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遅すぎるかも知れなくても 『ナビレラ ーそれでも蝶は舞うー』(2021)
演出:ハン・ドンファ
脚本:イ・ウンミ
出演:パク・イナン、ソン・ガン、ナ・ムニ、ホン・スンヒ、チョ・ソンハ、キム・テフン、チョン・ヘギュン、キム・スジン、チョ・ボクレ、キム・グォン
(Netflixより)
踊りに夢を見出した70歳の老人と、才能あふれる23歳の青年。厳しい現実に直面しながらもバレリーノを目指す2人の間に、やがて強い絆が芽生え始める。
70歳のシム・ドクチュル(パク・イナン)は、ある日、バレエの練習をする青年イ・チェロク(ソン・ガン)の姿に釘付けになる。青年の姿は、子どもの頃に諦めた、バレエを踊るという夢を思い出させたのだった…
ウェブトゥーンが原作の本作、一種のファンタジーと言っていいでしょう。
人生の終わりが近づく中、諦めていた夢に挑戦する。それは素晴らしいし、見ていて元気をもらえます。
いや、70歳の、これまで一切踊ったことのない男性がバレエを始め、舞台に立つ、しかも数ヶ月で、って、さすがに現実では無理です。なので無理は承知の上です。
ドクチュルはチェロクの先生キム・スンジュ(キム・テフン)に頼み込んで、レッスンを受けられるようになります。スンジュは先生としてチェロクを指名します。
チェロクは「なぜ自分が」と思いつつ渋々引き受けますが、レッスンをするうち、ドクチュルの熱心さと人柄にほだされて行き、次第に祖父と孫のような関係になって行きます。
ドクチュルの家族は、“おじいちゃん”がバレエを始めたと知り大反対します。無理とか無理じゃないとかの前に「恥ずかしい、みっともない」というんですね。
おそらく韓国も日本と同様、そもそも“男が踊る(しかもバレエ)”のは恥ずかしいことみたいな通念があり、さらに“年寄りがそんなこと”みたいなこともあるのかもしれません。今でこそ、主にヒップホップの世界では、韓国でも日本でも男たちは踊っていますけど、それでもバレエとなると人口はガクッと減るでしょう。
家族総出で反対されても、諦めずにレッスンを続けるドクチュルの姿に、家族の心も変わって行きます。
ドクチュルが失われた夢を取り戻す物語と、チェロクが眼前の夢を追う物語が並行して語られ、さらに双方の家族や周辺の人々の単純ではない物語がそれを取り巻いていて、韓国ドラマらしい重層的な作品です。
チェロクとドクチュルの関係ひとつ取っても重層的です。二人は、祖父と孫のようでもありながら、やっぱり師弟であり、かつ友人でもある。この関係をうまく表す言葉を考えているのですが、まだ見つかりません。
ダンス部分には吹き替えもあるように見えましたが、チェロク役のソン・ガンはスタイルがとてもよく、美しいです。
「いつやるの? 今でしょ」って言葉が流行ったことがありましたが、いやーほんとそうですよね。
やりたいことがあるなら、今やりましょうよ。