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【日本ドラマ】2024年夏ドラマ、完走したのは?

頭の中で、連続ドラマ、配信ドラマ、映画などなどが大渋滞してます。
キャパに対してインプット多すぎ。笑
夏ドラマがほぼ終わったので、頭の中から出します。メモしてないからきつい… 思い出せるだろうか… (←毎回そう思うんだからメモしなさい)

『海のはじまり』

どういう風に終わらせるのかな、という興味で完走しました。
ストーリーが重すぎる、と言われていたりもしたようですが、私は全然そうは感じませんでした。

別れた(自分が振られたと思っていた)彼女が中絶したはずの自分の子を実は産んでいて、彼女がその後がんで亡くなったことでその事実を知った男を主人公とし、その家族(ステップファミリー)や現在の彼女、さらに亡くなった元カノの家族とその周辺をめぐる物語です。テーマは重いので話を重くしようとすればいくらでも重くできそうですが、実際はほとんど修羅場もなくて不思議な作品でした。

突然現れた“我が子”を、戸惑いながらも最初から受け入れる主人公、夏(目黒蓮さん演)は少し現実離れして見えます。他の登場人物たちも、それぞれ何らかの葛藤があるようだけれど、それはあまり表面化せず、意外と簡単に互いを理解し合うような感じもあって、これはもう、ある一つの世界観の中でのファンタジーであって、色々な価値観を持つ生身の人間たちの話ではないんじゃないかなという印象を受けました。

みんな物わかり良すぎ。誰も本心を吐露しない。いや津野くん(池松壮亮さん演)は違うか。だから津野くんだけは人物にリアリティがありました。

しかし見ようによっては、「人はそんな簡単に本心を吐露したりしないんだよドラマみたいに」と思えば、逆にとてもリアルなのかも知れないです。ドラマ的な“リアルっぽさ”でなく、本当のリアリティを表現しようとしていたのかなあ…
あるいは“行間で吐露してる”のであれば私がそれを感じ取れなかったということですね。

ただ一つの修羅場と言えるのが、夏が実父(田中哲司さん演)と対峙するシーン。あまり感情を表さない夏が唯一怒りをあらわにする。(普段おとなしいのにカフェで椅子蹴るとかそういうことやる人なんだ怖いわ…ってなった)ですが、すぐに和解的シーンになります。

この、夏と父親の挿話はなぜ存在するのでしょうか。
両親の離婚、だらしない実父との断絶、母の再婚… これら一連の事象が、現在の夏、優しいけれど主体性を持たない、感情や意思を表現しない、つかみどころのない青年を作った。それを表現するためのサイドストーリーなのでしょうか。
あるいは、突然現れた自らの子の責任を、さほどの心理的葛藤もなく持とうとする、なかなかに稀有な夏の行動が、実父を反面教師としていると考えれば納得しやすい、そのために存在するのかもしれません。

夏と弥生(有村架純さん演)の別れかたもすごく淡々としていて、まあ大騒ぎしたってしょうがないし、というか大騒ぎするならそのタイミングじゃなかっただろうし、二人とも大騒ぎしないキャラクターではあったのだろうけれど、これもまた不思議だったな。
弥生の過去に起こったことを考えると、心理的混乱と苦しみは想像できないほどだけれど、それについてもあからさまな表現はされていなくて(いや、でもそれも私が見落としているだけなのかもしれない。私はドラマってあんまりじーっと見ていなくて、時々よそ見したり気が散ったりしていることがあるので。細かい演出がされていたなら見落としの可能性大)。

いずれにせよ、韓国ドラマの逆っていうか、みんなが淡々としているドラマもあるんだな…

余談ですが、夏の弟の大和を演じた木戸大聖さんが、来年公開の映画『ゆきてかへらぬ』で中原中也を演じています。これは楽しみ。Filmarksで見たいリストに入れています。

『新宿野戦病院』

新宿歌舞伎町が戦場、という見立てはおもしろいと思うし、そこにアメリカの軍医がやってくるという設定もおもしろい。冒頭に、歌舞伎町は安心安全に遊べる街、というナレーションがあります。これは皮肉なのかもしれませんが、20〜30年前と比較したら、実際にそう大きく外れてもいないんじゃないかとも思います。にしても、戦場というコンセプトはおもしろいと思いました。もちろん、実際の戦場とは比すべくもないですが。

アメリカ生まれ育ちだけど日本ルーツの軍医ヨウコの人物設定は、あれこれと細かすぎるような現代の日本に、適度な“雑さ”が必要なんじゃないの、というメッセージとも取れました。

ヨウコを演じた小池栄子さんの英語について、ネットでは意見が飛び交っていました。確かに英語ネイティブ話者というには無理がありました…
他に英語に堪能な俳優もいただろうと思います。それでも小池さんが採用されたのは、豪快で雑なヨウコのキャラクターがぴったりはまっていたからなのでしょう。なんなら当て書きなのでしょうか?
“雑さ"は本作ですごく重要だと思うのです。いろいろな問題が取り上げられたドラマでしたが、私はそれら自体はこのドラマにおいてあまり重要とは思えず、この“雑さ”が本作に欠かせないポイントだと思いました。

思いのほか啓蒙的だった本作ですが、近頃の日本ドラマは多かれ少なかれそういう面がある印象です。実際、現在の日本は目に余るほど問題山積みの状態、ということもあるのでしょうね。
それらの積み上がった社会問題を即座に解決する魔法の杖なんかないけれど、愛と“雑さ”で日々懸命に生きていくしかないよね、というドラマ(だと私は受け取りました)。

