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「未来の解像度を上げる」 人材業界入りして干支一周するので介在価値が何か考えてみた

タイトルのとおりですが、人材業界の一員となって干支が一周する(!)ということで。
それなりに長く業界に属するからこそ、既存の商慣習を疑いつつ仕事をしたいと強く思う今日この頃です。

先日、私が所属する株式会社LiBはリブランディングを行い、そのリリースでも「働く」と「暮らす」に境目がある時代は終わったと記しています。
そんな時代を味わうべく、私自身も2020年2月に東京を離れることを決意し、広島に移住、そこからさらに西へ流れて沖縄在住/フルリモートで東京勤務という新しい仕事のカタチになりました。
 
この数年はコロナの影響もあり、人材業界が扱う「働く」自体が変わりつつある… そんななか人材系サービスはどうあるべき…?と日々考えています。
 
LiBが掲げるミッションを「なぜやるの?」という情報は、上述のリブランディングや社員の語り(※)を通してお伝えしています。
※LiB社員の個性が溢れる生き方&働き方のストーリーも続々noteで発信

とはいえ、そのミッション「どうやって」実現させるの?という角度の情報も合わせて気になりませんか?
私はよく気になっています(笑)

そこで、いち社員として日々思考しているHowの一部を文章化してみようと考えました。特に、手段を決めるための思想が伝わると嬉しいです。


先に結論

タイトルにもあるように『未来の解像度を上げる』ではあるのですが、そう考える背景や、そのためにすべき手段のアップデートについて私なりに纏めていきます。

脳内出力的に書き殴るので、いわゆる“個人の見解に基づくもの”ではありますが、こんなことを考えてる社員がいるんだなというサンプルとして、LiBとも結び付けて捉えていただけたら嬉しいです。

前提

今回は、考えてみる人材業界のスコープを「求人募集を行う企業と勤務先を探す個人をつなぐサービスのこと」と設定したいと思います。
主なサービスは、人材紹介、人材派遣、求人広告、採用RPOあたりを想定しています。

簡単な自己紹介

新卒より一貫して人材業界(HR領域)に所属。
経験年数は、企業内人事と人材業界で約半々。両面型人材紹介コンサルタント、ダイレクトリクルーティング営業、人事を経験。
現在はプロダクトマネージャーとして自社システムの設計/サービス企画業務に従事。
約20年過ごした東京を2020年4月に離れて2年経過。現在は沖縄からフルリモート勤務。

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せっかく沖縄にいても結局アニメ&漫画が好きでスマホばかり見てしまう…

介在価値とは第三者が生み出す

個人的な話ですが、私は昔から、当事者であるAとBのあいだに第三者が介在するという構造が気に入っています。

第三者だからこそ発揮できる価値があるはず!と信じていて、学生時代には見ず知らずの親子関係に立ち入るようなボランティア活動をし、就職活動の軸でも似たようなことを掲げていました。

ユーザーとしても、日々の生活でこの構造となるサービスにお世話になっています。

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日常的に第三者介在のサービスを利用してる

当事者は、C2CもあればB2Cのこともあり、
介在の成果は、新規マッチングだけでなく、例えば海外ドラマでよくみる夫婦仲のカウンセリングのような、既存の関係性を修復するような成果もあります。

そして「第三者」とは必ずしも人間とは限らない。WEBサイト/アプリのようなシステムが第三者として介在していることも多々あります。

身近なビジネスでいうと、
 ・売り手Aと買い手B :フリマアプリ
 ・飲食店Aと消費者B :フードデリバリー
 ・パートナーを探すAとB :マッチングアプリ
など、考え始めると際限がないくらい、あらゆるものがこの構造です。

介在価値とは耳障り良い言葉ですが、介在して「無価値な伝言」「介在悪」になる可能性も孕んでいる、つまり良き価値を発揮していないこともあります。

(敢えて並列すると)WEBサイト/アプリ/人間など、第三者介在で発揮される価値は様々ありますが、いちばん意識したいポリシーを考えてみたいと思います。

自分の未来を考えるとき迷子になりがち

過去と他人は変えられない。 あなたが変えられるのは自分自身と未来だ。

精神科医エリック・バーン氏の言葉

自分の未来について考えることは、とても大切なことだと思っていますが、まさにこの「未来」を考えるところにこそ第三者が介在する価値があるのではと、ここ最近は考えています。

