドカップ決勝戦。スタジアムに入れぬ貧しい黒人少年は試合が気になる。路上では白人のタクシー運転手達が集まりラジオで試合を応援。黒人少年は近付くが白人運転手達に追い払われる。それでも試合が気になる少年はその場を離れようとしない。ここにも差別は存在する。しかし試合が進むにつれ少年と運転手達は少しずつ南アフリカチームの為に共に応援するようになり、優勝した瞬間はお互い抱き合って勝利の嬉しさを分かち合う。ラグビーを通して差別が吹き飛んだ小さな場所の大きな瞬間である。

この演出、素晴らしい。この南アフリカの英雄を作品の主役に取り上げたところ、さすがは名匠クリント・イーストウッド監督。

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ラスト、

国民が勝利に喜び大騒ぎの中、マンデラの名言が流れる。

「私が我が運命の支配者、私が我が魂の指揮官なのだ」

これは大統領になる以前、彼が獄中で読んだ好きな詩の一節だ。

「最悪の状況の中であっても自分を信じて未来を諦めない」という強い信念を感じる。

南アフリカのまさに英雄である

★★★★☆ 4.5点


次回第39回は

インビクタス→黒人差別→人種差別→クラッシュ

『クラッシュ』を取り上げる

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