『家族信託について考える』#2~家族信託と相続の関係は?~
前回の、とある家族の、事例の続きです。高齢の祖父の財産を、どう相続していくか、そのときに家族信託はそう影響するのかという問いかけををご紹介します。
まずは、まるで、ドラマのような、事例をご覧ください。
Ⓠ4 祖父(受託者)と子の長男(委託者)が家族信託を契約した場合、祖父死亡の際は「受益者を祖母」にしておけば、祖母の生活は保障されるのか。
なお、祖母の将来の施設入所等も勘案すれば、任意後見人をつける必要があるのか。
Ⓠ5 通常の相続では、法定相続人である妻と子の範囲に限られるが、家族信託で孫にも自分の意思が示せることがあるのか。孫(長男の子に知的障害がある)の将来が心配で、何らかの財産を残したいと考えているがどういう方法があるのか。
Ⓠ6 祖父母は故郷に所有する農地(不在地主)からの収穫物を楽しみにしているが、この農地はどのように相続させればいいのか。
Ⓠ7 祖父は、既にほぼ法定相続通りの遺言を書いている。しかし、これまで、長男夫婦に世話になったことを踏まえ、祖母の将来のことを考え併せて、財産管理分は長男に一元化しておく方がよいと思い、「家族信託」に切り替えたいと考えた。このとき、遺言(法定相続通り)と違う部分(財産の管理処分は長男に一元化)はどのようになるのか。
Ⓠ8 祖父は長男夫婦を信頼し、祖母を託せると思っているが、すべての財産の管理権を長男に委託してしまって、「いざというときも」大丈夫なのか。実は、孫の中でも次男の子(25歳)は小さいころから優秀で、特に目をかけていて、資産運用の仕事についていることもあり、株式運用の相談もしている。今後、自分に認知症で判断能力を書くようになった場合はその運用を任せたいと思っているが、この場合「家族信託」で調整は出来るのか。
Ⓠ9 祖父名義の家屋の立つ土地は、戦前から長期にわたり地主から賃借しているものだが、最近買い取りたいと地主に申し出たところ、「当方も代替わりしており、先代のことをいわれるとつらい(10年前に建て替え時に先代の了承を得ている)が、あなたの代限りで更地にして返してほしい」と言われてしまった。さて、買取交渉と「家族信託」についての地主の了解を得ることはどのように進めたらいいのか。
とここまでが、とある家族の祖父母の財産相続と「家族信託」にまつわる事例です。事例とはいえ、なかなか生々しい話でありますが、珍しい話ではないと思います。
超高齢化社会と言われる現代では、家族関係の核となるひとの心のうちも、保有する財産も多様化し複雑化しているのではないでしょうか。
この事例の検討は、2月7日(月)午後1時から、品川区荏原第4地域センターの第4会議室で行う予定です。
ご参加できない方のために、後日、ご報告をするつもりです。
つづく