【小説】 魂の殺人⑥

実家の猫が死んだ
夏にいなくなっていたけど
唯一実家から連絡があったあの日
たびが家に戻ってきたわよ
たびとはうちの猫の名前だ

秋とはいえ
異常気象なのか暑い秋にたびは
帰ってきてくれた
でも昔みたいに実家に帰ることはなくなったし
あの頃毎日犬を散歩したらついてきていた
ねこのたび
はじめて出会ったのは
2010年
野良猫が小さい猫を、子どもを連れてやってきていた
あの日
茶色の母さんねこは
真っ黒の赤ちゃんねこと
一緒に連れてうちの家にやってきた
 
可愛かったので
ご飯をあげた
まったく懐かなかったけど
ご飯を食べてくれる、それだけで嬉しかった私。
親猫はまず子猫がご飯を食べた後に
後で食べていた
優しい親猫
 
しばらくしたら子猫だけくるようになった
どうやら親猫はまたみごもったらしく
子猫をおいていなくなった
そう、ウチの家に来たらご飯を食べれるから
困ったらここにきなさい、とでも
教えたかのように、、、。
 
子猫を家に入れようとしたけど
触れないぐらい警戒心は強かった
 
そのうちに黒猫なのに足だけ靴下を
そう白い靴下をはいた猫があらわれた
そうたびだ
 
たびは子猫を生んだ親猫の子で
子猫より前に生まれた猫だった
近所の人が教えてくれた
 
またある日近所の人が教えてくれた
子猫の親猫は
車に轢かれてしまった、、、と。
 
たびは子猫の世話をし始めた
決して家にはもちろん、人に触られない
2匹の猫は家の玄関の
イヌ用のおしぐるまの中で生活をし始めた
 
でも、子猫はだんだん佳世子に慣れてきて
触れるようになった
 
そして、3月
東日本大震災がおきた
 
触れるようになったから
抱っこできるようになったから
佳世子は子猫を家に入れる練習をした
  
そして、子猫をロンロンと佳世子は名付けた
ロンロンは家でかえたけど
たびは野良猫の時間が長かったから
家には入らなかった
何度も何度も家に入れようとしたけど
 
そのうちに
たびはどこかに消えていなくなるように
いなくなった
2011年。
 
たびは賢くて
ロンロンの面倒を見たあと
消えていなくなった
 
つづく





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