No.2 ヘレディタリー継承 感想
令和4年10月26日
映画座談会 No.2
ヘレディタリー継承
〈感想〉
○部員M
怖さ☆☆☆☆(4)
21世紀で一番怖いと呼ばれている本作ですが、ホラー大丈夫な僕からしてみればまぁまぁな怖さだったかな。
まぁ何となく心配だったから夜寝るときは玄関のキーチェーンまで閉めたし、夜ゴミ出しに行けなかったから燃えるゴミ出し忘れたりしたけど......
冗談はさておき、本作はホラー映画によくある「ジャンプスケア」という手法(大きな音とともに突然脅かす演出)には頼っておらず、じわじわ怖がらせてくるいいホラーでした。
なのでホラーが苦手という人にもお勧めできる作品だと思います。(グロ耐性がない人はやっぱりだめだけど)
グラハム家は劇的に仲が悪いわけじゃなくて一応日常生活は何とかやっていってるけど,何かの拍子にお母さんがヒステリーを起こしちゃうとか、食事中に怒って席を立っちゃうとか、家族仲の悪さがリアルに描かれていて幽霊的な何かよりも怖かった。
この映画ってもしかした家族の中は良好に保ちましょうってことが言いたかったのか?
○部員I
怖さ☆☆(2)
大変な謳い文句に興味を持った我々は恐怖を押し殺し、好奇心に従うがままに鑑賞を行った。
結論を言えば私はこの作品から強大な恐怖を感じるに至らなかった。
私は人間が恐怖を抱くのは「わからない」ことが原因だと考える。そう言った意味では大変な謳い文句に若干の緊急をしていた私にとってホラー映画独特の緊急感を絶やさない構成は私の“いつ来るかわからない”恐怖のボルテージを高めた。
近年の洋画におけるホラー映画は作中の主人公達同様に鑑賞する我々も何に恐怖するかが始めわからないことが多い。故に自然と作品に対する関心や集中力が向上した状態で物語は恐怖のボルテージを上げていく。
アメリカの田舎町、閉鎖的でないはずだが“この家族は何かに囚われている”そう感じさせる演出だった。実際に一度の鑑賞を終えて改めて意識すると話題作と言われるだけあって伏線や細かい演出が映像に散りばめられていた。
まずもってチャーリーの異常な行動が鮮烈な不気味さを感じさせた。しかし物語が進むにつれ見えては消え、また微かに姿を表す“恐怖”の正体に怯える。
私は彼ら家族と同じ視点に立ってその現象を見ていた。
物語終盤になれば映画好きならば自ずと先の展開が予想できるだろう。私もその例外でもなく、この作品もそうであった。やはり恐怖とは「わからない」であると実感する映画であった。
○部員A
「現代ホラー」という言葉に惹かれ視聴。同監督の「ミッドサマー」を両親と視聴するという大罪を犯してしまったあまり、若干ホラーに(個人的な)恨みを抱いている。そうはいっても、先日見た映画は「それがいる森」。ホラー映画で怖がりたい時期なのかもしれない……
映画の雰囲気は良かった。明らかに何かが起きそうな不穏な空気。明らかにホラー映画だ。しかしこの映画の全体像が中盤までわからない。更に、段々精神が壊れ狂っていく家族。この映画の段々人が壊れていく描写はかなり良い。だからこそこの物語にファンタジー的な要素は必要なのか、と考えてしまった。母親の丁寧な精神崩壊の描写を描いていた分、勿論伏線が沢山張られていたとはいえこの一家の壊れ方に非科学的な要素があった上でのこの「オチ」はちょっと自分の期待していたものと違ったのだなと思う。
オチも「ミッドサマー」に近いし、同じようなオチなのであれば白夜の日、それも田舎の村という明らかなそういう「狂い」を感じさせてくれる状況の方が雰囲気が引き立っていた。エロティックな描写が苦手ではないという人だったら「ミッドサマー」の方をお勧めする。