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結局まだまだ格好つけたがりな僕。

 性欲は悪、というイメージがある。
 悪、とまでは言わなくても、恥ずかしいもの、というイメージは根深い。

 かつて、僕もそう思っていた。
 いや、今もそう思ってしまいがち。

 いや、ちょっと違う。
 悪いこととも恥ずかしいこととも思ってないけど、表に出しちゃいけないことだと思ってる。

 だから、今日は、ものすごく、筆が止まっている。
 性欲について書きたいのに、どうしても、書き方がわからない。

 お腹いっぱい食べた、おいしかった、お腹空いた。
 たくさん寝た、寝不足だ、ねむい。

 そんなノリで書きたいと思う心と、そんなノリで書いちゃダメでしょと思う心がせめぎ合っている。

 あきらめてやめておけば?って思った。
 でも、僕の随筆のテーマは「素直」。
 素直な僕を表現するにあたって、どうしても、この話題は、避けられない。

 避けていたら、いつまでたっても「僕」というものが表現しきれていないように感じてしまう。

 それでも、書いちゃいけないことなんだって思いはずっと残ってて。


 ………とかなんとか御託を並べちゃって。
 ほんとは変なこと書いて嫌われるのが怖いんでしょ?
 だから「ほんとは書きたいんだけど、理性的な自分は書くことを止めているんです。ほら僕って紳士でしょ?」って立場になりたいんでしょ?


 誰だこの声は。
 ……いや、本当に誰だ…?

 でも、言われたことは的を得ている。
 「清楚だと思われたくない」と言いながら、僕はまだ、自分を紳士的で、常識があるように、見せたがっている。
 そんな仮面の自分に何の意味があるというのか。
 そんな仮面はどこにでも転がっているというのに。

 まだまだ修行が足りない。
 そして今日は、時間も足りない。

 またゆっくりと考えて、また書こう。




〈ねえ、ここまで書いてたらさ、「そういう欲を抱えて隠してることはいけないこと。だからもっと表に出すべき」みたいな話にならない?〉
 そんなつもりはない。
 出したいとは思ってるけど、出すべきとまでは思ってない。

 そう、だから、えっと。
 そういう欲をさらけ出すのが良いとか、隠すのが悪いとか、そういう話じゃなくて。

 そう。

 僕の性欲をうまく言葉で表現できないことが、心苦しいんだ。

 この場所に出したいのに。表現したいのに。
 なんか色んな思いや考えにがんじがらめになって、書けない。

 それが、シンプルに、ちょっと苦しい。

 そういう話だったんだ。今日は。

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