よく、自分自身のことは「自分がいちばん分かっている」とも、「意外と自分では分からないもの」とも言われますが、過去・現在・未来の三択でいうと、未来を考えるときに人は迷子になる。よく「キャリア迷子」と称されるいわれるのもこれですね。

過去と現在のことは、基本的に24時間365日共にある当事者が知っている情報が多いはずです。(何をハイライトするか/どう整理するか等には第三者の介在が有効なこともあります)

未来のことも、最終的に決めるのは当事者。ですが、情報が溢れる時代だからこそ、隣の芝生は青くみえるし、選択肢は無限にあるようにもみえる。だからこそ決めづらい。

要するに、過去情報や現在情報とは異なり、未来情報(≒希望情報)を自分のメタ認知力だけで決めるのって難しすぎる…と思うのです。

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キャリア構築でWill Can Mustというフレームがあるが、
Willを詳細にするのが難しい

第三者によってもたらされる客観視

結論、第三者だからこそ発揮できる力「客観視」を借りて未来のことを決めていくのがおすすめです。

いま多くのひとが利用するようになってきたコーチングにおいても、
・答えは全て自分のなかにあるという前提
・但し、自分だけでメタ認知することには限界もある
といったことをよく聞きます。

第三者に介在してもらうことで、
・自分の内発的動機が明らかになった
・外的環境(トレンド/コスト/リスクなど)も加味して策定できた

といった体験は、誰にでも大なり小なりあるのではないでしょうか。

※ちなみに私は、某フリマアプリのシステム機能にいろんな角度から客観視してもらうことで、「欲しいもの」の要件(希望情報)を詳細化していくことがよくあります。

いまLiBでは、「客観視」が自社に関してもサービスに関しても頻出単語となっています。特に、客観視の伝道師(?)である近藤の記事にもたっぷり書かれているので、これについては説明を譲ります。

個人と企業の未来を結ぶ

ここで改めて、人材業界の介在価値とは?という問いに戻ります。

当事者:勤務先を探す個人・求人募集を行う企業 に、
第三者:人材業界(のシステムやコンサルタント) として、
介在するわけですが、個人と企業の双方に「未来情報(≒希望情報)の解像度を上げる機会」を提供し、その未来像同士を結ぶことができたら本望だと思っています。

古さを感じる人材業界の商習慣

LiBが掲げるワークシフト支援を行う過程では、まさに個人や企業の未来情報(≒希望情報)の解像度を上げる必要があります。

これを実現するうえで、来たる時代に合ってない…アップデートしたい…と、目を付けている既存の商習慣が多々あります。その一部を紹介してみたいと思います。

①求人票

既に呼称から古さが滲み出ていますが(笑)、企業が募集する求人の情報が記載されているドキュメント。
自分が直接接触しない人にも、同社および同求人の魅力を伝えるべく独り歩きできる大切なコンテンツだと諸先輩方に教えてもらい、とても納得したのを覚えています。
ゆえに、わたしも人事や人材紹介コンサルタント時代は、作成のためのヒアリングと執筆に魂を込め、コピペと作文に追われる1日を過ごすこともありました。

②履歴書・職務経歴書

こちらは個人側の基本情報や経歴情報が記載されているドキュメント。
転職活動には欠かせない、個人の経験やスキルなどの特徴を伝えるための大切なコンテンツです。
よくある選考フローでは、この履歴書・職務経歴書による書類選考が通らないと、面接などで直接会話でアピールすることすら叶いません。
非常に重要性が高いものなので、人材紹介コンサルタントがしっかり添削を行っていることも珍しくありません。

これらの欠点は何か

求人票・履歴書・職歴書は、現代の転職活動において、とても重要度の高いドキュメントです。
その割に、アップデートの余地を感じる形式だと思っているひとも多いはず。

過去情報をメインに入力
 →未来情報(≒希望情報)が薄い
■フリーテキスト入力
 →伝えられる情報の幅に限界がある
 →情報過多な時代では読みきれない
 →マッチングやリコメンドに活用できない
■紙やPDFで出力
 →日々変化する情報と同期することが難しい