ダブル主演の仲野太賀さんを始め、個性的で魅力的な出演者が多く、しかも今期複数のドラマに出演している俳優も多かったので、それらを演じ分けているのを見ていて、俳優って本当におもしろい職業だなあ(大変だろうけど)と改めて感じました。

『西園寺さんは家事をしない』

ニセ家族の話。
訳あって家事をしない、仕事のできる西園寺さんが、職場に同僚としてやってきた楠見とその娘を自宅離れの賃貸物件に迎え入れ、偽家族になろうと提案する。楠見はシングルファーザーで、娘の母親は亡くなっているという設定でした。『海のはじまり』と似て非なる状況です。

偽ナントカ、契約ナントカ、みたいなのはどうせ展開わかってるしどうかなあ、と思いつつ一応見てみて、あら、なんとなく違う方面へ行くの?と思わせる部分があったので、継続して見てみました。
途中、西園寺さんに彼氏ができたところは、これまでのこの手のドラマにない展開で、万が一にも予想外の結末になるのだろうか、と期待しました。

でもでも。
やっぱりそうなるよね…
結局は見る前からわかっていたような結末に着地しました。ううむ。
まあでも物語に大事なのって、結末だけじゃないからね。

松本若菜さんはとてもチャーミングに西園寺さんを演じていました。シングルファーザー楠見役の松村北斗さんも落ち着いていて悪くなかったし、楠見の娘、ルカ役の倉田瑛茉さん可愛かったな。

ですが私は途中で「あれ?なんでこんなに頑なに“ニセ”にこだわる必要があるんだろ。普通に家族になっちゃえば?」って思ってしまい、一連のドタバタがだんだんめんどくさくなってしまいました。
しかしあれですね、最初の方でルカがたぶん何か言ったかなんかで、西園寺さんと楠見がすんなりと一緒になる選択肢はあらかじめなかった、ってことでしたかね。覚えていないのですが、終盤でルカが西園寺さんと楠見の横に微笑む亡母の幻影を見て、“ここに西園寺さんが加わることはOK”とする場面を見て、そうか、ルカが反対してたんだっけ?、と。

いずれにせよ、そのめんどくさくなったあたりで挫折しそうになったのですが、万が一の新しい展開を期待して最後まで見てしまいました。

西園寺さんと母との問題も、一回でなんとなく解決っぽい感じになっていて、ここはあまりに駆け足では?と思いました。ま、でもここを掘り下げるとしたら一作全部使うようなことになってしまうだろうし、仕方ないのかな。
ところでこの点も『海のはじまり』と微妙に重なっていますね。父に捨てられた(と思っている)夏と母に捨てられた(と思っている)西園寺さん。

やっぱり「遠くの親戚より近くの他人」とか「単純接触効果」って正しいのかな。人間の行動ってだいたいパターンがあって、そこからはみ出ることってそう多くはないってことでしょうかね。

『家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった』

家族やそのエピソードを軽妙に綴ったエッセイが原作のドラマ。
七実役の河合優実さん目当てで見ました。

自分のことだけならまだしも、家族のことを公の場に発表するのってかなり勇気の要ることだと思います。家族とかなりの信頼関係がないとできないですよね。
ドラマによれば、色々と追い詰められてそうするに至ったようでした。でもそもそも書くことも好きだったのでしょうね。

原作者の岸田奈美さんがどのような方かはよく知らないのですが、ドラマを見る限り、ものすごくパワフルで、バイタリティに溢れ、ちょっとウザい(ごめんなさい)、とても人間味のある方なんだなと思いました。
そして、そんな主人公を河合優実さんが予想通りにリアルに演じられていました。関西弁もものすごく自然に聞こえました。まあ私は関東出身なので、微妙なところはわかりませんけれども。

障害を持つ弟の草太(吉田 葵さん演)、病気から障害を持つに至る母ひとみ(坂井真紀さん演)、認知症になる祖母芳子(美保純さん演)、亡くなった父耕助(錦戸 亮さん演)、七実は家族にいろんな思いを持ちながらもやっぱり愛していて、時にはウザいと思いながらも、物理的には離れたりしながらも、強く結ばれている。そういう物語でした。

最終回での七実のセリフ「褒められる以外の幸せがわからん」というのが七実のキャラクターを理解するポイントなのかな。
また、同じく最終回で「世の中には大丈夫な人間と、大丈夫やない人間がいる」と言い、草太と祖母は大丈夫、ママと自分は大丈夫じゃない、というのも、意味深で考えさせられる言葉でした。

* * *

今期完走したのは以上の4作品でした。
特に強く推したい作品はなかったかも…
というか、個人的に毎週少しずつ見るっていう見方が難しくなってきてるかなあ… 自分のペースで見られる配信の方がやはり勝手が良くて。
関心の持続がなかなか難しいです。(ぐいぐい引っ張ってくれるような強力な作品求む…)

あと何作か(というか結構な数)見るには見たのですが、流し見してしまったのでカウントしません。
朝ドラ『虎に翼』、3回だけの『Shrink(シュリンク)―精神科医ヨワイ―』も見ましたが、“夏ドラマ”のカテゴリーとは違うかなと思い除外しています。

『クラスメイトの女子、全員好きでした』は見なかったのですが、おもしろいとの噂があり、気になっています。Huluで配信しているので、あとで見るかも。『錦糸町パラダイス~渋谷から一本~』は途中で見逃した回があったのですが、U-NEXTで配信しているので、こちらもあとで見直そうと思っています。

さて、みなさんは、何をどう見ましたか?
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。


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