【小説】 辛口ファッション

ある有名な芸能人の方が亡くなったと
朝テレビでみた

その時
フラッシュバックと言うか
記憶が戻った
あれは
2001年の春になりそうな日
淳とお台場の商業施設で買い物をしていた

テレビ局の人が声をかけてきた
ピー子のファッションチェックに出てみませんか?
と、いう内容だった
若いからなのか
春前なのに
薄着だった
春のコートを着ていた佳世子
隣りは淳がいた

撮影をした
後日
テレビ局の人がわざわざ電話をくれて
いつ放送するか教えてくれた
テレビは録画して
ビデオテープに保存した

実家がリフォームするからと
ビデオはいらないからと捨てた
淳のことをもう思い出せないでいた
きっと辛かったんだろうなと
今の心ならわかる

誰かの為に
他人の為の幸せや生活の為に
佳世子が犠牲になるのはやめようと

佳世子は自分の身の潔白のために
過去の親友の思い出を捨てることにした

だってあれは
不正行為

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