等々
 
これらコンテンツの欠点を補完するために、人材業界の「人間」が存在している節もあります。
人材業界の人間が、
・未来情報を詳細にヒアリングしたり
・個人⇔人材業界⇔企業間での口頭補足をしたり
・脳内検索したり
しないと価値が担保できないので、人材業界に属するたくさんのひとたちが転職活動に第三者として介在して価値発揮しているのだと思います。

一方で、これがエージェントガチャと言われるような属人性の高さを生んでいるひとつの要因とも感じています。

LiBでさっそく取り組んでいること

LiBでは、人間だけに依存せず、人とシステムの両方で担保する/仕組み化するためにどうすべきかを常に議論しています。
チームには、自分たち(人間)の既存の仕事がシステムに奪われることや、既存の人材業界の商慣習とズレることへの恐れがないひとが多いので、コトが前に進んでいく手応えがあります。
 
背景には、
・人間には、人間でないと発揮できない介在価値に集中できる環境を用意したい
・人間には、創造性の高い、未来や希望について共に考える業務に注力してほしい
という想いがあります。
 
取り組みや思想の一部をご紹介します。

脱・フリーテキスト

人材業界の中の人にはよく頷いていただけるのですが、そもそも、求人票/商談メモ/履歴書/職歴書/推薦状/面談メモなど「フリーテキスト100%」のコンテンツが多すぎませんか?

個人と企業の両サイドの情報を適切に項目化および既定値化することでシステムによるリコメンドやマッチングをできるようにしよう・・・と言うのは簡単ですが、これがなかなか難しい。
特に、未来情報・希望情報については、ありきたりな既定値では表現できないから現代でも脱フリーテキストしていないのだと感じています。

だからこそLiBでは、プロのエージェントの脳内やトークを表現したような生きた値にするためのPDCAを回し、クイックに既定値を調整しながら準備を進めています。

脱・ブラックボックス

LiBでは、人材業界の商慣習と異なるとしても、ここは直通/透明にするべきでは?一次情報保持者に自分で入力してもらうべきでは?といった会話がよく社内で行われます。

既存の情報を伝言すること自体に介在価値は無いはずですが、情報を不透明にすることで“介在価値っぽいもの”を感じてしまう。そういったことからは卒業し、人でもシステムでも第三者ならではの価値を追求できるような構造を考えるようにしています。

脱・求人紹介

個人と企業の未来を詳細化してお繋ぎしたいと考えていると、過去や現在の情報ばかりの静的な経歴書と求人票を熟読して行うマッチングには限界を感じます。

旧来の構造では、ここが優秀なエージェントの脳内、経験や人脈や嗅覚によって担われているところかもしれません。
 
LiBでは、
・経営者が描く「企業の未来」を個人に対して生々しく伝える仕組み
・個々人が掲げる「自分の未来」を企業に対して主張する仕組み

を、人とシステムの両方で実現しようと日々チームで試行錯誤中です。
(一部のユーザーさんには、この片鱗が伝わりつつあると嬉しい)

おわりに

私はいま、長年経験してきた人事や営業のように、日常的にユーザーとハイタッチなコミュニケーションをとる職務ではありません。
だからこそ、プロダクトのUX/UIや機能でコミュニケーションをとる必要があります。
ときには「あれ、普通と違う?」という健全な違和感がある機能で思想を伝え、ユーザーに何か気付いてもらえるようになりたいと思っています。

例えば、この重なりに値するサービスって…?というのをβ版リリースして試行錯誤中


そして、まだまだ個人も企業も、未来への意志が不明瞭なまま転職活動/採用活動を開始しているということも多いと感じています。
言い換えると、過去や現在への課題や不満だけを軸に転職活動をしているケースが、実はとても多い。

これからも人材業界に身を置く自分としては、

個人と企業の双方に「未来情報(≒希望情報)の解像度を上げる機会」を提供し、その未来像同士を結ぶこと

に注力したいと、ここに宣言しておきます。

未来情報を解像度高く要素分解&データ化することで、様々な未来の可能性を探れるようにすることを目指していきたいです。

・経営者が描く「企業の未来」を個人に対して生々しく伝える仕組み
・個々人が掲げる「自分の未来」を企業に対して主張する仕組み

このような仕組みを実現する手段としてのオペレーションやシステム機能は、社内でも喧々諤々議論中なので、興味を持ってくださる方がいたらディスカッションにご協力ください(切実)

ブレスト的な文章に最後までお付き合いいただいた読者の方、ありがとうございました!

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